異世界に貴族として転生しました!〜兄が神な男〜

御隠居村長

12、誕生日パーティー(Ⅲ)

 公爵令嬢に手をつかまれて、俺はこの場から去ることが、できない。しかも、公爵令嬢は、まだ泣いている。

 だが、こんな、面倒臭いことは、やりたくない。何が楽しくて、異世界で子守をしないといけないのだ。性格が悪い、人間の心を持っていないと思われるかもしれない。ただ、人間とは本来、自己中な性格である。

「あのー。公爵令嬢様、手を離して頂けませんか?」
と、俺は聞く。

 にしても、公爵令嬢の名前が、思い出せない。多分、かなりどうでもいい名前だと、脳が判断したんだろう。

 早く、泣き止んでくれないかなー。

 そして、しばらくして、公爵令嬢が、泣き止んでくれた。

 面倒だが、ここまでくれば、乗りかかった船だ。俺は、切り替えも早いのだ。

「公爵令嬢。たてますか?」
と、聞くと、公爵令嬢が、首を横に振る。

 立てないのか……。
 使用人を呼ぼうかと、思ったけど、まだ、手をつかまれている。ということで、使用人を呼ぶことが、できない。

 それなら、しかたがない。
「では、失礼します。」
と、言って、公爵令嬢をお姫様抱っこする。

 すると、公爵令嬢が、顔を赤くする。
 

 しばらく歩いて、元いた部屋にようやくたどり着く。少し休憩をするつもりで、部屋から出たのに、逆に疲れてしまった。本末転倒だな。

 その部屋のドアの一歩手前で、公爵令嬢を下ろす。公爵令嬢をお姫様抱っこしたまま、会場内に入って、騒がれると面倒だからな。

「では、公爵令嬢。手を貸しますので、歩いて頂けるとうれしいのですが……。」
と、言うと、
「運ぶ、ありがとう。私、リゼットっていう名前、ある。その名前、呼んで。」
と、公爵令嬢。

 どうやら、リゼットという名前できちんと呼んでほしいらしい。
 いやでも、なんか、言語が片言だな。

「分かりました。リゼット様。」
と、言うと、
「様、いらない。呼び捨てが、良い。」
と、言ってきた。

 うーん。呼び捨てかぁ。流石になぁ。

「流石に難しいので、リゼット壌と呼ばせて頂きます。」
と、言ったら、一応、首を縦に振ってくれた。 

 でも、この子無口なんだな。気が強いとか、根拠もなしに言ってしまって、申し訳ないな。まあでも、公爵令嬢とか、気が強そうだしな。しかし、もう少しきちんと喋って欲しいけど……。

「で、歩けますか? リゼット壌。」
と、聞くと、
「わからない。」
と、少ししょんぼりとしたリゼット壌。ちょっと可愛いなぁ、しょんぼりする姿。一応、言っておく。俺は、ロリコンではない。

 ちなみに、今、リゼット壌の肩を俺の手で支えている。

 
 どうしようかなと、困っていたときに、パーティー会場のドアが開く。
 すると、一人のメイドが、出てきた。

 そして、声をかけてきた。

「あ、シリウス様。と、リゼット様!!! どこに行っていたのですか?」

「えっとねぇ。廊下で、リゼット壌が、転んでいたから、この部屋に連れてきた。」

「それは、シリウス様、ありがとうございます。私は、リゼット様の担当メイドなのですが、リゼット様がいなくなって、心配して探しに行く所だったんですよ。」


「あー、そうなんだ。なら、あとは、頼んだよ。」

「お任せ下さい。」
と、笑顔でメイドは答えた。

 リゼット壌の事は、メイドに任せて、俺はパーティーの会場に入り、バトラーと合流する。

 その後、大きい誕生日ケーキをパーティー会場にいる人たちで、食べた。エマ姉さんや使用人達にが、忙しくしていた理由は、これらしい。普通に嬉しいな。それに、ケーキも美味しかった。

 
 そして、無事パーティーも終わった。

 ジャック兄さんは、公爵に数学の本を渡せたらしい。


 今日も疲れたなぁと思いながら、ベットに入った。

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