最強になった俺は前世の夢を追い続ける。

音感あっきー

2章。虫取りハンターは虫嫌い。

下校の時間になった為、ギルドに寄る。

がちゃ。

からんからん。

ぎろっ。

相変わらず、銀髪のオジサンがいる。

まぁ、そんなんはスルー。

依頼板を見に行く。

何か良い依頼は無いかなーっ。

商人の護衛。
角クマの角討伐。

うーん、良いのが無い。
でも、これからは食材2人分だからなぁ。

とか思ってたらアエンさんが新しい依頼を貼りに来た。

「よお、レイン、どんな依頼探してるんだ?」

「取り敢えず、木の実とかの採集ついでに何か狩ろうかと。」

「おお、なら森に行くんだな?今持ってきた依頼だけど、どうだ?」

アエンさんはピラピラと紙を揺らして俺に見せる。
そこには、

昆虫型魔物の討伐。
アイアンカブト
アイアンクワガタ
メガカマキリ

うーん、出来れば手をつけたくない…。
虫、苦手なんだよなぁ。
でも、アイアンって事は前のアイアントカゲみたいに、金属に覆われてるのか…。
なら案外許せるかもしれないなぁ。
でも、カマキリはなぁ…。
あの、プックリしたお腹とそこに入った節目のような線。
そして、お尻のピロピロってした感じの何か。
体の大きさに不相応な顔の小ささ。
そして、顔面の大半を占める大きな目。
鎌は黄緑色かと思えば、若干先の方が黒くなってたり、首に当たりそうな部分が長すぎたり……。
あぁ、考えるだけで無理。

全国のカマキリ信者さん、許して。

でも、アイの為だ。
受けるしかないな。

「その依頼!受けました!!」

ピカーンと言わんばかりに決めポーズをしておいた。
勿論、自分の心を騙す為に。




さぁさぁ、昆虫刈りが始まりました。
でも、まずは木の実からだな。
検索魔法で木の実を探し、即座に集める。
中には、本当に食べれるのか分から無さそうな木の実もあったが、神ちゃんが普通に美味しい奴ですと言うから信じて取っている。
たまに、木の実に変な虫が付いてたり、穴が空いていて、中から幼虫さんが、こんにちは。って言ってくるけど、収納魔法に入れたあと、神ちゃんに処理を頼んである。

取り敢えず、1週間毎日、食べても無くならないくらいには集めた。
正直、森の中に沢山、食べれる木の実があって驚いた。
さぁ、次は依頼だ。
依頼を熟さなければ、いずれ民や他の冒険者に迷惑がかかる。
仕事だ仕事。
虫取りハンターなんかじゃない。

「検索魔法、アイアンカブト、アイアンクワガタ」

取り敢えず、メガカマキリは放置だ。
奴は慎重に倒さないときっと体液が撒き散らされる。

「神ちゃん、一応聞くけどさ、アイアンカブトとかって食べれるの?」

『はい、ですがマズいです』

よし、間違ってもアイが食べたいとか言わないようにさせよう。

そして、反応のある元へと近寄った。

ガサガサ。
ガサガサガサガサ。

あぁ…いた…。
ピッカピカに輝いてる大きなカブトムシ。
昆虫特有のテカリが無くなっているから少し安心だ。

「どう倒そう…触りたくない。」

『暗黒魔法とかは』

「おお!暗黒魔法、ブラックゾーン!」

カブトムシさんは真っ黒な結界の中に入ってしまった。

「で?」

『結界を消す』

「わかった。解除。」



ぱぁぁぁぁあんっ!!!!!



…………神ちゃん、俺は今、凄く怒ってるからね。


というのも、ブラックゾーンは結局は強い重力で敵を超高圧で圧縮しているのと同じなのだ。
魔族を閉じ込めた時は魔族の体が肉であったため、肉質変化により、圧縮されたままの豆みたいな状態で出てきたが、今回の昆虫さんは違ったようだ。
そうだな、イメージとしては、張りのある大きな胸を鷲掴みにしたら、胸がもとの形に戻ろうと反発する感じだ。
まあ、童貞だからそんな感覚しらないんだけど。
俺の服、周りの木は飛んできた金属の破片やら、謎の液体やら、とっても気持ちが悪い。
討伐するんだから、討伐部位を持って帰らねば意味が無いのに…
いや、神ちゃんを責めても仕方が無いよな…。
俺がブラックゾーンなんて使わなければ良かったんだ……

そして、俺の検索魔法は異変を捉えていた。
何かゾロゾロこっちに近づいてくる。

ガサゴソ。
ガサガサ。
カサカサカサカサ。
ガサ。
ガサゴソ。
カサカサ。
ぶうぅぅぅん
ぶぅん
ぶぅぅぅぅぅうん

もっと獣が通ったみたいな音にしてくれないかな…。
虫が通ったとした思えないような、音なんだよ…。
多分、さっき飛んだ液体が実は虫を引き寄せたりする物だったりしたのかなぁ…。
最悪だ。

『レイン様、蜂がいますよ、巣を見つければ蜂蜜が取れそうですが』

「蜂ねえ、どれっ?って………待ってよ、大き過ぎだろ、ここは熱帯地帯か何かか?」

大きにして、ペットボトルくらいの大きさの蜂。
うーん、改めて、頭からお尻まで気持ちのが悪い。
取り敢えず、こんな昆虫に囲まれていたくないからなぁ。
蜂の反応を覚えた俺は自分に清掃魔法を掛けたあと、神速で森を天に向かって抜け出し、空高くに結界の上に立って高みの見物をしていた。
今なら、この森を焼き払っても罪悪感無さそう。
まぁ、それは冗談として……。
取り敢えず、蜂の動向を気にしながら、討伐対象を捕まえに行く。

アイアンカブト。
さっきのような失敗はもうしない。
「合成魔法、アイスストーム!」

アイスクリームと言いそうになるこの技。
簡単に言ったら、氷を風と共に撃ち出す技。
氷にはありったけの魔力を込めたため、アイアンカブトの金属の外殻を貫く。
穴から液体が出ると思った皆さん、俺は二度と同じミスは繰り返さない。
風圧で液体が出ない様にしているのだ。
そして、穴からはとても冷たい空気が入り込み、内部からカブトを冷やす。
さぁ、固まれ!
固まってしまえ!
ふははは、完成したぞ!!!
カブトシャーベットだ!!!

茶番はこれくらいにして、凍らせたかっただけなのです。
凍らせたらどこを攻撃しても液体は出ないでしょ?
取り敢えず、死んだらしいから収納する。
一番やりたくない解体作業は神ちゃん任せだ。

同様にアイアンクワガタも倒した。
クワガタの方はカブトより好戦的でガシガシと角を動かしていた。
一度キングザリガニーと戦わせてみたい。

さぁさぁ。
問題はここからです。
メガカマキリ。
実はもう目の前にいました。
魔力反応はあったけど、草と同じ色に擬態してて気が付かなかった。
大きさは大体、軽自動車くらいだ。
コイツもさっきと同じような殺し方をしようとしたんだけれど………

速い……。

魔法をとことん躱しやがる…
いや、まぁ、接近戦なら負けないんだけど、接近したくないじゃん?

そして、あっちは俺に向かってくるんだよ。
片思い乙。
俺がお前に惚れる事は多分無い。

仕方がないから、石を投げて、長い首みたいな所に当てて、分断する事にした。

「ここだ!」

ぱひゅんっ!!

どしゅっ!!


「よっしゃあ……。」

分断できた。
案の定、ストローから液体が溢れ出すかのように、首みたいな所から緑色の液体がドバドバ出てきた。

「氷結魔法。液体窒素」

白い水蒸気を上げてドバドバとした液体は固まり、カマキリも凍った。

はぁ、久しぶりに寒気がする戦いだった。

こうして、依頼を終えたレイン。

次は蜂を追う。




蜂がでか過ぎて蜂以外の生物に見えてきそうだなぁ…。
さっきから追尾していて、巣を見つけようとしているのだけれど…アレは巣なのだろうか。
いや、どう見ても不格好な太い木の幹…。
樹齢何年だよ…って言いたくなる。
うーん、でもアノ中に入っていくからなぁ、蜂の巣…なんだろうなぁ…。

「氷結魔法、液体窒素」

白い蒸気を上げて瞬く間に巣は氷漬けになる。

一応、もう三回くらい魔法をかけて、念入りに中までしっかり凍らせた。

じゃあ、次は…巣を切り取るか。

刀で地面から生える不格好な木の幹のような物を切り取る。

どうやら、地面の中は巣ではなかったらしい。

そして、取り敢えず、巣を一刀両断。

中には凍った蜂と蜂の子、恐らく蜂蜜のような物は凍っている。

うーん。このサイズの蜂の子はちょっとホラー映画に出てきそう…。
凍ってるからいい物を…。

蜂蜜の取り方は確か…蜂蜜を覆ってる蓋みたいなのを切り取って、木箱に固定して、遠心分離機にかけるんだったよなぁ。
でも、俺はチートを見つけてしまった。

(神ちゃん、転移魔法で蜂蜜になるであろう凍った部分を切り取ってこの瓶の中に入れてくれる?)

『了解しました』

有能。
これで蜂蜜採集は楽にできるな。

かこんっ。

まぁまぁ大きめな瓶、3本に凍った蜂蜜が入った。

神ちゃんは単純に蜂蜜が凍った部分だけを取り出してくれたため、わざわざ、水の氷の部分と混ざる事はなかった。

後はこのままゆっくりと常温に戻す。
確か、一気に解凍すると腐りやすくなるんだったけな。

目的は果たせたため、ギルドに行って依頼完了のお金を貰い、ミーシャさんの元へ迎えに行った。



「ミーシャさん、レインです」

「はーい、上がって上がってー」

お言葉に甘えて女子寮へと足を踏み入れる。

「お兄ちゃん、お帰り」

何だろうか、心温まる。

「ただいま、アイ、良い子にしてたか?」

「ん、良い子」

「レイン君、アイちゃん凄いのよ?掃除も魔法ですぐに終わらせちゃうし、レイン君の指導お陰ね」

ん?
掃除を魔法で…。
清掃魔法を使ったのか?
似たような魔法を使える人は少ししか見た事無かったんだけどなぁ…。

「アイ、清掃魔法使えるの?」

「清潔魔法」
首を振って、間違いを正した。

うーん。
清潔魔法は確かに清掃魔法とほぼ同じか…。
人間に使うか、建物に使うかの違いはあるが…。
だとしても、清潔魔法をいつ使えるようになったんだ?
元からか?

「前から家で使ってたの?」

「昨日」
また首を振って昨日と言う。
昨日。
昨日……うーん。
あっ。清潔魔法使ったか。
ん?って事は魔法を一瞬でコピーしたのか?

「アイ、魔法をコピーしたとか…?」

「ん」

天才児来ました。
これはこれは優秀な子ですね。
俺が使った魔法を全部使えたりしたら、暗黒魔法も使えるのか?
こんな可愛い子が?
いや、駄目だ。
これからは、絶対にアイの前で暗黒魔法を使わないようにしよう。
俺は密かに決意した。

「ミーシャさん、この子、天才児でした」

「え、じゃあお昼にお肉を3秒で焼いてくれたのもレイン君のコピー?」

「ん」

エルフは案外皆こんな子だったりするのか?
いや、やばくね?
表面を焼くのは良いとして、油を超振動させるのは外からは見えない筈だぞ?

「アイ、お肉の焼くのに使った魔法を教えて?」

「名前、知らない」

そうか、俺はお肉を焼くのは無詠唱でやってた。
だから、名前までは分からないんだ。
じゃあ、どうやってコピーしてるんだ?

「コピーの仕方は?」

「魔力、観察」

魔力を観察して、何をしているかを理解するのか。

「お兄ちゃん、魔法、変」

あれ、チートが見破られてるのか、もしかして。

『魔眼ですね。魔力の流れを感じるのではなくて、魔力を目で見てるんですね』

魔眼とかそういう機能あるのね。
こりゃ、凄いな。
ただ、俺の魔法を真似するって何処からを真似してるんだろうな。
神ちゃんに経由した後とか?
それなら、チート級だぞ。
というのも、俺が完成した魔法を神ちゃん経由で繰り出すと、神ちゃんは威力向上と魔力消費を抑えてくれるのだが、完成してない魔法は神ちゃんが魔法を完成させるのに力を少し割いている。
これが、神ちゃんから繰り出した魔法をコピーしているなら、俺の魔法なら一度見ただけで完成された魔法を使える様になるという訳だ。

「アイ、自分が魔眼を持ってる事は知ってた?」
俺はミーシャさんに聞こえないように小さな声で言った。

「んん、そうなの?」
首を振って聞き返してきた。

「うん、誰にも言わないように、これは約束だ」

「約束」

互いに小指通しを絡ませる。
小さな可愛い小指だ。

「なにー?隠し事ー?もー、レイン君ったら、私とも隠し事しましょー?」

うん、是非是非!夜の隠し事しましょー。
なんてアイの前では言えない上にそもそも言う勇気など無い。
俺は苦笑いをして、スルーした。

「では、ミーシャさん、そろそろ帰ります、明日、またアイをお願いします」

姉さんにはミーシャさんから伝えてもらう事にした。
多分、姉さんは先に他人から話を聞かない限りは、俺と一緒にいるアイを見た瞬間に気絶させかねない。


こうして、魔眼持ちだと判明したアイ。
彼女のこの力の活躍する場はもう少し後になる。

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