男女比が異常な異世界で最強になった俺は前世の夢を追い続ける

音感あっきー

2章。誰かに優しくなれる、幸せに溢れた世界。

てなわけで、チートな転移者の魔王様といきなり勝負をするわけなんだが…。
取り敢えず、神ちゃんには何が起こっても良い様に最大級まで能力を引き上げてもらっている。
神ちゃんには、転移者には神様の力は無いから大丈夫とは言われたが少し心配。
では、神様の力がある転移者、転生者もいるという意味だが、それは1つの世界に1人しか神の力は与えられないらしい。
まぁ、安心…?というか、何というか。
そんな事を考えてる内に戦いが始まる様だ。

「じゃあ、行くぜ、スキル!分解!」
魔王は先行に出る。

あれ、分解って神ちゃんがよくやるやつ?
これ、死ぬやつじゃないの?
え?
大丈夫?
やっぱり、チートじゃん!

そう言って魔王ユウトは物凄い勢いで飛んでくる。
速い!
これもチートだな!

俺は真正面から突っ込んでくる魔王をヒラリと躱す、が、躱した瞬間に魔王は手で俺の手に触れた。

あれ、ヤバいんじゃない?
終わったんじゃない?

そして、
「よっしゃ!当たったぜ!消滅!!!」

あああああああああ!!!!!!

あれ。

神ちゃんの奴だと、分解って言ったら砂状にどんどん崩れていって、消滅って言うと綺麗サッパリ無くなるはずなんだが。
何も変化なし。

もしかして、既に死んだとか?

『神様の力を得た人がそう簡単に死ぬ様にはできてません、それに、私が使う物とも比べ物にならないくらい下級の技です』

やっぱり、俺、人間辞めてたみたいだ。

「な!何で死なないの!?凄え!!もしかして、ボスキャラ!?倒したら新しいスキル貰えるのかな!」

「じゃあ、次はコッチから行きますねー、暗黒魔法ブラックゾーン、超弱め」

魔王は真っ黒な結界に閉じ込められる。
が、

バリィぃぃいんっ!!!

「何も感じないなぁ。でも、スキル馬鹿力が無かったら出られなかったかもなぁ」

さっきの重力は地球の5倍くらいの重力を掛けたつもりだったんだけど、耐えれちゃうか。

「次、俺の番で良いか?スキル分解で勝てないとなると…これしかないよなぁ」

首を回しながら考える魔王。
何やら少し技を使うのを躊躇っているようだ。

「まぁ、いっか。魔王城くらい直ぐに直せるよね。とぉー!」

魔王は思い切りジャンプをして、魔王城の天井を突き破り、空高く舞い上がり、何やら大きな技を繰り出そうとしている。

「スキル破滅」

俺にはハッキリとそう聞こえた。
正直、分解も破滅も余り変わらないのでは?
そして、スキル発動の効果だろう。

俺の周り、つまり、床、壁、そして、魔族から紫色の光が溢れ出し、ポロポロと崩れていく。
魔族は悲鳴を上げている。
うーん、俺は何ともないみたいだ。

『全然駄目ですね、適当にも程がある技です』

神ちゃんはそう言うけど、周りはそうでも無いらしいよ?
ん?この技の範囲は?
王都とかもこんな感じだったら俺、嘔吐しちゃうよ?

『大丈夫です、この魔王城が標的になってます』

「おーい、痛いかーい?」

魔王は呑気に俺にそんな事を言ってくる。
何も痛くない。
でも、流石にそれだと何か可哀想だから、体が砕けそうな程痛い演技をしよう。

「うおおお、体がー、体がー」

「うはは!効いてる効いてる!!使った甲斐があったぜ!」

おお、騙されちゃうのか。
そして、魔王は崩れ落ちそうな魔王城に近寄って俺の目の前に立った。

「あれ?何でポロポロしてない?」

「痛いー、体がー、痛いー」

「うーん、効いてそうなんだけどなぁ。城が壊れるからこれくらいにしておこう」

そう言うと、ポロポロしてたのが止まった。
だが、建物は崩れる。
当たり前だ、一気に老朽化してるのと同じなのだから。
周りにいた魔族達もさっきので死んだらしい。
魔王に殺される魔族。
うーん、可哀想だ。

「ふー、助かった」
いや、まだ助かっていない。
崩れる建物から逃げる必要がある。
魔王は既に、外へと移動している。

「瞬足」

ひゅん!

僅かな隙間を通り抜けて、外へと飛び出す。
そして、落ちていき、地面に着地。

「よく、逃げれたねー、君、俺の手下にならない?」

何か言っているが聞かなかった事にする。

さぁ、ココからは問題解決に当たろうか。

さっきからスキルと言っているが、恐らくそのスキルを使うと技が自然と繰り出せるのかもしれない。
ちょっと聞いてみよ。

「ねえ、さっきからスキルって言ってるけど、それは何?」

「あぁ、お前は無いの?視界の左下に丸い枠が4つあって、そこに技の名前が書いてあるんだ」

んん?
本当にゲームみたいなんだな。
そういう能力なのか?
という事はステータスも数値化されてるのか?

「ええ、凄いね、ステータスもあるの?」

「あるぜ。全部数値が、えーっと、1、2、3、………7桁くらいだな。ヤバイだろ?俺」

うん、ステータスも健在。

あとは……固有スキル?

「固有スキルっていうの無い?」

「おお、お前、案外物知りなのか?あるぜ?俺の固有スキルはメニューだ、意味分かんねえよな」

うん、分かった。
要するにコイツは固有スキルのメニューによってステータスやらスキルやらの表示が出ている訳だ。
だが、魔法ではさっきの、分解、は使えなかったはずだから、スキルという概念は固有スキルメニューの特典として付いてきたという訳か。

(神ちゃん、固有スキルのイメージはどんな感じ?)

『生まれ持った個性みたいな物でしょうか』

よぉし、無理難題だがやってみるか。

イメージイメージ。

生まれた時から誰でも持っている能力を無くす能力。
固有スキルを無くす魔法。
特に転移者によく効くようにする。
神ちゃんには、魔法の質と威力の向上を求む。
魔力消費は考慮しなくて良い。

イメージを繋ぎ合わせて、後は足りない部分を神ちゃん頼み。

『そういう事ですか。はい、魔法が完成しましたよ』

「よしっ!じゃあ、ユウト!行くね!」

もう、魔王何かじゃない。
普通の人間であるべきだ。
その力は悪用するのには大き過ぎる。

「神速っ!」

ぴゅん!

一瞬でユウトの目の前まで行き、衝撃波で吹き飛ばない様に肩をしっかり掴む。

「え、速っ!?」

ユウトも驚きの速さ。

これで終わり。
「転移者特性魔法!固有スキル壊し!」

ネーミングセンスは破滅級。

ユウトは全身が強く光る。

「え…?スキルの枠が…なんで?」

「ステータスを見てご覧」

「え…というか、ステータスの欄が無い…」

ステータスの欄が無い。
それは先程までの能力が無いことと同値。

(神ちゃん、元の世界に戻せる?)

『神様に問い合わせてみます』

なんだ、その、神様窓口みたいな。

「う、嘘だろ?ゲームオーバーって奴か?コンティニューとかセーブポイントとか無いの?」

「勇者キャラとして良い事を教えてあげるよ、このゲームにセーブポイントは無い。それは、どの種族にも同じ。君も。魔族も。人間も。でも、このゲームにはゲームオーバーはある。死ぬ事だ。」

『承諾を得ました』

(ありがとう)

「でもゲームだろ?」
ユウトはそれがどうしたという様に聞き返す。

「このとてもリアルなゲームにはログアウト機能が無いだろ?」

「うん、無かった気がする」

「それがどういう意味か分かる?」

「このゲームはゲームオーバーまで続く?」

「そう、君が死ぬまで続くんだ。言っておくが、コンティニューなんて物はない」

「1回きりのゲームって事か?」

「あぁ、その1回きりのゲームで君は人を殺した。この世界には召喚前の世界何かとかは比べ物にならないくらい酷い牢獄がある。本来なら君はそこへ連れて行かれて、恐らく、人生で一度も味わった事がないくらいの痛みを感じるだろうね、死という形で。」

「でも、痛みなんて感じないよ?」

ステータスの高い防御力、故に痛みを受けた事など無いのだろう。

「じゃあ、これはどうかな。拘束魔法」

ビリビリ

ぱたり。

口だけは拘束しなかった。

「体が痺れて動かねえ…」

「今から痛みを与える、これでこのゲームが、ゲームじゃない事を察してくれ。」

拘束レベルを少しずつ上げていく。
彼はさっき固有スキルのメニューを失ったため、ただの一般人に戻った。
だから、痛い物は痛い。

「うがぁぁぁぁああああ!!!!!!」

叫び声を上げ始めた所で拘束を解く。

「これは痛みだよね。因みに、この世界の住人は皆、君と同じ様に痛覚がある。そして感情がある。君の世界と同じ様に、歴史があって、家族があって、親がいて、子供がいて、生活がある。君の世界と違う部分があるとすれば、科学の発展の代わりに魔法が発展している事かな。それでも、君はこれをゲームと言うのか?」

「はぁはぁ。じゃあ、俺は酷い事をしたのか?」

「うん、少なくとも君は家族と生活を壊した。子供の目の前でアンデッドに親を殺させたり、民を守る為に戦った冒険者を殺させた。その冒険者の仲間は懸命にソイツを助けようとしたが、ゾンビ化したソイツによって殺された。君の親や、友達がその人だった事を想像してくれ。その時の感情とか表情とかを」

「……………でも、所詮NPCじゃないか。暫くしたら生き返るんだろ?」

コイツは何も分かっていなかった。

「じゃあ、言おう。君は自分の事を主人公と思っているんだよね。ゲームの主役だと。じゃあ、君から見てNPCである俺の意見を言おう。俺から見て周りの皆はNPCに見える。君もNPCだ。でも、俺は知ってる。この世界は地球と変わらない。NPCとは思えない程、皆、立派な人生を歩んでいる。そして、それぞれが尊い命を持っている。この世界では誰かが生き返るなんて事は無かった。失ったらそのままだった。失った者は悲しみに暮れていた。そんなNPCを俺は好き勝手に殺そうとは思わない。」

「……………。じゃあ俺はどうすれば良かったんだ」

「仕方が無い。と言ってしまえばそれまでだ。君だって好きでこんな場所に来たわけじゃない。魔族に勝手に召喚されて来たんだ。ゲームの夢だと思っても仕方が無い。でも、世界を動かせる力を手に入れた。君はそれで進んで人を不幸へと導こうとした。それでは駄目だ。その力は世界を幸せに導く為に使うべきだった。魔族と人間との交流を深めたりするべきだった。間違えても人を殺す為に使うべきでは無かった。そう俺は思うよ」

「まぁ。ゲームじゃない事を証明するよ、君は宇宙には地球みたいな惑星はあると思う?」

「うん」
何をいきなりという様な雰囲気だ。
宇宙は広い。
その広い宇宙の数ある惑星の内、地球だけしか生き物が存在しないというような事は流石に断言し難い。

「じゃあ、こういう科学の代わりに魔法が発展してる惑星だってあるかもしれないよね」

「うん」

「コッチの人間からしたら、飛行機が飛んでたりするのはあり得ない。そう思うんだ。これは科学と言う物が無くて魔法的に解釈しているからだ。じゃあ、地球の人間からして、魔法なんてあり得ないと思うだろう。それは科学的な解釈をするからだよね。まさか、ある惑星から人間を別の惑星に転移させるような魔法があるって言われても信じられないよね。科学的な解釈をする地球の人間なら。でも、魔法的な解釈をするコッチの惑星の人間からしたら当たり前なんだ。じゃあ、君がゲームって言っているこの信じられない世界だけれど、君が科学的な解釈をするからそう思うんじゃない…?魔法的な解釈をする俺からしてみたら案外すんなりと受け入れられる。どうかな?」

「……………………。」
冷や汗をかいている。
何となく言っている意味を理解できたのかな。

「惑星によって文明の発展の仕方が違うんだ。君がした事はこの惑星の人にとって許される事じゃないんだよ。」

「ごめんなさい!!!」
土下座をしている。
元が良い子で良かったよ。

「まぁ。俺に謝られても困る。でも、俺はこの世界の代表として君に救済の余地を与える。今から君は地球に戻る。そしたら君は必ず誰かを幸せにできるような生き方をして欲しい。困っている人がいたら助けてあげたり、正しい道を踏み外そうとしている人がいたら引き戻してあげたり。もっと言うと、各国の間での紛争だとか、飢餓だとか、無意味な死が訪れない、皆が誰かに対して優しくなれて、幸せに生きられるような世界を作って欲しい。これがこの世界での失敗を経験した君の救済の余地だ。」

そう言うと、目の前が真っ白になった。
死んだ時のアレか。

神様が現れる。

はじめ君。久し振りじゃの。はっはっはっ。ワシがこの坊主を諌める必要が無くなってしまったわ。坊主、この少年はセンター試験の日に、殺人犯に襲われて幼馴染を庇って死んだんじゃ。色々あって転生したんじゃが。取り敢えず、そんな理不尽な死が起こらない様にさっき、少年が言った事を心に刻んで頑張ってくれ給え。これはワシからのプレゼントじゃ。君の発言に説得力を持たせる力じゃ。間違えても今回のような力の使い方はするな。道を踏み外せば君からその力を取り上げる。少年が願った世界を実現してみせよ、ではな」

「分かりました!!!」
ユウトはハッキリとそう言ってみせた。

そして、世界は元に戻る。
そこにはユウトは居なかった。


「さぁ。頼んだぞ、ユウト」



俺はユウトの事を思うと共に人助けをする事を再び心に誓ったのであった。

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