最強になった俺は前世の夢を追い続ける。

音感あっきー

2章。セリフの長さに対する返答の短さ。

「神ちゃん、俺、ーーーーーーーーーーー思う」

『まぁ、レイン様ならそう言いますよね。』

レインは崩れた王城の王座の場所に、魔族の文字でこう書いた。

【魔王ユウトは旅に出る事にした。だが、私の力で貴様らを常に見張っている。私がいない間、人間とは関わるな。何も干渉するな。私の旅を妨げるような事は絶対にするな。その様な事をすれば、魔王ユウトは配下にある貴様らでも構わず殺す。これは命令だ。頼んだぞ】

果たして、奴等がこんな物に従ってくれるかは分からない。
だが、少しの間は纏まってくれる筈だ。

「神ちゃん、転移魔法でグレンさんの所へ」

『了解しました。転移魔法』

ゲートが現れて俺はそれを潜る。




ゲートで戻ってきてすぐ。
俺はグレンさんに言う事がある。
信頼できる強い人間だからこそだ。

「グレンさん、聞いて頂きたい事があります」

「お、おお。何だ?」

「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー、お願いします。」

「おお、まぁ、レインの事だから何か考えがあるのだろう?」

「はい、それと今回の件は解決されました」

「ははは、そうか。」




「アエンさん、終わりましたー」

「おお、随分長かったな」

「ちょっと、色々ありまして」

「お兄ちゃん、怪我、ない?」

「大丈夫だよ、アイ、帰ろうか」

「ん」

そして、俺とアイは寮に。
アエンさんはギルドへと戻った。




「そこを何とか!お願いします!!!!」

「駄目よ、部外者は駄目」

「親が殺されてしまった子なんです!責任は僕が取ります!だからお願いします!!!」

「……………そんな事を言われたら、駄目とか言えないじゃない!食事もちゃんと自分で用意するのよ!」

「あ、ありがとうございます!!!」

アイを寮に入れる為に土下座をして、ルーシャさんに頼み込んだ。
ミーシャさんと血が繋がっているなら、どこかに慈悲深い所があるはず。
そう思って頼んだら、やはり、そういう部分があったようだ。
よかった。

「迷惑、ごめん」

「アイ、気にするな、あの人は根は優しい人なんだ」

「ん」

「明日から俺は学園に行かなきゃならない。その間、アイはルーシャさんのお姉さんである、ミーシャさんの所に預ける。その人はとても優しい人だ。頼って良い。俺は学園が終わったらアイを迎えに行く。いいな?」

「理解」

「よろしい」

頭を撫でてやる。
可愛過ぎる。
単語1語会話がここまで可愛いとは。

そして、もう1つ聞くことがある。

「アイ、さっき僕は魔王に会ってきた。そして倒した。だからーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。いいな?」

「ん」

「よろしい」

再び頭を撫でてやる。
心無しか、顔が赤くなっている。

「よし、寝るか!」

「……お風呂」

「ない」

「お風呂」

「ない」

「不潔」

「いや、清潔」

「嘘」

「事実」

「匂い、嗅ぐ」

「ほら」

すんすん

「清潔、何故」

「清潔魔法、香魔法」

「私も」

「ほいっ」

キラキラキラっ

すんすん

「ん、清潔、ありがと」

「よろしい」

再び頭を撫でる。
やはり顔が赤い。
可愛いいいいいいい!!
天使かよ…

「寝る」

「うん、寝るか」

そう言って俺は床で寝ようと移動すると服の裾を掴まれた。

「寂しい」

「………一緒に寝ようか」

「ん」

まぁ、俺の気遣いが足りないよな。
親が目の前で殺されたんだ。
安心して眠れるもんならもう、どこかで時間作って眠ってるよな。

そして、一緒のベッドに入って俺はアイの背中をトントンしていた。
アイが寝るまでは俺も寝ない。
暫くはそうしよう。
毎日をできるだけ楽しくして、一緒に乗り越えよう。

「アイは一人じゃない」
そう俺はポツリと呟いた。

「………ん」

まだ、起きていたのかと思ったが、寝言だったようだ。
うなされていたわけじゃなくて良かった。

俺も俺で今日は色々あった。

魔王ユウト。

頑張れよ。

そして、俺は眠った。


朝、俺の目の前には可愛い女の子がいた。
スースーと寝息を立ててグッスリと寝ている。
頭を少し撫でてみた。
すると、少し女の子の口元が緩んだ。
幸せそうな顔だ。
もう少し、頭を撫でてみた。
今度は瞼が動いた。
起こしてしまったかもしれない。

そんな事を思いながら俺はそっとベッドから抜け出て、朝食を準備する事にした。
簡単だ。
パン。
そして、フルーツ。

エルフがどんな物を食べるのかは分からない。
お肉は食べるのだろうか。
ベジタリアンなのかもしれない。

そんな事を考えながら、用意を済ます。
俺は女の子を起こすか迷った。
彼女は昨日途轍もなく悲しい思いをした。
ストレスも溜まっているはずだ。
眠れるだけ眠らせてあげたい。
今日はギリギリまで学園に行かない事にした。
瞬足を使えば、寮から学園までは屋根を移動して大体、10秒で着く。
そんな事を考えていると察したのか何なのかよく分からないが、エルフの少女は起きてしまったようだ。

「………ん、おはよ」

恐らく今、頭の中でここは何処だろう。
そんな事を思ったに違いない。
一応、前の家から大切だと思う物は持ってきて貰った。
いきなり、見知らぬ人間と暮らす事になったんだ。
少しくらい、思い出に浸りたい事だってあるだろう。

「うん、おはよう。よく寝れた?」

「ん」

「そっか。これ、朝食。エルフは何をどれくらい食べるのか分からないから教えてほしいな。」

「お肉、好き」

わお、お肉大好きとは。
ベジタリアンなのかと思ってた税を集めましょ。

「野菜は?」

「普通」

「フルーツは?」

「普通」

ほぉ。お肉が飛び抜けて好きなのか。
「量は僕のと同じくらいで良い?」

「ん」

「よし、じゃあ食べようか」

「食べる」

「いただきます」

「いただきます」

そして、エルフの少女はパンを一口食べる。
すると、目を輝かせる。
うーん、俺はお金があるからフワフワしたパンを買っているのだが、それが珍しいのか。
エルフっていうだけで少しお金がありそうな雰囲気がしていたが、そうでも無いのかもしれない。
駄目だ、甘やかしたくなる。
でも、いいよね。
お肉作っちゃお。

「オーク肉好き?」

「好き」

凄え、目がマジで光ってるよ。
魔法かな?
レーザー出そう。

3秒クッキングやるか。

(神ちゃん、二人分のオーク出してくれる?)

『了解しました』

すとん。

2つの切り取られた肉の塊が空間から落ちてくる。

「……!」

おおお、獲物を見つけたかのように反応するな。

表面を超高温で加熱し、内部にある油を超振動させて、内側も加熱し火を通す。

調味料をパラパラとかけて完成。

この調理法の凄い所は短時間というのと、表面を一気に焼き上げるため、外へ逃げる旨味と油が殆ど無いという事。
噛めば噛むほど味が出て、滅茶苦茶ジューシーなオーク肉のステーキが完成する。

もはや、肉なのか、油なのか分からなくなりそうだが、神ちゃんにはどちらも丁度いい雰囲気になるような部位を計算して、切り取って貰ってる。

「召し上がれ」

「ん!」

おお、元気だ。
心無しか耳が少し伸びてる気がする。
これは、そういう物なのか?

凄い勢いでお肉を食べている。
その目の輝きは消える事はなさそうだ。

「おいし」

「良かった、他に食べたい物ある?」

「ナッツ」

Oh.No!
飛び級冒険者は木の実等には全く無縁だった。
ストックが無い。
今日、取ってくるか…。

「今日取ってくるよ、他には?」

「蜂蜜」

蜂蜜。
これまた、珍しい物を好むもんだな。
蜂蜜は市販では中々売ってないが、エルフは作ってたりするのか?

「蜂蜜はエルフの好物とか?」

「皆、好き」

よし。
どう取るかは分からないが神ちゃんがいれば何とかなる。

「ごめんね、今日取ってくるよ、魚介は好き?」

「好き」

好き嫌いが無くて良い子だな。

「キングザリガニー焼いて食べる?」

「ん、好き」

おお、分かっているではないか。
あの、豆腐野郎、身がプリプリしてて美味しいんだよ。
そして、コイツに少し前に開発した、醤油もどき、に砂糖を混ぜてそれを塗ってやると、甘辛いタレのプリプリした海老もどきが完成する。
王都の居酒屋では、キングザリガニーは焼いて塩を振って終わりなのだが、前世の知識あってこその甘辛いタレ。
俺は朝からこんなにクドいものは食べる気にならないが、このエルフの少女は違うようだ。
因みにさっきからエルフの少女と呼んでいるのは、何か、朝のエルフの少女、という雰囲気がとても、愛らしい響きに感じるからだ。
名前を忘れたわけではない。

「召し上がれ」
甘辛いタレのキングザリガニー焼き。
腕の部分を更に半分にした物だ。
朝から食べ過ぎはあまり良くないと思って気持ち少なめにした。

「ん!」

余り、タレには驚いていない様子だった。
でも、美味しそうに食べる。
良かった良かった。

「よし、それ食べたら魔法で可愛い寝癖を直してミーシャさんの所に行こう」

「ん」

少し不安そうな顔をしている。
だが、学園に行かない訳にもいかない。
分身魔法をアイに置いていこうかとも思ったが、それは辞めておこう。
周りの人との関わりを大切にして欲しい。
少なくとも、俺の知り合いくらいは。
全員は無理だろう。
きっと、中にはエルフを好まない人もいる。
分かり会える人とだけでも、繋がりを持っておいて欲しい。


そして、男子寮を出て、姉さん達のいる女子寮へ向かう。

「ミーシャさん、レインです」

「レイン君?朝に来るなんて珍しいわね。お姉さんと一緒に登校?」

「いえ、そうではなくて…」

少し寮の中に入って話をする事にした。

取り敢えず、

「エルフは嫌いですか?」

我ながらド直球な質問だ。
嫌いと言われたら俺もアイも凹むよな。

「いいえ?エルフは耳が可愛いわ」

よしっ!

そこから俺はアンデッド騒ぎの事を伝えて、責任を持って引き取る事にしたエルフなアイの事を伝えた。
そして、

「僕が学園にいる間、預かってもらえますか?一応、検索魔法の範囲内なので問題が起こっても駆けつけられますし」

「全然良いわよ!寧ろ大歓迎!」

ミーシャさんはニコニコしている。
どうやら、エルフは可愛い子が多いという風な事をよく聞くのだが、町には全然、異種族がいないため会う機会が無かったからテンションが上がっている模様。

「アイ、ミーシャさんと外に出る時は必ずフード被るんだぞ、あと、これはお金。銀貨3枚。使っていいよ。ただし、自分の生活の質の向上に必要な物を買う事。使わなかったならそれは、またの機会に取っておく事。平民にとって節約は大切だ。あとミーシャさんの言う事はしっかり聞くんだぞ?」

「ん」

これだけ長いセリフでも、返答は一文字。
だが、それが良い。

「ミーシャさん。お昼はこの食材を使ってください。せめてものお礼です。僕は無駄に魔獣を狩り過ぎて沢山余ってるので、欲しい時はいつでも言って下さい」

俺はキングザリガニーとオーク肉、角クマ肉をあげた。
ドラゴンの肉もあるのだが、今日の夜にアイと試しに食べてみようと思う。
グレンさんは食べてからのお楽しみにしとけと言われた。
マズいのだろうか…。
そして、食材をあげるのがこれから、アイを預かってもらうのに必要なお金の代わりにしてもらった。
ミーシャさんマジ優しい。

「では、お願いします」

「うん、いってらっしゃいレイン君」
「いってらっしゃい」

ミーシャさんとアイが手を振って送ってくれた。

よし、学園が始まるまであと3分。

瞬足!

屋根の上を走り、約10秒で学園までたどり着くチート技。


今日はいつもよりも賑やかな朝であった。

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コメント

  • 時神クロノス

    |・ω・`)フムフム…
    そろそろ力不足感が出てきたな…
    まあ、僕は普通に楽しく読むんだが…

    1
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