男女比が異常な異世界で最強になった俺は前世の夢を追い続ける

音感あっきー

2章。崩壊の姉弟。

「レイン君…?どうしてやめちゃうの…?早く私の初めてを奪ってよー」

「…………。」

俺は最低だ。
最低、最低…
最低
最低
最低
最低…
身近な人を助ける事さえ出来ない。
そして、大切だった姉さんを傷付ける。
こんな事したくないのに。
でも、しているのは俺だ。
俺の身体だ。
姉さん…
ごめんなさい。
俺はもう…姉さんとは生きられない。
こんな事、悪夢であって欲しい。
でも、俺にはもう、姉さんを好きでいる資格なんて無い…。
姉さんを守れなかった。
大切にしたかったのに、できなかった。
好きだったのに。
大好きだったのに。
あぁ…もう…駄目だ。




俺は最低だ。




『レイン様、身体をお借りします』

その声と共に俺の意識は途切れた。



サンSide

「レイン君…早く私を犯しなさい」

「それはできません」

……レイン君じゃない。
見た目はレイン君だわ。
でも、中身…精神が違う。
誰なのかしら。
まだ教育の途中なのだけれど。
レイン君と私の邪魔をする人は許さないわ。
あと少しでレイン君が完全に私の物になったのに。
許さない。

「あなた…誰…?レイン君じゃないわね…?私のレイン君はどこに行っちゃったの…?ねえ、レイン君を返してよ…」

「それは私が許しません、無効」

どうぅぅぅうん

低い音と共に私がレイン君に浴びせていた魔力や魔法が全て解除された。

これは何…?
無効魔法?
でも、私は無効魔法が掛からない様に魔法自体を魔力で覆ってガードしていたのだけれど。
その魔力ごと無効化された?
でも、レイン君ならそれくらいできそうね。
だからこそ、レイン君の身体を乗っ取る奴なんて許せない。

それにしても……さっきので黒炎も消えたみたいね…あらあら、ルーシャさんはもう死んだみたい。
嫌な匂いだわぁ。
私とレイン君の邪魔をするからこうなるのよ。
本当ならアイちゃんも焼き殺す予定だったのだけれど、気づいたら居なかったわ。
次、会ったらレイン君に関わった事を後悔させるくらいの痛みを味合わせてあげるんだから…うふふ。

そんな事より、レイン君を取り戻してあげないとね…。

「レイン君を取った罰よ、悪夢を見なさい…拷問魔法、メンタルブレイク」

この魔法は相手が1番恐れている光景をピックアップして精神が崩壊するまで夢のよう見させる魔法。
図書館の魔法書に危険魔法一覧として載ってたのを使ってみたんだけれど、上手くいくかしら。
レイン君の為なら何でもできる気がするわ。

「無効」

どうぅぅぅうん

その端的な言葉と音と共に全ての魔力、魔法が崩れ落ちる。

何なのかしら、この魔法は。
流石、レイン君の身体だわ。
早く私だけの物にしたい。

「サン様、レイン様の事を思うのならレイン様の夢の事も考えてあげて下さい」

何を言っているのかしら。
レイン君の夢は人助けよ。
でも、私だけを助けてくれたら良いの。
他の人なんてどうでも良いわ。
レイン君には私しかいないの。

「レイン君は私だけの物。レイン君も私だけの為に生きれば良いのよ、精神魔法、魅了」

これで相手を落として拷問魔法をかけ直せばいいわ。
本当なら襲ってくれたレイン君に使うべきだったのかもしれないけれど…。

「無効」

どうぅぅぅうん

………これはおかしい。
何も効かないんじゃないのかしら。

「豪炎魔法、プロミネ…」

「無効」

どうぅぅぅうん

………魔法の作成途中で防がれた。
おかしいわ。
こんな事、レイン君にできるのかしら。
魔法を撃つ前よ?
無効魔法は魔力の流れを殺して魔法自体の構成を壊す魔法。
でも、今のは私の身体の中の魔法を構成するための魔力の流れを殺された。
もう一度…。

「地獄よ、ほの…」

「無効」

どうぅぅぅうん

……………魔法の構成のために動いた魔力な流れを殺している。
無詠唱で悟られないようにすれば…。

(じご…)

「無効」

どうぅぅぅうん

…………嘘でしょ…。
流石にこんな人と戦っても勝てないわ。
レイン君はもうこの世界にはいないのかしら。
レイン君を乗っ取った人を許す訳じゃないけれど、私がもうこの世界にいる意味は無いわ。
レイン君の居ない世界なんて地獄同然よ。

「自滅まほ…」

「無効」

どうぅぅぅうん

…………魔法は使わせてくれない訳ね。
なら良いわ、短剣で喉を突いて死にましょう、でも最後に。

「私はレイン君を奪った貴方を呪い続けるわ、さようなら」

「無効」

どうぅぅぅうん

え……。
何で手が動かないの…?
後は短剣を突き刺すだけよ…?
もしかして、これもその魔法のせいなの?
私を死なせてはくれないのね。

「私を殺しなさい、レイン君のいない世界なんて生きる意味が無いわ」

「それは出来ません。レイン様が悲しみます」

「なら、レイン君を返しなさい」

「それは出来ません。レイン様はサン様の事で心を痛めております」

「あら、それは本当なの?なら教育は上手く行ったようね。これでレイン君はもっと私を大切にしてくれる筈だわ、だから早く返しなさい」

私は短剣をレイン君もどきに投げ付ける。
いや、投げ付けようとした。
レイン君もどきの魔法の前までは。

「無効」

どうぅぅぅうん

身体が動かない。

投げようとした短剣は床に落ちる。
さっき自殺しようとした時と同じ。
短剣を投げる事が出来なくなった。

これはお手上げだわ。
退却して、次の機会にレイン君を取り戻しましょう。

「無効」

どうぅぅぅうん

………帰りたいのに、足が…動かない。
心が読めるの?
まさか。
でも、魔眼にはあった筈だわ、心理眼という種類だったかしら、レイン君は魔眼持ちなの…?

「どうして帰らせてくれないのよ」

「サン様を救う為です、貴女はやり過ぎた。もう、今までには……戻れない」

「レイン君が戻れば全て解決よ。私も救われる、レイン君も救われる。これで良いじゃない」

「サン様にはもう選ぶ権利は有りません…。レイン様の記憶を全て忘れて下さい、サン様を縛るのがレイン様なのであればレイン様の事を忘れれば救われます」

「じょ、冗談は止めなさい!そんなの許さないわ!レイン君の事を忘れ…」

「無効」

どうぅぅぅうん

「サン様……貴女にはもう拒否権は有りません」

話せない…
声が何も出ない…
嫌よ…レイン君の事を忘れるなんて…
そんな事したくないわ…
レイン君は私の…私の物なのに……



「記憶……………………消失」



レイン君……助けて……



ぷつん。


そんな音が私の頭の中でした。
目の前にはこの世界では珍しい男の子がいる。
右の方には私が魔法で燃やし真っ黒に焦げたルーシャさんの死体がある。
死体……がある。
私が燃やした…?
何で…。
私は人を殺したの…?
無意味に…?
知り合いを殺した…?
どうして…?
なんで…?
いいや、私は殺してない。
殺してない。
殺してない。
殺してない。
そうよ。
殺してない…わ。
殺して……ない。
……。
嘘…。
私が殺したの?
なんで。
どうして。
分からない。
軽い気持ちだった気がする。
殺した。
私が殺した。
私が………。
嫌よ…。
こんなの…。


私は最低だ。



「今は眠ってください」


目の前の少年が発した悲しそうな声で私の意識は途切れた。

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