ある日突然、ぼっちだった俺に学校一美少女の主ができました。
第6話 やはり俺は犯罪者扱いされる。
午後二時を過ぎた。
俺たちは近くの喫茶店で食事をした後、遊歩道をゆっくり歩いていた。
喫茶店では何かと注目の的になり、非常に食べづらかった。
その何かは説明しなくても分かるよね?
だから、もう真涼とは食べに行きたくない!
まぁ、先ほどまでの俺たちの様子はこれぐらいにしておいて、遊歩道が終わる地点まで後三百メートルとなったところで気になっていたことを聞いた。
「なぁ、このデートのワケってなんだ?」
この前はデートの時に話すと言ったきりだったのでそろそろ教えてくれてもいい頃合いだろう。
真涼は「そうね」と言いながら近くの古びた木製のベンチに座った。
俺もそれにならい隣に座ろうとする。
「何座ろうとしてるの?下僕は大人しく地べたに這いつくばってなさい」
「下僕って……俺はあんたより上の存在だと思うが…」
「上?ああ……自殺表明か何か?いつ死ぬの?今でしょ!」
「お前が言ってどうする…っていうか俺が自殺するって、いつどこで誰が地球が何回まわった日に言った!?」
つい、小学生が言いそうなことを口にしてしまった。
が、真涼はすぐに答えた。
「今日ここで中村裕翔が地球が千回まわった日に言っていた」
「……お前それウソだろ?」
「どうしてそう断言できるのかしら?」
「地球の自転数が千回なわけねーだろ」
真涼はキョトンとした顔で首を傾げている。
――あれ?頭がいいはずの真涼さんが……。もしかして根っこの部分はバカなのか?
そもそも地球が誕生したのが約四十六億年前。
その時からまわっているとすると計算式は単純に
四十六億年×三百六十五日
になる。
つまり、この計算式の答えが地球の自転数になる。
真涼が答えた千回だと、地球が誕生してまだ三年も経ってない。
「私としたことが……」
俺の解説を聞いた真涼は頭を抱え込んでいた。
そこまで落ち込むことはないだろうと思いつつも――このバーカ!ざまぁみろ(笑)
「って、それはどうでもいい。このデートのワケを教えろ!」
どうなったら地球の自転数まで話が脱線していくんだよ……って、俺がそっちに話題を振ったのか。
「デートのワケね……」
真涼は俯いてしまった。
やはり聞かない方が良かったのだろうかと少し悪い気持ちになったが、元々は真涼がデートの時に話すと言った。
それに大したワケでもないだろうと俺は思っている。
「…………私の…………」
なんかものすごく重たい空気になってしまった。
真涼も言いにくそうに話そうとしている。
言いたくないことなら言わせない方がいい。
余計に傷つけば、俺が何かしたんじゃないかって田村先生に問い詰められて困る!
「真涼、言いにくいことなら言わなく……」
「遊びに付き合わせたかっただけ」
「てもいいんだからな……は?」
俺の言葉を遮り、真涼が面白いことを言った。
最初はどういう意味なのか分からず、考えてしまったが……意味はそのまんまみたいだ。
「じゃあ、さっきの重たい空気はなんだったんだよ!?」
「あれは…その方が恋人ぽくていいかなって」
どこがだよ!別れる前の恋人みたいじゃねぇか!
「なんか変な気遣いをして疲れた」
「あら、あなたに気遣いというものがあるのね(笑)」
「うっせー!そんぐらいはあるわ!」
俺の事をどう思ってるんだコイツは。
思いやりもない人でなしとでも言いたいのか?
俺はよく腐っているとか言われるが心は腐ってない。むしろピュアだ!
「…フッ」
「今なんで鼻で笑った?!」
「いや、あなたの考えることが面白すぎてつい」
俺の考えていることを読まれた?!
「もうそろそろ行きましょ。そうじゃないと日が暮れるわ」
「ああ…」
日が暮れると言ってもまだ午後三時前なんだが……。
とにもかくにも真涼がベンチから立ち上がったので俺もそれにならい真涼の横につき、再び残り三百メートルの遊歩道を歩いた。
◆❖◇◇❖◆
ところ変り、場所はショッピングモール。
真涼がデートといえばショッピングとスマホの画面を見ながらそう言ったので来てみたが……
「この後どうすればいいのかしら…」
ショッピングモールに着いた後もスマホ画面を見ている真涼さん。
どうやらデートについて調べた内容を見ながら行動しているのだろう。
――分からねぇならデートに誘うな!
「とにかく服とかじゃねぇのか?」
「服?」
「そう、大体デートのショッピングといえば彼女の服探しとかでしょ」
女子の服選びは本当にめんどくさい。
長いし、いちいちこれに似合うとか聞いてきたり、そんぐらい試着して鏡を見れば自分でも分かるだろ。
ちなみにソースは俺である。
「あら、お詳しいのね。ぼっちのくせに」
「……挑発してんのか?」
やっぱりこの女嫌いだ!
ただ、テレビとかアニメでそういう場面を見るからそうなんじゃないかと思って助言してやったというのに!
「はぁ……とりあえずお洋服屋さんに行きましょ」
「そのため息はなんだよ?!」
真涼は「別にー」と言うと、先に歩いて行った。
俺もその後をぼちぼちと後を付いて行った。
◆❖◇◇❖◆
ショッピングモール内にあるファッション店に着くと、すかさず俺は白い目で見られた。
「あの人ストーカー?」
「絶対やばい人だよ!目がヤバいし」
店内にいる同じ歳くらいの女子高生や店員にコソコソとそんなことを言われている。
正直――勝手なことを言いやがって!
でも、このままだと精神的にもちょっと辛い。
俺は別なところにでも移動するかと思った時だった。
「ほら、ゆーくん!この服可愛くない?」
「……へ?ゆ、ゆーくん?!」
唐突に可愛らしい声でそう呼ぶから一瞬誰かと思った。
てか、ゆーくんって誰だよ!
だが、その可愛らしい声はもちろん真涼さんで、
「いいから恋人らしくしてなさい」
「ああ…」
小声でそう言うと真涼はいろいろな服を手に取り、俺に似合うかどうか聞いてくる。
「に、似合ってるぞ真涼」
あまりの性格変貌な真涼に違和感を覚えながらもなんとか彼氏らしいことを言ったりする。
これはたぶんだが、真涼の気遣いなのだろう。
俺が犯罪者だと思われないように今だけこうしてくれているのだと思う。
――ここで選んだ服は俺が買ってやるか。
「いや、その必要はないわ」
「なぜだ?」
「あなたが買った服は着たくない。着ただけで犯されそう」
「…どんな理由かと思ったら、ただの被害妄想じゃねぇかよ!」
「悪い?」
「悪いわ!俺に対して謝れ!人権侵害だ!」
酷い。
少し良い奴だなって思ったのに酷い!
「これどうかしら?」
「ああ…似合ってますよー」
それからして俺たちはデートが終わるまでショッピングを楽しんだ。
いや、少なくとも俺は楽しんでないが。
◆❖◇◇❖◆
「ただいまー」
悪夢のようなデートが終わり、家に帰りつく頃には午後八時を過ぎていた。
玄関に腰を下ろし、靴を脱いでいる途中、家の奥からトテトテと可愛らしい足音が近づいてきた。
「おかえりー」
我が可愛い妹の涼花だ。
お風呂上がりか、ほんのりと顔が紅潮していて女の子独特のシャンプーのいい匂いがする。
「今日は楽しかった?」
「いや、まったくだ」
そう言うと「あそ」と言ってまた家の奥へと行ってしまった。
――冷たいなぁ…。
小さい頃はお兄ちゃんとか言って離れないほど俺の事が好きだったくせに。
今現在中学二年生になった涼花はとてもそうは見えない。
成長というものは人の心まで変えてしまうのか。
「風呂にでも入るか……」
俺は少し寂しい気持ちながらも風呂に入ろうと、脱衣場に入る時、涼花がまたこちらへと戻ってきた。
「お兄ちゃん、お風呂のお湯抜いてあるからまた入れ直してね」
「なんで?!」
「だって妹の残り湯で入るとか……まじキモい」
なんか心にグサッて刺さった。
俺って嫌われてるの?
実の妹にまで嫌われたら本当の意味で真のぼっちになるよ。
もう……あの小さい頃の涼花を返して!
俺たちは近くの喫茶店で食事をした後、遊歩道をゆっくり歩いていた。
喫茶店では何かと注目の的になり、非常に食べづらかった。
その何かは説明しなくても分かるよね?
だから、もう真涼とは食べに行きたくない!
まぁ、先ほどまでの俺たちの様子はこれぐらいにしておいて、遊歩道が終わる地点まで後三百メートルとなったところで気になっていたことを聞いた。
「なぁ、このデートのワケってなんだ?」
この前はデートの時に話すと言ったきりだったのでそろそろ教えてくれてもいい頃合いだろう。
真涼は「そうね」と言いながら近くの古びた木製のベンチに座った。
俺もそれにならい隣に座ろうとする。
「何座ろうとしてるの?下僕は大人しく地べたに這いつくばってなさい」
「下僕って……俺はあんたより上の存在だと思うが…」
「上?ああ……自殺表明か何か?いつ死ぬの?今でしょ!」
「お前が言ってどうする…っていうか俺が自殺するって、いつどこで誰が地球が何回まわった日に言った!?」
つい、小学生が言いそうなことを口にしてしまった。
が、真涼はすぐに答えた。
「今日ここで中村裕翔が地球が千回まわった日に言っていた」
「……お前それウソだろ?」
「どうしてそう断言できるのかしら?」
「地球の自転数が千回なわけねーだろ」
真涼はキョトンとした顔で首を傾げている。
――あれ?頭がいいはずの真涼さんが……。もしかして根っこの部分はバカなのか?
そもそも地球が誕生したのが約四十六億年前。
その時からまわっているとすると計算式は単純に
四十六億年×三百六十五日
になる。
つまり、この計算式の答えが地球の自転数になる。
真涼が答えた千回だと、地球が誕生してまだ三年も経ってない。
「私としたことが……」
俺の解説を聞いた真涼は頭を抱え込んでいた。
そこまで落ち込むことはないだろうと思いつつも――このバーカ!ざまぁみろ(笑)
「って、それはどうでもいい。このデートのワケを教えろ!」
どうなったら地球の自転数まで話が脱線していくんだよ……って、俺がそっちに話題を振ったのか。
「デートのワケね……」
真涼は俯いてしまった。
やはり聞かない方が良かったのだろうかと少し悪い気持ちになったが、元々は真涼がデートの時に話すと言った。
それに大したワケでもないだろうと俺は思っている。
「…………私の…………」
なんかものすごく重たい空気になってしまった。
真涼も言いにくそうに話そうとしている。
言いたくないことなら言わせない方がいい。
余計に傷つけば、俺が何かしたんじゃないかって田村先生に問い詰められて困る!
「真涼、言いにくいことなら言わなく……」
「遊びに付き合わせたかっただけ」
「てもいいんだからな……は?」
俺の言葉を遮り、真涼が面白いことを言った。
最初はどういう意味なのか分からず、考えてしまったが……意味はそのまんまみたいだ。
「じゃあ、さっきの重たい空気はなんだったんだよ!?」
「あれは…その方が恋人ぽくていいかなって」
どこがだよ!別れる前の恋人みたいじゃねぇか!
「なんか変な気遣いをして疲れた」
「あら、あなたに気遣いというものがあるのね(笑)」
「うっせー!そんぐらいはあるわ!」
俺の事をどう思ってるんだコイツは。
思いやりもない人でなしとでも言いたいのか?
俺はよく腐っているとか言われるが心は腐ってない。むしろピュアだ!
「…フッ」
「今なんで鼻で笑った?!」
「いや、あなたの考えることが面白すぎてつい」
俺の考えていることを読まれた?!
「もうそろそろ行きましょ。そうじゃないと日が暮れるわ」
「ああ…」
日が暮れると言ってもまだ午後三時前なんだが……。
とにもかくにも真涼がベンチから立ち上がったので俺もそれにならい真涼の横につき、再び残り三百メートルの遊歩道を歩いた。
◆❖◇◇❖◆
ところ変り、場所はショッピングモール。
真涼がデートといえばショッピングとスマホの画面を見ながらそう言ったので来てみたが……
「この後どうすればいいのかしら…」
ショッピングモールに着いた後もスマホ画面を見ている真涼さん。
どうやらデートについて調べた内容を見ながら行動しているのだろう。
――分からねぇならデートに誘うな!
「とにかく服とかじゃねぇのか?」
「服?」
「そう、大体デートのショッピングといえば彼女の服探しとかでしょ」
女子の服選びは本当にめんどくさい。
長いし、いちいちこれに似合うとか聞いてきたり、そんぐらい試着して鏡を見れば自分でも分かるだろ。
ちなみにソースは俺である。
「あら、お詳しいのね。ぼっちのくせに」
「……挑発してんのか?」
やっぱりこの女嫌いだ!
ただ、テレビとかアニメでそういう場面を見るからそうなんじゃないかと思って助言してやったというのに!
「はぁ……とりあえずお洋服屋さんに行きましょ」
「そのため息はなんだよ?!」
真涼は「別にー」と言うと、先に歩いて行った。
俺もその後をぼちぼちと後を付いて行った。
◆❖◇◇❖◆
ショッピングモール内にあるファッション店に着くと、すかさず俺は白い目で見られた。
「あの人ストーカー?」
「絶対やばい人だよ!目がヤバいし」
店内にいる同じ歳くらいの女子高生や店員にコソコソとそんなことを言われている。
正直――勝手なことを言いやがって!
でも、このままだと精神的にもちょっと辛い。
俺は別なところにでも移動するかと思った時だった。
「ほら、ゆーくん!この服可愛くない?」
「……へ?ゆ、ゆーくん?!」
唐突に可愛らしい声でそう呼ぶから一瞬誰かと思った。
てか、ゆーくんって誰だよ!
だが、その可愛らしい声はもちろん真涼さんで、
「いいから恋人らしくしてなさい」
「ああ…」
小声でそう言うと真涼はいろいろな服を手に取り、俺に似合うかどうか聞いてくる。
「に、似合ってるぞ真涼」
あまりの性格変貌な真涼に違和感を覚えながらもなんとか彼氏らしいことを言ったりする。
これはたぶんだが、真涼の気遣いなのだろう。
俺が犯罪者だと思われないように今だけこうしてくれているのだと思う。
――ここで選んだ服は俺が買ってやるか。
「いや、その必要はないわ」
「なぜだ?」
「あなたが買った服は着たくない。着ただけで犯されそう」
「…どんな理由かと思ったら、ただの被害妄想じゃねぇかよ!」
「悪い?」
「悪いわ!俺に対して謝れ!人権侵害だ!」
酷い。
少し良い奴だなって思ったのに酷い!
「これどうかしら?」
「ああ…似合ってますよー」
それからして俺たちはデートが終わるまでショッピングを楽しんだ。
いや、少なくとも俺は楽しんでないが。
◆❖◇◇❖◆
「ただいまー」
悪夢のようなデートが終わり、家に帰りつく頃には午後八時を過ぎていた。
玄関に腰を下ろし、靴を脱いでいる途中、家の奥からトテトテと可愛らしい足音が近づいてきた。
「おかえりー」
我が可愛い妹の涼花だ。
お風呂上がりか、ほんのりと顔が紅潮していて女の子独特のシャンプーのいい匂いがする。
「今日は楽しかった?」
「いや、まったくだ」
そう言うと「あそ」と言ってまた家の奥へと行ってしまった。
――冷たいなぁ…。
小さい頃はお兄ちゃんとか言って離れないほど俺の事が好きだったくせに。
今現在中学二年生になった涼花はとてもそうは見えない。
成長というものは人の心まで変えてしまうのか。
「風呂にでも入るか……」
俺は少し寂しい気持ちながらも風呂に入ろうと、脱衣場に入る時、涼花がまたこちらへと戻ってきた。
「お兄ちゃん、お風呂のお湯抜いてあるからまた入れ直してね」
「なんで?!」
「だって妹の残り湯で入るとか……まじキモい」
なんか心にグサッて刺さった。
俺って嫌われてるの?
実の妹にまで嫌われたら本当の意味で真のぼっちになるよ。
もう……あの小さい頃の涼花を返して!
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アホの子は俺だ!
主人公どんな目ぇしてんの?w