家に帰るといつも美少女がいる件

疾風

第2話 朝ごはん

 「ふぁ~あ。 良く寝た」

 春楓さんに、 またねのチューをされてから1晩がたった。 昨日の夜は、 キスをされた衝撃で全く眠れない……というようなことも無く、 ぐっすりと眠ることが出来た。恐らく部活で疲れていたのだろう。
 さて、 起き上がって学校の支度をしなければ。
 そう思って、 ベッドから起き上がるとふといい匂いが俺の鼻を、 刺激してきた。
 何だこの匂い?
 俺は匂いに、 誘われるがままにキッチンの方へと向かった。
キッチンには、 料理を作っている春楓さんがいた。

 「何やってるんですか!? てか一体どうやって…… いやピッキングか……」

 「何って、 至くんのために朝ごはんを作ってるの!」

 ま、 マジか。 普通に嬉しいけども、 まさか朝起きた瞬間に学校を代表する美少女に会えるなんて、 嬉しい限りである。

 「ほ、ほえ~。 う、嬉しいです。 あ、ありがとうございます」

 「本当!? 至くんに喜んでもらえて、 私も嬉しい!!」

 なんという、 返答だろう。 この人は神か? 女神なのか?
 それにしても、 制服にエプロンを着てポニーテールなんて

 「とっても、 可愛いじゃないか」
 
 俺は、 心の中で思ってたことを口に出して言ってしまった。 それも最後の部分だけ。

 「え?」

 まぁ、 そりゃそういう反応するよね、 いくらなんでも急に言ったら驚いちゃうよね。

 「いや、 あの、 s、 すみません。 つい……」

 「至くんが、 私のこと可愛い言ってくれた!!! 嬉しいいい!!どこが可愛いの? ねぇねぇ、 どこどこ??」
 
 春楓さんは、 可愛らしく飛び跳ねながら喜びをあらわにした。
 なんてこった、 普通に喜ばれてしまった。 てか喜んでるのすげー可愛いんですけど……
 
 「その、 なんというか、 制服にエプロン姿なのに加えてポニーテールな所が、 可愛いです」

  「ほんと? じゃあいっそこのまま学校行っちゃおうかなぁ~」

 「いやいやいや、 それはやめてください。 めちゃくちゃ目立ちますよ?」

 「あはは、 冗談だよ。 冗談。でも、 せっかく褒められたから、 髪型はこのままポニーテールで行こ!!」

 なんだろうか、 この胸のドキドキは…… 俺は春楓さんと居ると寿命がどんどん減っていく気がする。 ていうか、 今のこの天国のような癒しタイムはなんなんだろうか? 前世の俺は相当な得を詰んだんだろうな。

「よし!! ご飯できたよ~。 すごく簡単なものしかないけど許して~」

 春楓さんはそう言いながら持っていたのは 、エッグマフィンと紅茶だった。面倒くさがって朝ごはんを食べない日もある俺からしたら、 ものすごい豪華な朝ごはんである。

「これが簡単? めちゃくちゃ豪華じゃないですか!! いただきます!!」

 俺は、 春楓さんが作ってくれた朝ごはんにかぶりついた。

「どう? どう?」

「めちゃくちゃ美味しいじゃないですか!!」

「本当?? やった~。 これから毎日作りにきて上げるね」

 なんですと? 毎日? こんな美少女が毎日俺のために、 朝ごはんを作りに来るなんて…… ここは、 なんで言う天国だろうか? だが、 こんな美少女を毎朝見ていたら俺の精神が崩壊してしまう。 それに、 春楓さんにも申し訳ない。 よし、 ここは断ろう。

「お気持ちは嬉しいですが、先輩も毎朝毎朝大変でしょう? なので別に毎日来なくても大丈夫ですよ 」

「え~。 至くんは、 毎朝私が来たら迷惑?」

 春楓さんは、 悲しそうな声で言った。

「いや…… そういうわけじゃ」

「でもやっぱり迷惑だよね。 彼女でもない。 ただの友達の私が毎朝毎朝、 ご飯を作りに来たら……」

 ぐっ!! 昨日、 告白を断ったのを地味に攻撃してきている。 なんで恐ろしい人だ。 さすが、 生徒会長とでも言うべきだろうか? こんな悲しい顔をされてしまっては俺も、 断るに断れないじゃないか。 仕方ない、 俺にデメリットなんて、 精神が崩壊してしまうこと以外ないのだから、 ここは朝ごはんをお願いしよう。

「そんな、迷惑なんかじゃありませんよ。 ぜひ毎日来てください!! 物凄く嬉しいです」

「本当!? やった~。 明日はもっとちゃんとしたのつくってあげるね」

 これで、 毎朝春楓さんが家に来ることが確定してしまった。 こんな美少女を毎朝拝むことが出来るなんて、 前世の徳だけじゃ足りないだろ…… きっと来世の俺は、 ファンタジー世界の下級モンスターにでも生まれ変わって、 勇者様のれベルアップの踏み台にでもされるんだろうなぁ。ゴメンな!! 来世の俺!!

「あっ!? もうこんな時間だ!! 至くん早く支度しないと遅刻しちゃうよ。 一緒に学校行こ」

「え、 あぁ本当だ。 早く支度しないと」

 こうして俺と春楓さんは、 一緒に学校へ向かった。 道中では他愛のない話をした。 春楓さんのする話はとても面白かった。

「じゃあ2年生の教室は3階だからここで。 またね~」

「はい。 1日頑張ってください」

 俺は、 そう告げて1年生の教室がある4階へ進んだ。
 それにしても、 春楓さん可愛過ぎないだろうか…… どうして俺はあんな天使と神のハーフみたいな人に、 告白されたのだろう。 未だに信じられん。
 とそんなことを考えながら教室に入ると、 何やらいつもと教室の雰囲気が違っていた。なんだろうか? 心做しかクラスメイトの過半数が、 俺のことを見ている気がする。

「おい、 至どういうことだ?」

 どうしてこんなに見られているのだろう? と考えていると、 細身の大男(癪に障ることにイケメン)が、 俺に何かを聞いてきた。

 「どういうこととはどういうことだ大樹」

 こいつの名前は、 上田大樹うえだだいき。 クラスカースト上位にして俺の部活のバドミントンでのダブルスのペアである男だ。

「どうもこうもあるか!! 今日生徒会長と登校してきたらしいじゃないか? みんなその事に興味津々だぞ」

 なるほど、 それでみんな俺の方を向いているのか。 てか情報の周り早くないか? いや、 冷静に考えれば当たり前だな…… 春楓さんは校内にファンクラブができるほどの人だ。 しかもこの学校の男子生徒ほぼ全員が会員とも言われている程だ。
 待てよ? と、 言うことは俺、 殺されるんじゃないだろうか? ファンに。なんという失態だ…… 普通に考えればこの事態は予想が着いたはず…… くそっ、 春楓さんの可愛さにやられて後先のことを考えていなかった。さて、 どうやって言い訳するかな。
 

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