男女比が異常な異世界で最強になった俺は前世の夢を追い続ける

音感あっきー

2章。崩壊の人間関係。

俺は何処か暗いドンヨリとした場所にいるようだ。
暗くて重くて…悲しい。


私は何処か暗いドンヨリとした場所にいるみたいだわ。
暗くて重くて…悲しい。


私は何処か暗いドンヨリとした場所にいるようね。
暗くて重くて…悲しい。


がちゃ

「ルーシャ!!」

漂う異臭。
焼け焦げた死体。
独り横になる赤色髪の少女。
独り立ち尽くす少年。


そこにはもうルーシャと呼べる人間の姿は無かった。

「………………もう駄目ね」

「ミーシャ様、初めまして。私はレイン様が魔法で作り出した空想上の人格です、今は訳あってレイン様の代わりに身体を動かしています」

「………貴方は悪の手に染まったの…?」

「いいえ、染まったのは……サン様です」

「………そう、今は寝ているのかしら」

「はい、私が目覚めさせる以外には目覚める方法は有りません」

「分かったわ、それじゃあ…」

ミーシャは左手をサンの背中に当てる。
そして、暫くすると手を離した。

「善の手…ですか、悪の手もどちらも魔王が使っていた物の筈ですが」

「ええ、私とルーシャは子どもの時に魔王に拉致されてこの力を植え付けられたのよ。私は実験を繰り返して直に力を制御出来たけど、ルーシャはそうはいかなかった。これはルーシャが悪いわ。サンは何も悪くない。……でも、もうサンには会えない。会いたくない……」

「気持ちを尊重します…サン様は私が責任を持って対処します」

「ええ…アイちゃんが外で待っているわ、行ってあげなさい、ルーシャの事は私が」

「はい…では、お願いします…」


「お兄ちゃん…お姉ちゃん…」

「アイ様。驚かないで下さい。私はレイン様が魔法で作った仮の人格です。今、レイン様は心に深い傷を負われています。なので代わりに私が身体を動かしています、サン様は暫く眠られたままでしょう」

「お兄ちゃん、お姉ちゃん、大丈夫?」

「大丈夫です。きっとまたいつも通りの2人が戻ってきます」

「約束……キャラメルナッツ……」

「大丈夫です。レイン様はその約束を忘れてはいません。もう少しだけ、約束を果たすのを待ってあげて下さい」

「ん…」




何もなくて、暗い。重い。悲しい。
ここは何処なのだろうか。
俺はさっき迄何をしていたのだろうか。
全く思い出せない。
道とも呼べない黒い何かを俺は歩き続ける。
足は震え竦むけれど歩き続ける。
ただ、歩き、前に進み続ける。
何もないのに。
何かある気がする。
ただ、俺は歩く。
歩くだけだ。
そして、それは突然として終わる。
道が終わる。
暗い空間は真っ黒な空間に変わる。
寒い。
重い。
怖い。
歩みを止めたくなる。
でも、何かある気がする。
ただ、それだけを理由に歩み続ける。
歩くだけ。
真っ暗な先の見えない道に光が指すことは無い。
きっと、無い。
誰かが光を通すまでは。

コツン。

音は軽快に響き、振動が頭に伝う。
その振動には温かみがあった。
大切な何かを伝えるかの様に丁寧に振動が頭を伝う。
痛い。
悲しい。
苦しい。
理解不能。
そんな感情が一瞬にして溢れ出る。
目の前には少女がいた。
どうやら、俺と額をぶつけた様だ。

「あの…すみません。ぶつかってしまいました」

「いえ…全然、平気です。……では」

そんな言葉を交わして歩いた。
2人は歩いた。
同じ方向へ。
何かに導かれるように。
何も無いのにあるかのように。
2人並んで歩き出した。



赤髪が揺れる少女と共に、歩き出した。

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