ニートの魔法
9話 山3
「グルルルル…」
ん?なんだこのいかにも猛獣って感じの鳴き声は。
嫌な予感がしつつも恐る恐るふり返る。
ああ、やっぱり猛獣だ。
そこにいたのはイノシシだった。
事前にわかっていたからそこまで驚かなかったが、と強がってみるが
やはり足は震えている。身の危険なのだから当たり前か。
「っ…!セジアント…」
小声でセジアントを呼ぶ。あんまり大声を出すと興奮して襲いかかってきそうだ。
「おっ!幕くんはじめてぼくの名前を呼んでくれたかなー!なになに?」
と、のんびりこっちに近寄ってくる。
イノシシを見た瞬間さすがに顔色を変え、魔術書をこっちになげた。
パシッ
「サンキュ」
ショックルで追い払えるかな…無理だったらまずいな。
「ショックル!」バァン!
魔法を放った当の本人もあんぐり口を開けて閉じれなかった。
俺の放ったショックルで、イノシシは森の奥深くまで飛んでいった。
あのスピードだと30メートルは飛んだか?
「幕くん…君!すっごい才能があるんだね!ぼく、驚いちゃった!」
セジアントはウキウキしながら俺の周りを飛び回る
「あんな強いショックル初めて見たよ!君の最適属性は“衝撃”だね!初めて見るタイプだ!」
「そんなに褒められてもよくわからないんだが…最適属性ってなんだ?」
「最適属性っていうのはね!」
魔法にはそれぞれ属性があるんだ。
炎 水 風 光 闇 土 召喚 生成 衝撃
この9個。ぼくらはこの9属性に分かれている魔法を使用するんだ!
そして、最適属性が炎だと 炎系の魔法が強くなる。
最適属性が闇だと 闇系の魔法が強くなる。
生成が最適属性の人は武器なんかを出したりして戦うんだけど、その武器が強くなったり、いろんなケースがあるんだ!
でも、最適属性が現れるのは魔法を大体覚えてからって言うのに…不思議だね!
あと、召喚と衝撃の属性は最適属性が発言するのはごく稀なんだよ!
幕くんは魔法の才能があるね!ぼくも使い魔冥利に尽きるよ!
「説明はこんな感じかな!わかった?」
「ああ、いわゆる得意分野だろ?国語算数とかの」
「うん!わかってもらえて嬉しいよ!寝ようと思ってたけどウキウキして寝れないくらいすごいことだよ!ああ、幕くんの使い魔に選ばれてよかった!」
そこから10分後、はしゃぎ疲れて寝るセジアントを腹に乗せ、自分について考えていた。
俺に才能…考えたこともなかったな。
神は、落ちこぼれの俺にチャンスをくれたんだな。
そんなことを考えながら俺も目を閉じた。
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