ニートの魔法
4話 買い物
「なあ…色々とツッコみたいんだが…」
セジアントは顔色一つ変えず聞いてくる。
「なんだい?」
うーん…魔法使いってのは必ず衣装を着なきゃいけないのか?ってのとその衣装はド○キホーテで買うべきものなのかってのとお前は外をうろついて大丈夫なのかってのとなぜ費用が全部俺持ちなのか!
こいつ…見た目の割に腹黒いのかもな。いや、腹黒い。
そんな事を口に出さずモゴモゴしてるうちにド○キホーテに着いた。
「さーて!コスプレコーナーにいこう!」
セリフだけ聞いたら思わずどんなオタクがウキウキしてるのか見てみたくなるが、幸い俺以外の人間には見えないし声も聞こえない。セジアントいわく
「この人たちは忙しいからぼくなんて見えない!」
らしい。
とりあえずちゃちゃっと買って帰りたいのだが…
「わー!このフィギュアかっこいいー!」
長引きそうだな。俺はベンチに腰掛けてはしゃぐセジアントを見ていた。
(親ってこんな感覚なのかな…)
俺は親について考えたことはあまりない。
だけどこの感覚、そして現状。切ない。
俺は学校に行ってる歳だ。でも不適合者だから行けない。
「なんで泣いてるんだい?」
「…っ!?」
俺は気づかないうちに涙を流していた。
「あぁ…部屋と違って照明が眩しくてな。」
適当に嘘をついた。セジアントも気にしてないらしい。
「それより…お前ここに何しに来たんだ」
「ああっ!そうだ!コスプレコーナー!」
やっと行ける…行きたかないけど。
「ありがとうございました〜」
そのお礼には含み笑いが混じってる気がしてどうもいい気にはなれなかった。
「買えたね!帰ろう!」
「ああ。やけに時間かかっちまったな、ようやく帰れる」
その時、セジアントの表情が一気に険しくなった。
「この反応…エムラスだ!」
俺は驚きもせずため息を一つついた。
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