男女比が異常な異世界で最強になった俺は前世の夢を追い続ける

音感あっきー

2章。崩壊の欠片。

歩いた。
少女と共に。
右も左も分からず、2人は歩いた。

「貴女の名前はなんて言うの?」

「サンよ、君は?」

「レインです」

「私は君とどこかで会ったことがあったかしら」

「いいえ、全く無いと思います」

「そう…ですか。」

2人はただ歩いた。
何も無いはずの何かに向かって。

『助けて…』

そんな声が何も無いはずの何かから聞える気がするのだ。
だから、2人は歩く。

「…やっぱり、聞こえますか」

「ええ、聞こえるわ、助けてって」

「助けに行くんですね」

「困っている人がいたら助けるのは当たり前って教わったのよ」

「僕もそう思います」

「……そう。君もそう思うのね」

「どんどん声が近づいてきますね」

「ええ」

ぴゅん。

「!?」

「どうしたの?」

「……あ、いえ、特に何も…」

「あまり、紛らわしい事しないでよ、怖いじゃない」

「怖いのに行くんですか?」

「当たり前よ、君は怖く無いの?」

「……怖いです」

「手…繋いでよ、暗いしはぐれたら大変でしょ?」

「え、ああ、はい」

2人は手を繋いだ。
お互い頼る事を決めたかの様に。

ぴゅん。

「「!?」」

「これは…?」

「やっぱり見えましたか…?」

「ええ…でも、変な映像だったわよ?」

「……僕もです」

ぴゅん。

「「!?」」

「「ミーシャさん!?」」

「「え?」」

「ミーシャさんを知っているのですか?」

「ええ、知ってるわ、寮母……………だもの」

「学生さんでしたか、僕もです」

「ルーシャさん……も知ってる?」

「………………黒い炎に焼かれて………ルーシャさんは死にました」

「…………………君、さっきあの部屋にいた子だったわね…」

「はい、ルーシャさんは………魔法をかけられてしにました……」

「私よ………ルーシャさんを殺したのは。私……」

「そんな気はしていました。黒い炎と同じ魔力を感じますから………」

「私を…殺さないの?」

「…憎いですし、殺してやりたいです……でも………何故かは分かりません。貴女には僕の魔法がかかっているんです…」

「魔法…?」

「貴女に何かあった時に直に検索魔法で異常が伝わるマーキングの魔法です…」

「………」

「僕はこの魔法を信頼出来る大切な人にかけているんです……」

「どうして私に…?」

「分からないんです。……分かるまでは貴女を殺す事なんてできないです」

「そう……私は罪を償うべきだわ……最期の時は君に頼むわ……」

「……何故、殺される事に抵抗しようとしないんですか」

「……軽い気持ちでやった事を覚えてるのよ。何でかは分からない……でも、そんな自分は大嫌いだから……早く死にたいのよ…」

「………分かりました」

「どうしてそんなにすんなり受け入れられるの……?こんな事、嘘だとか思わないの?」

「…………悪の手。僕は悪の手で人格がおかしくなりそうでした…。あの部屋に貴女も居たなら、そうなってもおかしくないのかもしれない……でも、僕の記憶には貴女があの部屋にいた覚えは無い…僕もよく分からないんだ」

「…………だとしても私はルーシャさんを殺した事に変わりはない、最期には私を殺してね…」

「………」



2人の声は何も無い暗く重く悲しい空間を遮られる事無く、響いた。

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