男女比が異常な異世界で最強になった俺は前世の夢を追い続ける

音感あっきー

2章。魔族を魔獣のように捕まえてくる俺。

がちゃ。

からんからん。

ぎろっ。

はい、いつものアレでした。

騒ぎを治めて、今回の騒動で親を無くしたエルフ、アイと、今回の騒動の主犯である魔族を大きな袋に入れてギルドへと戻ってきた。

そして、いつもならこの後、女性が取り囲んでくるはずなのだが…
あの、銀髪の顔に傷跡があり、狼のような目つきをした男がいるからか静かだ。
相変わらず、連れている小さい女の子奴隷は帽子を被っていてボロボロの服を着ている。
もう少し綺麗な服はあげてやれないものなのか…
かと言って、この人にそんな事を言える程俺は勇気は無いため、放っておく。

「私、こうなる?」

アイは小さな声で聞いてきた。
境遇が似てると思ったんだろう。

「大丈夫、心配するな」

俺はそう言ってフードの上から、アイの頭を撫でてやる。
アイは少し嬉しそうだ。
悲しみを少しでも和らげてあげたい。

周りからは視線を感じる。
それもそうだろう。
俺が小さな女の子を連れてきて頭を撫でてしまったんだ。
いつもの女性達が黙っている訳ない。

「あの子、獣人」

アイが小さな声でそう言う。
まぁ、俺もそんな気がしていた。
服がボロボロな奴隷に帽子を被せる必要があったのか。
そういう、疑問があったのだ。
でも、尻尾がない。
いや、獣人は見たこと無い。
でも、前世の記憶ではこういうのはバッチリ耳と尻尾があった筈。

「でも尻尾は?」

「切れてる?」

疑問形なのか。
まぁ、何かの事故にあった結果、奴隷となり、あの怖いオジサンに買われたという訳か…。
でも、帽子で耳を隠す辺り、案外、奴隷思いの良い人?
それとも、自分が獣人を連れて歩いてると思われたくない?
考え過ぎか。

「アイ、着いてきてね」

「ん」

銀髪オジサンをスルーしてアエンさんの元へと行く。

「レイン、依頼はどうだったよ、原因は分かったか?」
アエンはアイの方をチラ見し笑顔を見せて、俺の方を再び向いて話しかけた。

「うん、主犯は分かった。大体の動機も分かった。でも、どうしたらいいか分からなかったから……これ」

そう言って俺はアイと手を繋いで無い方に持った大きな袋を見せた。
中には目玉の魔族さんが沢山入ってる。
結局、どれが本物か分からない。

「なんだそれ?」

「魔族」

「…………………。ほ?」

アエンは眉毛を大きく上に上げて、何が起こったか分からない様子で、気の抜けた声を出した。

「こわい?」

アイにもこの袋の中身を言っていなかったため、少し目をウルウルさせている。
可愛い。

「大丈夫だよ」

俺はアイにニコッと笑って言う。
ヤバい、お兄ちゃん甘々だ。

「ええっと……殺して良いのか分からなかったんで、持って帰ってきました」

「おう、何を?」

「魔族」

「………………よし、何を?」

「魔族」

「………………グレンさんの所へ行こう」

こうして、夜にも関わらず、緊急事態として3人で袋と一緒に王城へと向かうのであった。




「アエンさん、異種族の人達ってどう思います?」

「え?別に何とも思わないぞ俺は。特に害がある訳じゃないしな」

「そうですか」

良かった。
中々にど直球な聞き方だったが、やはり、アエンさんは優しい人だった。
アイもそれを聞いてホッとしたような顔をしている。
アエンさんは、俺の片手で手を繋いでいる少女に対しては特に迫った質問はしてこなかった。
多分、被害で親を無くしたという事を察しているのだろう。
そして、アエンさんは名前を聞いたり、俺の話をしたりと、仲良くしてくれていた。
勿論、エルフという事は伝えた。

「アエン、優しい」

「そうだろー?俺は優しい男なんだぜ?」

「お調子者」

「………すまん」

単語一文字で形勢逆転される辺り見ていて面白い。

「お兄ちゃん、会う人、誰?」

「グレンさんっていう人。灼熱のグレンって知らない?」

「知らない。怖い?」

「いや、優しい人だよ」

「ん、よかった」

まあエルフからしたら、長い年月の中のたったの1人だからな。
そんな気にしないのかもな。


そんな感じで他愛もない話をしている内に王城に着いた。

「グレンさんに会わせてくれー」

「お、アエンさんか、隣の少年はレイン君だな?その隣は…まあ良いか、通って良いよー」

相変わらずユルユルな門番だな。

「お兄ちゃん、偉い人?」

「いや、王様と仲の良い平民だよ?」

「王様、怖い?」

「全く。面白い人だよ」

「ん、よかった」

多分、自分がエルフだからといって迫害されるのが怖いのだろう。
アンデッドに襲われて親が居なくなったと思ったら、平民冒険者に拾われて、王城へと行く。
何ともまあ、ハードスケジュールな事。

そして、グレンさんの元へと向かう。

こんこんっ

「アエンです」

「おお、入れー」

がちゃ。

「おお、何だレインも居たのか、ん?その可愛い子は?」

「まぁ、ちょっと色々ありまして…」




俺は今回の依頼の大体の成り行きを説明した。
そして、

「で、この大きな袋は?」

「魔族です」

「ん?」

「魔族です」

「魔獣か」

「魔族です」

「…………………何故?」

「殺して良いのか分からなかったので…拘束魔法を掛けました」

「うん、まずレイン、魔族は殺しても大丈夫だ。流石に何もしていないのに殺すのは理不尽極まりないが、人を殺していた魔族だ。殺しても問題は無い」

「やっぱり、そういう物でしたか…しかし、この魔族が仮に魔王の幹部だったりしたら、殺せば戦争とかなりませんかね…」

「確かにそれはそうだな…余り深く考えた事は無かった。取り敢えず、袋から出して情報を絞り出すか。」

「アイ、怖いかもしれないから、アエンさんと外で待ってた方が良いかも」

「お兄ちゃん、大丈夫?」

「うん、僕は大丈夫、ほら、アエンさんの所へ行ってきな」

「ん」

「アエンさん、お願いします」

「おう。俺も魔族見たかったけどな。まぁ、いいや」

こうして2人は出て行った。


「ええっとですね。取り敢えず出します」

どさどさどさどさ。

分身と本体、合わせて7体。
目玉に羽が付いただけの魔族。
見た目はグロテスクその物だ。
今は気絶している。

「見た目が悪すぎだなぁ…」
グレンさんも、まいっているようだ。

「あの、無詠唱で暗黒魔法っていう殆ど、即死する魔法を使って来るので、気をつけて下さい」

「お、おお。分かった」

俺は1体に拘束魔法が解けないように、リカバリーをかける。
これで、目が覚める。
口だけは動かせるようにしている。

「き!貴様!!!暗黒魔法!ブラックゾ…ふぎゃぁぁぁあ!!!」

キリキリとした声を上げて魔法を繰り出そうとするため、拘束レベルを上げる。

マジで危な過ぎるコイツ。
いきなり、ブラックゾーンに入れてどうするつもりだったんだよ。

「狂暴だな……」
グレンさん、引き気味。

「ねえ、本体はどれ?嘘ついたらもっと痛くするからね?」

「くそ!!コイツだ!そこの寝てる奴だ!!」

「よし、ありがとう。」

そして、気絶させる。

「リカバリー」

さっきの奴が示した奴の目を覚まさせる。

「き!貴様!!!暗黒魔法、ブラっ…ぐおおおおお!!」

デジャヴ。

「お前は本体か?嘘ついたら、もっと痛くする」

「わ、分かった!俺は本体だ!本体!」

案外、素直な魔族さん。

「じゃあ、グレンさん、聞きたい事を聞いてください」

「お、おお。お前は今回の件は2国間での問題を起こすのが目的だったらしいが、魔王の命令か?」
グレンさんは、鋭い目つきでそう言う。

「違う!我が意志によっての行動だ!」

「嘘ついたら痛くするからね?」

「本当だ!我が単独行動だ!」

本当の事かは分からないが、脅しても意見は変わっていないため、今までの行動を考えても本当の事を言っていると思うべきだろうか。

「そうか、お前は魔王の幹部か?」

「違う、我ごとき、魔王様の目には止まらん」

じゃあ、魔王って相当強いのかもな。
暗黒魔法って人族全部、滅ぼせるぞ?
それが、幹部じゃなかったら…ヤバそうだなぁ。

「何で問題を起こそうとしたの?」

「魔王様が国全てを統治するためだ」

あら。
これは、やらかしじゃないの?
仕掛けよう。
コイツ、ポンコツだ。

「あー、それで魔王の幹部である君が出てきたんだね」

「ふん!我1人捕まった所で何も変わらん、他にも強い幹部がいるからな」

よし、コイツ、アホ。

「まぁ。グレンさん、魔王の命令で、しかも幹部らしいんですけど、どうしますか」

「な!貴様!騙したな!!」

「あー、はいはい、分かった分かった。」

面倒だから適当に流す。

「うん、どうせ捕まえて来た以上、見張れる者も居ないし、殺すのは確定なんだが……これから厄介事が増えそうだなぁ…」

「僕、魔王の所、行ってきましょうか?」

「え?場所が分かるのか?レインの事だから戦う事に心配はしていないが。」

「はい、場所はコイツが知ってますから」

俺は目玉の魔族に指を指して言った。

「お前、転移魔法使えるだろ、それで魔王の所まで案内しろ、お前も連れて行く」

「くくく、良いだろう、魔王に蹴散らされて終わるだけだ」

「ええっと、グレンさん、魔王を説得してきます」

「お、おお。分かった。気をつけてな」

「はい、アエンさん達にはココに居てもらって下さい」

こうして、転移魔法のゲートを潜って魔王城に行くことになった。




転移魔法で何処かに出てきたのだが…。

「魔王様!!コイツを殺してください!!!」

「え、何、お前、捕まってんの?」

どうやら、魔王の目の前に出てきたらしい。
これは予想外だ。
でも、もう1つ予想外。
何か、魔王、軽すぎね?
魔王ってもっとドス黒い声を上げる奴だと思ってたけど。

「あ、あのー、魔王様でしょうか」

頭から角が生えている。
ここまでは良い。
魔王らしさがある。
しかし……

「あぁ、俺は魔王だ」

「人間だよな?」

「……人間だけど、魔王だ」

「その角は?」

「……飾りだ」

え、何コイツ。
コスプレイヤー?

「えっと、名前聞いて良い?」

「ユウトだ」

……日本人。
って事は……俺と似た境遇って事かなぁ。
『恐らく、魔王軍が魔王召喚をしたのかもしれません。要約するとチート使いですね』

(まぁ、そりゃ、転生があるなら、転移もあるか…。)

「ええっと、魔王ユウト様、人間を襲うの辞めませんか?」

「えー、やだ」

「何故」

「暇潰しになるんだもん」

「これはゲームじゃないよ?」

「ゲームだよ、こんなの夢としか思えない、何しても大丈夫だよ」

「じゃあ、夢なら俺が魔王を殺しても大丈夫か」

「おっ?俺は強いぞ?やるか?」

「はい、俺を勇者だと思ってブチのめして下さい」

「わかってるじゃん。いいね、楽しみ」


転移をゲームの夢だと思ってるなら、巻き込まれる方としては…良い迷惑だなぁ。
転移者のチートがどんな物かは分からないけど…その力は有効活用してもらいたいもんだなぁ。

こうして、2人の戦いは始まるのであった。

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