男女比が異常な異世界で最強になった俺は前世の夢を追い続ける

音感あっきー

2章。ブラックホールは超越の力。

がちゃ。

からんからん。

ぎろっ。

毎度毎度の冒険者ギルドの定番。
俳句に出来そう。

がちゃっとな
からんからんと
ぎろりんちょ。

茶番はこれくらいでいいか。

「あっ、レイン君が来たわよー」「ホントだー」「結婚の件もう決めたー?」「何抜け駆けしようとしてんのよー」

これもいつものやつ。
だが、今日は何やら騒がしくなりそうだ。

「うるせえっ!!!!」

ギルドが崩れ落ちるかのような声で叫んだのは見た目30歳くらい。
銀髪で、顔に刃物で付けられた傷がついている。
目は敵を視線で殺せるかのように鋭い。
威圧感半端ない。
そして、冒険者としては初めて見る男性だ。
冒険者で男性の人は、そこまで多い訳では無い。
アエンさんによると、男性冒険者は隣の国のラフォリア王国に集結しているらしい。
いつか行ってみたい。
あ、そういう趣味は無いよ?

俺はどう反応したら良いのか分からず、取り敢えず、怒らせてしまったらしいから謝る事にした。

「すみませんでしたっ!」

しっかりと頭を下げる。
これで許してくだされ…。
この身体になってから怖い物無し…とか思ってる人いるかもしれないけど、前世の記憶が元だから、盗賊見るだけでも正直ビビるんだからね?

「お前じゃねぇ、女共だ!!」

「「「ごめんなさい……」」」

うーん。
この世界における、典型的な男性…では無さそうなんだよなぁ。
というのも、彼の傍らにいる2人の小さな女の子。
頭には帽子を被っている。
そして、2人には金属製の首輪が着けられている。
あれは確か、奴隷にするための道具だ。
契約の火が出る奴じゃなくて、単純に命令違反を起こすと物理的に首が絞まる仕組みの奴隷拘束具だ。
普通、奴隷にするのは大人の女性って聞いたんだけどなぁ。
もしかして、ロリコン?
まぁ、いいか。
奴隷という制度自体、正直余り良い気がしないんだけれど、そういう世界だからなぁ。

一応、怒られるきっかけになったのは俺だから、もう一度、黙礼をして、依頼板へと移動した。


なんか良い依頼、無いかなぁー。
スケルトン討伐依頼。
ゾンビ討伐依頼。
ガーゴイル討伐依頼。
うーん、ハロウィンかな?

緊急依頼。
アンダンテ王国とラフォリア王国の国境において、アンデッドが大量発生。
対象Cランク以上。人数制限なし。
報酬は討ち取った敵と量で判断。

うーん。
今日はハロウィン一色だな。
緊急依頼って事は困ってるって事だもんなぁ。
行ってみようかなぁ。

「アエンさん、この依頼受けます」

「おいおい、レイン、ゼットエヌってもう呼んでくれないのか?結構気に入ってたんだぞ?というか、この依頼、お前には簡単過ぎだろ」

「そんなに気に入ったんですね。まぁ、気が向いたら呼びますよ?緊急依頼って事は誰か困ってるんでしょ?」

「おお、まぁ、そうだけどな、お前にはコッチの依頼を受けてもらいたい」

そう言ってアエンさんに提示された依頼内容は、指名依頼だった。
と言っても、ギルド側から頼んでも大丈夫そうな人間を勝手に頼めという物だ。
別に絶対に俺が受けなければならない訳ではない。
内容は…

アンダンテ王国とラフォリア王国の国境において、アンデッドが大量発生。
その原因を調べよ。
恐らく、魔族が関係していると思われる。

うーん、根源を調べて来いと…。
どうせ国境に行くならなぁ。

「じゃあ、どっちも受けますよ、良いですか?」

「まぁ、お前ならそう言うよな。良いぜ、調べるだけじゃなくて、原因を撲滅してきても良いからな」
アエンさんは腕を組んで笑いながらそう言う。

「了解しましたー」
俺は敬礼して答える。

アエンさんに地図を渡されて俺はギルドを後にする。
その際、いつもなら女性に阻まれるのだが、さっきの男性がいるためか、今日は無かった。
それにしても、奴隷の女の子、可愛かったなぁ。
もっと綺麗な服着せてやれば良いのに…。

今日は、パーティーを組まず単独行動である為、瞬足を用いて屋根の上を移動する。
時々、学園の制服を着てウロウロしてる女性を見かけるが、学園生活を満喫しているのだろう。

国境までは、大して時間はかからなかった。
今は結界魔法を使って全景が見渡せるくらい高い位置にいる。
馬車なんて使ったら着く前にアンデッドは全滅しちゃってるよ。
依頼自体の人数制限も無いわけだし。
とか思っていたが…………

マジかよ……多過ぎないか?
コウモリのような動物、ガーゴイルだ。
武器を持ったスケルトン。
武器を持ったゾンビ。
それらの塊が国境を埋め尽くしている。
恐らく、端から端まで。
緊急依頼を出したくなるのも分かる。
何人も既に冒険者達はいる。
そして、勇敢に突っ込むものの、直ぐに周りを囲まれて瞬殺される。
瞬殺というのは、半殺しでは無くて、マジ殺しである。
何度も心臓をボロボロの剣で刺されている。
もはや、死しかない。
そして、死んだと思えば、体がドンドン干からびていき、ゾンビに早変わりして襲う側に廻る。
少し、嘔吐感がするが、一刻も早く終わらせなければ、王都までも余裕で到達する勢いだ。

「聖魔法、成仏!」

この魔法は何だと思われるかもしれないが、案外絶大な威力を誇る。
というのも、アンデッドは成仏しきれなかった人間や魔獣の成れの果てだ。
成仏すれば、消える。
ただし、消えてくれるのは明確なアンデッドになる理由があった者だけ。
例えば、復讐を抱いたまま死んだ人間など。
だが、何の意思も持たないアンデッドは既に成仏された物であると判断されるのか、攻撃しないと消えない。

遠隔操作の魔法で直接触らなくても発動できるようにする。
アンデッドの塊の真下に大きな、光が現れる。
そして、そこから文字列が次々と現れてアンデッドを縛り始める。
因みに書いてあるのはこの前世での御経みたいなもんだ。

そして、次々と天に昇天していくアンデッド達。
やがて全て消えるかと思えば、文字列がバラバラに砕けて消えた。
アンデッドは天からさっきと同じ姿のまま落ちてくる。

「効かないってことは…やっぱり、誰かが呼び出してるのか」

「隕石をコイツラの中央に落とそう。冒険者は中央には居ないしね」

「天文魔法、流星群」

アンデッドの塊の真上には大きな魔法陣が現れて、そこからいくつかの砕けた岩石が熱と速度を持って落ちてくる。
因みに、これは上級魔法に値する。

しゅごごごごごご………どごおおおおんっ!!!!

物凄い衝撃波と熱がアンデッドを焼き払っていく。
冒険者達は衝撃波で若干、後方へと転がっている。
熱戦は冒険者達には届いても暖かいくらいにしか思わないように調節した。

煙と巻き上がった砂埃で視界が悪いが、ハッキリと大きな魔力を感じる。
流星群が落ちた場所から。

俺はそこに向かって飛び降りた。

「熱っあちちちっ!!」

まだ、中心部は熱が冷めていないが、ある事に気づいた。
膨大な魔力の源は地上ではなく、地下だ。

「ぼぎゃぁあ…」

地面からは次々とソンビや、スケルトンが出てくる、切がない。
でも取り敢えず、原因が地下にありそうなのは分かったから、崩落させる事にした。

「ここの地面の砂一粒ずつを少しだけ無作為に振動させる。物体振動魔法」

すると、水が流れるかのように地面はヌルっと真下へと流れ落ちる。
土砂崩れみたいだ。
俺もそれと同様に足を取られて落ちていく。
うーん、やり過ぎたなぁ。
これじゃあ、俺が砂に埋まっちゃうよ…
生き埋めだな。
出るの大変そう…

とか思ってたら。

「エクスプロージョン!!!!」

何やら耳が痛くなるようなかん高い声で魔法が無詠唱で撃たれる。
絶対、魔族じゃん。

どごおおおおおおんっ!!!!

「熱いなぁ。でも砂に埋もれなくて済んだから良いか」

俺は爆風で、落ちた場所を通り越して空中に吹き飛ばされていた。
それと同時に地下に入り込む筈だった砂も吹き飛ばされて、土砂崩れは物理的に防がれた。

空中に放り出されながら、先程の落ちた穴を見ていると、大きな目玉が飛んでいた。
中々グロテスクな見た目だなぁ…
魔族確定だなぁ。

「シャドウボール!!!」

再びかん高い声で無詠唱魔法が魔族と思われる目玉から放たれる。

中々に大きな真っ黒でモヤモヤした物体が飛んでくる。

流石は魔族と言うべきか…魔法の威力は高そうだ。

「シャイニングボール!」

そんな魔法は無いが俺の場合、イメージがあれば大抵、実現可能なため、輝かしい光のボールが飛んでいく。

シャドウボールとシャイニングボールは混ざりあい霧散した。
うーん、シャドウボールってただの影を集めた物だろ?なら実体って実は無かったりするのかな。
とか考えるのは止めておく。

「結界魔法、瞬足」

俺は結界を自分の真上に張って、それを強く蹴って、自分の真下にある先程できた穴に向かって飛んでいく。

ひゅん!

穴の中には魔族。
でも、まだ砂埃で視界が悪いからなぁ。
風で飛ばそう。

「風をクルクル色んな方向に高速回転させて、圧縮。風魔法、何か凄そうな風の球!」

ボヤボヤとしたものが穴に向かって飛んでいく。
そして、

びゅううううううううっ!!!
ずごおおおんっ!

はい、やり過ぎました。
まず風を色んな方向に高速回転させるまでは良い。
果たして圧縮する必要はあっのだろうか。
高速回転した空気が圧縮された後に圧力が解放されれば、恐ろしい威力を放つのは少し考えたら分かってた事だ。
魔族は乱れる鋭い気流に体を引き裂かれて風圧によってバラバラに吹き飛ぶ。
不覚。
魔族さん、ごめんなさい。

俺は穴の中に到着し、そこら辺に飛び散る緑色の液体を見て少し吐き気がする。
魔族の血は緑色……因みにタコの血は青色。

俺は手を合わせてお辞儀をした後、穴の中を調べる。
すると、まず目に入るのは、ここまでかと言わんばかりの死体。
それが、一体ずつ光を帯びて消える。
多分、転移魔法。
転移魔法はテレポートの様にスマートな消え方をするためには、動かなくて死んでいる物じゃないと駄目だったはず。
そう神ちゃんが、ミーシャさんと角くまの薬を作ってる間に言ってた。
死体は動かない。それこそ、死んだものだ。
だから、転移できる。
その際に、肉体が残ってるのはゾンビ。
白骨死体はスケルトンに早変わりしているのかもしれない。
まずは、この転移を止めないとな。

「さっきの滅茶苦茶、痛かった!!!俺はお前に復讐する!!!死ね!!!」

突如として、真後ろから物凄い気迫を感じる。
さっき殺してしまったはずの魔族の声だ。
何故か生きている。
これは困ったなぁ。

「くらえ!!!暗黒魔法、ブラックゾーン!!!」

激しい奇声と共に発動された魔法。
俺のいる場所を取り囲むように、真っ黒な結界が作られた。
光を一切通さないのか、本当に真っ暗だ。
そして、体が押し潰されそうな程重い。

あれ、これって閉じ込められたの?

とか思ってたら、真下に魔法陣が現れる。

うーん、何か凄い大きな魔力を感じるなぁ。
ヤバい気がする。

そして再び奇声が聞こえる。

「暗黒魔法!ブラックエクスプロージョン!!!」

ええっと?
黒の爆発。
何となく、俺の頭にはブラックホールが爆発するイメージが想像された。
今の空間は何かブラックホールに似ている気がする。
ブラックホールはとてつもない重力によって光が外に漏れないように出来ている。
だから、ブラックホールの中心部は真っ黒なのだ。
正式には確か、中心部の真っ黒なとても小さな惑星的な何かの周りにガスが渦巻いているのだが、その惑星的な何かは真っ黒なのである。
それが今のブラックゾーン。
つまりは俺はブラックホールで言う、中心部の惑星的な場所にいるのだろう。
だから、このゾーンの中では俺を中心として物凄い重力が掛かっている。
光が脱出できないくらいには。
いや、あくまで想像ね?
それが内部から爆発する。
俺を中心に物凄い重力がかかるため、衝撃も熱も全てが俺の全身に集結する。
うーん。
これは神ちゃんでも、不味いよね。
『全然、能力を上げれば大丈夫だと思いますけど、服は確実にダメージで無くなりますね』

それはやだ。
とか思っている内に、魔法が発動寸前。

(無効魔法)

きゅいんっ!!!

俺の真下にあったブラックエクスプロージョン用の魔法陣が消える。

危ない危ない。
ついでに、このブラックゾーンからも出ておこう。
こんな物騒な物の中にいたくない。

「無効魔法」

きゅいんっ!

ブラックゾーンは霧散していき、やがて外が見れるようになる。

「な、貴様、爆発したはずだ!なぜ死んでいない!!!!」

「あ、そっか、外の音は強い重力で入ってくるけど、中からの音は強い重力に逆らう事になるから爆発したとしても光と同じ様に外に出られなくて無音になるのか」

「何を言っている!!」

「この魔法使わない方が良いよ、ちょっと残酷過ぎる技だし、暗黒魔法ブラックゾーン」

「な、何!?」

何故か散り散りになった筈の目玉魔族を同じ目に合わせる。
さっきの魔法で何となくイメージがついている為、使う事ができる。

魔族はあっという間に真っ黒な結界に囲まれた。

うーん、ここからどうしようか。
魔獣じゃなくて、魔族だからなぁ。
殺さない方が良いのかなぁ。
でも、悪さしてたんだもんな。
取り敢えず、話を聞こうか。

「解除」

黒の結界を解除して中から出てきたのは、小さな丸い豆のようなものであった。

あれ、何かやらかした予感。

「神ちゃん。さっきのブラックゾーンが俺に掛けられた時って能力高くしてた?」

『はい、一般人であれば重力に負けてあの様に1点に体が押し詰められて、1つの豆のようになります』

「因みに、圧縮から解除されたわけじゃんか、爆発とかは?」

『圧縮され過ぎたせいで肉質がそれに準じて変化したのでしょう。爆発する事は無いと思います』

「じゃあ、ブラックゾーンは即死魔法だったり…」

『はい、恐ろしい魔法です』



魔族、かなり軽い気持ちで殺しちゃったよ……。

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