男女比が異常な異世界で最強になった俺は前世の夢を追い続ける

音感あっきー

2章。崩壊の始まり。

むむむ………。

「レイン君、何でルーシャさんと仲良くなってるの…?」

「あら、貴方はレイン君のお姉様だったかしら、私がレイン君と仲良くなると何か都合の悪い事があるの?」

「あるわよ、大ありよ。ミーシャさんに迷惑かけるような人をレイン君に近づけるとレイン君が悪い子になっちゃうわ。そのせいで私に構ってくれなくなったらどう責任を取るつもりでしょうか」

「…迷惑なんてかけてないわ、私はレイン君に悪影響なんて与えないわ、寧ろ良い影響を与えるでしょうね、私達、もう団結してますから」

ぎろっ。

俺を睨む姉さん。
何で今日はこう、ホイホイと修羅場がやってくるのかな…。
ルーシャさんも、団結したって言ってるけど、それはただどちらも平等主義だったってだけだろ…。
姉さんもルーシャさんにキツ過ぎだ。
だが、魔力による威圧はアイがいるからか抑えているみたいだ。

「喧嘩、駄目」

あぁ、アイ、お前だけは本当に良い子だなぁ。
平和が一番だもんなぁ。

「アイちゃんは黙ってて。ルーシャさん、今すぐレイン君の前から姿を消して下さい」

「嫌よ、私はレイン君でないと駄目なの」

「そんなの私が許さないわ、レイン君と一緒に居たいなら力くらいコントロールできる様にしなさい」

力…?
何の事だ?
ツンツン性格の事か?

「駄目」

アイは2人の間に入って両手で制した。
が、身体が小さい為、小動物が間違えて混入した様にしか思えない。

「アイちゃん、この人は…」

姉さんが何か言いかけた瞬間、アイはルーシャさんにある言葉を告げた。

「右手、変」

右手?
俺はアイが言う、ルーシャさんの右手を見てみたが、特に何か変わった事は無い。

「え………嘘…!?」

「ちょっと、こんな所で止めてよ!?」

何かマズい事が起こったかのような顔をするルーシャさんと焦る姉さん。
俺には何がなんだか分からない。

「……!!逃げて!」

アイは俺に向かってそう言う。
いつもよりも声が大きい。
そして、表情に焦りがある。
ただ事…では無いようだな。

(神ちゃん、何が起きてるか分かる?)

『よく分かりません。ただ、ルーシャ様の右手が黒い魔力覆われています。多分、レイン様には私達がいるので大丈夫だと思いますが……サン様とアイ様は危ないかもしれません。』

(そっか、サンキュ神ちゃん)

「無効魔法」

俺はそう口にしながら、ルーシャさんの右手に触れる。

どくんっ

あれ。
なんだこれ。
何かが入ってくる。
黒いモヤモヤ?
頭がボーっとして…。
瞼が重くて…。
あれ、眠い…?

……………われ

ん?
声が聞こえる?

………変われ。…やく変われ。早く変われ。

変われ…?
どういうこと…?
変われ…変われか。変わる。
そうか変われば良いのか。

…うだ、変われ。そうだ、変われ。そうだ、変われ。

変わる。変わる。変わ…。

『レイン様!自分の夢を思い出して下さい!』

…夢?
何言ってるんだ?神ちゃん。

『これでは駄目ですか……。では……。はじめ!!あんた、何の為にこの世界に来たのよ!かんたの夢は一体何!!』

未来?
未来なのか?
俺の夢…俺の夢は………はっ!!

俺の夢は人を本当の意味で助ける事!

『レイン様、意識ははっきりしましたか?』

おう、何か危なかった気がするけど大丈夫。

『単刀直入に言います、ルーシャ様は悪の手の後継者の様です。』

悪の手?

『はい、触れた者の中にある悪の部分を引き出し、飲み込ませる魔の手です。以前の使い手は魔王ユウト様の前の魔王でした。しかし、何故、継承されているのでしょうか…』

え、何か取り敢えず危険なんだな。
分かった分かった。

「ルーシャさん、誰にもふれてはいけません。」

「で、でも、勝手に手が動いて……」

「じゃあ、僕がルーシャさんの手を握っています。安心して下さい」

「え……」

俺はルーシャさんの右手を握る。
黒いモヤモヤは相変わらず体の中に入ってくるが、さっきの様に声は聞こえて来ない。
恐らく、俺が自我を取り戻した時点で免疫が付いたのだろう。

「れ、レイン君!手を離さなきゃ駄目よ!」

「お兄ちゃん、駄目」

「大丈夫。姉さんとアイは一旦、この部屋から出て」

「駄目、レイン君はこの人の事を何も知らない!その手を早く離して!でないと……もう、レイン君が……」

「お兄ちゃん、手、離す!」

2人は俺を注意しながら俺の手をルーシャさんから引き剥がそうと近寄る。

いや、待って、これで姉さん達が俺の手に触れたらマズいんじゃないの?

「…来ちゃ駄目!」

ルーシャさんは俺に手を握られながらも勝手に動こうとする右手を抑えながら言う。
動こうとする力が強い。
普通の人間では考えられない強さ。
チートだ。
それに対抗してる俺もチートか…。
ルーシャさんは次第に自我を失い無の表情へと変わっていく。
魂が抜けているかのようだ。

そして俺は近づく2人を余った左手で来ない様に制する。
が、

「レイン君!お願い!お願いだから離して!」

姉さんは俺の余った手を両手で握り懇願する。
マズい。
身体に溜まってる黒いモヤモヤが姉さんに流れ込んでる。

『手遅れです、対策を』

冷静になれ俺。
今すべき事。
姉さんを元に戻す。
いや、
アイだけは触れさせてはならない。

「アイ、今、絶対に俺に触れるな。手遅れになる」

「ん…お姉ちゃん……」

アイは魔眼のお陰か姉さんに入り込む黒いモヤモヤに気付いているみたいだ。
取り敢えず、説得できて良かった。
姉さんは黙ったままずっと俺の手を握っている。

「アイ!今すぐミーシャさんの所に逃げろ。フードはしっかり被れ。良いな!帰ったらキャラメルナッツを皆で食べよう!」

「………ん、約束…」

「おう、約束だ」

俺はアイと口約束を交わした。
アイの事を知ってるのはミーシャさんのみ。
ミーシャさんならアイを任せられる。
そして、アイは俺をチラチラと見ながら最後には目を瞑って部屋から出て行った。

さぁて、ルーシャさんは茫然自失。
姉さんは取り込まれた。
どう戻すか…。

ルーシャさんの手の力が弱まった。
と思ったら、ルーシャさんはその場に倒れ込んでしまった。
気絶したようだ。
俺と姉さんもルーシャさんに握られたままの手につられてその場にしゃがみ込む。
すると…

「あれ、レイン君。どうしてルーシャさんとまだ手を繋いでるの…?」

姉さんは俺のルーシャさんと手を繋いでいない方の手を両手で握ってポツリと聞こえるか聞こえないかの声で呟いた。

何かが違う。
いつも姉さんはこんな顔をしない。

姉さんの顔は嫉妬と憎しみから自然と笑いが込み上げるかのように不気味な笑みを浮かべていた。

「ねぇ…。何とか言ってよ…。レイン君…。…………………殺してやる。レイン君を困らせたお前を殺してやる!」

姉さんは少しの沈黙の後、物凄い殺気を漂わせ倒れているルーシャさんを睨む。

そして姉さんは一息溜息をついた後、

「地獄よ…炎よ…憎しみのままに全てを焼き尽くし相応の死を与え給え…獄炎魔法、黒炎」

発動された魔法は姉さんの得意技の魔力の遠隔操作でルーシャさんに直接発動された。
ルーシャさんの身体に小さな魔法陣が幾つも浮かび、そこから黒い炎が現れる。
その黒い炎の1つ1つは認識能力があるかの様に床や壁などを燃やそうとせず、ルーシャさんだけに火を次々と引火させていく。
ルーシャさんの全身は一瞬で黒い炎に包まれた。

俺はさっきからルーシャさんに繋がれていた手から無効魔法を掛けようとしたが、何故か効かず、火が消える事はない。

「姉さん!火を消して!」

俺は姉さんに大声で叫ぶように伝えるが、

「レイン君に近寄る女の子は皆、殺してあげないと…。レイン君は私の…私だけの物…うふふ…」

姉さんはまるで何も聞こえていないかの様な反応をする。
きっと本当に俺の声など聞こえていないのだろう。

「姉さん!!」

「………でも、女の子と手を握ったレイン君にも教育が必要ね…」

「姉さん!!」

ずっと叫ぶものの一向に反応しない。
こんな事をしている内にもルーシャさんは炎に蝕まれる。

『先に強制回復をしましょう!回復しながらなら恐らく助かります!』

俺の目の前で巻物が収納から取り出された。
俺は姉さんを呼ぶ事を止めて、巻物を広げて既に書かれている魔法陣に足を踏み入れようとするが…手で押されて邪魔をされた。

「レイン君…?そんな事をしたら駄目よ…?やっぱり、レイン君にも教育が必要みたいね…うふふ…憎まないでね…?全部、レイン君が悪いんだから…」

「我が愛する人に教育を…拷問魔法、拘束」

そう唱えながら強制回復の巻物を破り捨て、俺にその紙を投げつけた。
その直後。
俺は一切身動きが取れなくなった。
動きたいのに動けない。
いや、動き方を忘れた。
そっちの方が正しい表現かもしれない。

(神ちゃん、どうなってるのこれ!)

『レイン様の使う拘束魔法に似ています、痛みを感じないのは私が防御力を最大まで上げているからです、これくらいの魔法なら直ぐに解けるはずなのですが……サン様は隠れた才能があるのかもしれません。全く解除が出来ない完璧な魔法です』

(じゃあ、ルーシャさんは!!)

『このままでは死にます』

やだ。
絶対にやだ!
死なせはしない。
ちゃんと救う。
救ってみせる。

でも……身体が。

「レイン君、動かないでしょ…?うふふ…じゃあ始めましょうか…教育を…」

そう言って近寄って来た姉さんは俺の服を懐から出した短剣で切り裂き始めた。
刃が皮膚に当たって当たっているが防御力のお陰で傷は何も付いていない。
だが、服はもうボロボロで殆ど上半身裸の状態だ。

「あれぇ…?レイン君、かた〜い…つまらないなぁ…あ、そう言えばレイン君の剣って良く切れるわよねぇ…制御、収納魔法、剣」

姉さんがそう魔法の内容を呟いた後、俺の体の中の魔力が勝手に動き出し、収納魔法から剣を1本取り出した。

「魔力が勝手に………」
  
力士十人分刀だ。
これで斬られたら流石にマズい。

「レイン君は私の物だもの…レイン君の物も私の物だわ…」

姉さんは俺の刀を持ち上げようとするが、持ち上がらない。
これは奪われない様にする為の工夫である。
この刀は力士十人分の力が無いと持ち上げられない。

「おも〜い…もう、いや〜…レイン君、持ってよー…」

姉さんがそう言うと俺の身体は勝手に動き出し刀の刃の方を両手で握り持ち上げようとし始めた。
だが、持ち上がらない。
これは幸運だが、俺の身体の能力は神ちゃんの力で引き上げたり、下げたりできる為、意図的にこの刀を持たない事もできる。
血までは出ないが皮膚に傷は付いたようだ。

「え〜…つまんない…う〜ん…じゃあ…レイン君寝転がって…」

その言葉通りの行動を俺はしてしまう。
そして、その後、姉さんは何の躊躇も無く服を脱ぎ始めた。
黒の下着。
姉さんの白い肌が目立つ。
そして、ゆっくりと不気味な笑みを浮かべながら寝転がっている俺に近づきまたがって…

熱い口づけをした。

何も動かない俺の身体を撫で、抱きしめ、肌を合わせる。

「レイン君の初めては私が貰って良いよね〜…姉としてそんな事をしたらいけないって思ってたけど…レイン君が悪いんだし…痛みで分からないなら…精神的に分かってもらうしかないよね…私ね、レイン君が私の事、大好きで大切にしたいって知ってるんだぁ…。だから……レイン君、私を犯しなさい…」

身体が勝手に動き上にまたがっていた姉さんを押し倒す。
そして、今度は自分から姉さんに熱い口づけを交し、姉さんの身体を撫で、抱きしめ身体を重ねる。
行動の全てに制御が効かない。
感情とは無関係に勝手に身体だけが動く。
意志とは無関係に勝手に身体だけが動く。
心と身体が離れていく。
こんな事したくないのに。
姉さんは大切なのに。

『落ち着いて下さいレイン様』

姉さんを傷つけたくないのに。
身体だけが勝手に動く。

『レイン様!』

俺は何をしているんだ。
何で俺の身体は止まってくれないんだ。
俺は姉さんになんて事をしているんだ。
俺は最低だ。



「うふふ…さぁ…レイン君、早く私の初めてを奪って、私にレイン君の初めてを奪わせなさい…」


俺は人の焼ける匂いが充満する部屋で独り心を壊した。








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