男女比が異常な異世界で最強になった俺は前世の夢を追い続ける

音感あっきー

2章。卑劣な魔道具が家宝である訳ない?

俺達は貴族を連れて王様達の元へと戻る。

「犯人はコイツですね」

「うーん、どこの家のものだろうか…」
王様は余りこの人の顔にピンと来ていないようだ。

「こんな人いましたっけ…それにしてもやはり、私達が外にいると人が集まってきますね」
女王様はそう言う。
今は王城の手前。
さっきまで馬車に乗っていた王様達も取り敢えず、馬車から降りている。
人通りもまぁまぁあるためか、人が少しずつ群れてきた。

「そう言えば、この人、Fクラスの主席の人の父親でしたよね。息子様は知っているのかしら」
ラーラはそう言うが、俺は寝ていたため居るのかも分からない。
魔力反応さえ覚えていない。

「家に親が戻らないって焦ってるんじゃないか?」

「かもしれないですわね」

「まぁ、一件落着…だな。コイツの始末は任せてくれ。反逆罪にするか。それとも、俺にそれなりの悪意を向ける理由があったなら、死罪にするか…」
王様はそのように言う。
チャラチャラしてるけど、考えている事は真面目なようだ。

「うっ…しまっ…………その人を逃して下さい」

え?

思わぬ言葉に声のする方を向くとキールさんであった。

「………そうだな、離してやるか」
「ルージュ何を……そうですわね」

え?

王様!?女王様!?
さっきまで罪の内容を考えてたのに…?
いや。
そういう事か。

「「「「そうだそうだ!そいつを逃がせ!!」」」」

周りに群れていた人達からも声が上がる。

『やられましたね……魔道具です、どこからかは人が多くて分かりません』

「姉さん、気を付けてね…」
俺はまだ操られてない事を信じて姉さんに話しかける。

「…うん、今、魔力をぶつけてるけど、それだけで精一杯かな、レイン君、あの建物のベランダの子から飛んでくる」
姉さんからまともな答えが返ってきて安心する。

「レイン君、貴方を殺しますわよ?いいですね?」
ラーラは俺の腕をかなりの力で掴む。
多分、限界を引き出されてるんだろう。

「そうですわ、私も貴方を殺さなければならないのです」
「私もですわ」
ローラもルーラも影響を受けている。

いやいや、何これ、茶番にしては顔がマジ過ぎて怖いわ。

「あの…グレンさん、あそこのベランダの子を頼めます?」

「あぁ。分かった。緊急事態だな、これは」
グレンさんはそう言って離れようとする。

ぶぉんっ!!

いきなり飛んできた剣撃をグレンさんは紙一重で躱す。

「グレン、貴方も殺さなければいけませんね」

「き、キール!!」

キールはグレンを殺そうとしている。

もはや、動けるのは姉さんのみ。
そして、その姉さんも、そろそろ危なそうだ。

「うーん、ラーラごめんね。拘束魔法」

ビリビリ!

ぱたり。

頭を打たないように、支えながら横にしてやる。

そしてそれを見た瞬間にローラとルーラは俺へと蹴りを入れようとする。

ばしっ

2人の足を片手ずつで受け止める。
スカートだから、パンツが……
いや、相手は10歳。
ふっ、可愛らしいパンツだな。

「拘束魔法」

ビリビリ

ぱたり。

2人の足を自分の方に引き寄せて、俺にもたれるようにして倒れさせる。


「「「殺してやる!」」」

群れていた人達は俺へと向かっていく。
あくまで、グレンさんと姉さんは無視して、俺狙いか。
ならF男くらいしか、こんな事する奴いないよな。

「天候は雨。拘束魔法を組み込む。合成魔法!姉さん、グレンさん、動かないでね」

雲が頭上に集まり、そして雨が降る。

それは、見事に俺と姉さんとグレンさんに当たらないように。

ビリビリ!

次々と倒れる人々。
生憎、主犯はベランダの上にある屋根で被害から逃れている。

「姉さん、もう少し頑張ってね」

「…うん、まだ、大丈夫」

「レイン、助かった、サンには私が着いておく。お前が行け」

「うん、行ってくる、瞬足っ!」

姉さんとグレンさんと話を交わして、すぐ様にこの戦いを終らせる。

ひゅん!

「う、うわぁぁあ!」
俺はベランダまで一瞬で到着し、そこの前にいた奴はいきなり現れた俺に腰を抜かした。

「やっぱり、お前か」

目の前にいるのはF男。
俺に剣術の授業で負けた事を根に持っているのかもしれない。

「く、くそ!死ね!」

F男は持っていた魔道具を俺に向ける。
すると赤い光りと共に膨大な魔力を感じるが、俺の体に魔力が当たると同時に魔力はキレイに霧散しているのを感じる。

そして、魔道具は勢いが無くなる。
魔石が切れたのだろう。

「な、なんで!なんで効かないんだ!」

焦るF男。

俺は腰を落として、その場に座り込む。
特に意味はない。
「あのさ、剣術で負けたのがそんなに悔しかったか?」
俺は聞いてみた。

「そ、そんなんじゃない!俺はお前が嫌いなんだ!出来損ないの癖に!」

うーん、魔道具が効かなかったのに、まだ現実がわからないのか。

「うーん、1つ言うと、俺は試験の日に遅刻をしたんだ。座学から試験を受けたから、実技が0点なのは当たり前。でも、座学で2教科どちらも満点だったから200点の毎年の合格最低点で合格したんだ。だから、別に実技が全く出来ない訳じゃないんだよ」

「で、でも!お前はGクラスじゃないか!それなら、Gクラスらしく落ちこぼれておけよ!!」

「いやいや、お金払って学園に行ってるのに、落ちこぼれてばかりじゃいられないだろ?俺は君と違って貴族じゃないから、お金が無いんだ。」

「そうだったな!お前は平民だからな!貴族に逆らったらいけないんだ!なのにお前は俺に剣術で勝った!お前を無礼罪で裁いてやる!!」

頭お花畑か…親に似るんだなぁ…

「学園のルールを知ってる?学園では身分は関係ないんだよ?逆に言うけどルーラは王女様で君よりも偉いよね。その王女様は入学式の演説で言ったはずだよ?身分に関係なく互いを高めていこうって。君こそ、身分を無視して王女様の言葉に背いてるのは何故?」

「そ、それは!あんな奴、王女なんかじゃない!」

あー、何かキレそう。
抑えろ抑えろ…

「例え王女に相応しく無かったとしても、そう生まれてしまったからには王女としての役目を担っているんだよ。君こそ、貴族に相応しくない気がするな」

「無礼罪だ無礼罪!お前なんか死んじまえ!!」

「じゃあ聞くね。王様は王様として相応しい?」

「……当たり前だ、王女も王様みたいだったら納得がいくんだ!」

あー、コイツは本当のチャラチャラした王様を知らないんだな。
つまりは、人前で王族という身分故に人をアレコレ指示している王様が大好きという訳だ。
本人は、人に命令するのをかなり嫌がっているようだがな。
良く出来た中々いない王様だと俺は称賛するよ。

「じゃあ、王様が言う事は何でも信じられる?」

「当たり前だ!何度も聞くな!!平民如きが!」

(神ちゃん、アレ)

『はい』

ぴらっ。

何も無い空間から1枚の紙が落ちてくる。
俺はそれを手に取って、F男によく見えるようにする。

「ほら、見て。これは、俺が貴族への無礼をある程度許してもらえるっていう契約書だと。ちゃんと公式的な印も押してある。」

「あ………ある程度だろ!お前がしている事は、ある程度じゃない!」

「よし、じゃあ、このある程度っていう言葉を使った王様に意見を聞いてみようか。でも、その前に、」

ぴとっ。

俺は魔道具に手を触れる。

(お願い神ちゃん)

『はい、分解………消滅』

砂の様になってそして消えた。

「な、なにする!魔道具を返せ!!」

「こんな危険な物を見逃す事はできないよ。この世から消し去った」

「このっ!!」

F男は殴り掛かってくる。

それを片手で凌ぎ

「拘束魔法」

ビリビリ

ぱたり

倒れたF男を担いで王様の元へと戻る。

「お疲れ様、レイン君」
「レイン、終わったのか?」

「いや、もう少し」

王様も拘束されているため、一度、この場で魔道具の影響を受けた人を拘束レベルを上げて気絶させる。

「リカバリー」

王様とF男だけを起こす。

「……あれ、私は何を…」
目覚める王様、少し混乱。

「……お。お、王様、こいつ!コイツを殺して下さい!」
F男は目覚めると勢いよく王様に食らいつく。

「あの、王様、先程、僕はこの貴族を諌めていたのですが、これは無礼に当たりますか?この契約書のある程度に入るかどうかをお聞きしたいです」

「ん?おお、それか。入るに決まっている。諌める者が居なくては、全てがきっと悪い方向に動いてしまう。それを止めてくれているのだ。しっかりと受け止めよ。」
そういう王様はF男へと顔を近付けて言う。

「くそっ!!死ね!!」
F男は気に入らなかったのか、懐から短剣を取り出して、王様の顔面に向けて突き刺そうとする。

バキッ!!

落ちる短剣。

「あああああっ!!!」

泣き叫ぶF男。

俺はF男の手首を抑えて骨を折った。

「これじゃあ、もう、救いようがないな…拘束魔法」

ビリビリ

ぱたり

王様は思わぬ出来事に少し驚いていたが、少し残念そうな顔もしていた。
それは、親の教育のせいなのか、何なのか、歪んでしまっている子どもがいる事がいるこの自分の国が少し許せないのであろう。


こうして、事件は落ち着き、目が覚めた人達は何があったのか分からないといった雰囲気でその場から去っていた。

女王様や、王女三姉妹、キールさんも目を覚まし、グレンさんが色々と説明をすると、これでもかと言う程、謝っていた。
特にラーラ。
いつまでも、悲しそうな顔をしている。
俺は何度も何度も気にしなくて良いよと言う物の、中々、機嫌が戻らなかった。


からんからん。

F男の服から1本の棒が出てくる。
さっきの魔道具だ。
家宝とは言っていたが、何本あるんだよ。

そう思い、手に取る。



「王様、ーーーーーーーー」


「………そうだな。そうしよう」



あれから数日後、死罪になると思われたF男一家は死罪にはならず、無罪となった。
ただ、次、似たような事があれば、反逆罪となる事になった。

そして今は王様の招きで王城でパーティーをしている。

「何で、アイツら死罪じゃないんだ?明らかに人を殺そうとしてたぞ?」
グレンさんは俺にそう言う。

「そうよ、レイン君も狙ってたのよ?」
姉さんも便乗。

「そうですよー」
キールも言う。

「そうですわ」
「私もそう思います」
「そうですわね…」
王女三姉妹まで。

「うーん。F男はまだ子どもだからね…親の間違った教育で歪んじゃったんだよ。F男には罪はない…とは言い切れないけどね。でも、今のF男とその親からしてみたら、死ぬよりも辛い罰があってね…」

「「「「「「ん??」」」」」」

皆あまりピンと来ていない様子。

「レインは、中々、凄い事を思いつくよなー、俺はあの意見に賛成だったけど」

「私もですわ」

王様と女王様は賛同する。

「お父様、どんな意見だったのですか?」

皆の視線が王様に集まる。




「王様、彼等を無罪にして、この魔道具で『誰に対しても優しく、誇らしい貴族であれ』と命じてみるのはどうでしょうか」

魔道具の影響にかかった人は、その行為の好悪に関わらず、必ず言う事を聞くようになる。
それは、人の意思を捻じ曲げる卑劣な道具だ。
でも、そんな物を家宝にしてきた。
何か訳があったはずだ。
こんな、悪魔のような道具を家宝にする程の本当の使い道。
それは、きっと人を諌める事なのだろう。
悪い行いや、考えで他人を不幸に陥れないように強制し、幸せへと導くための魔法の道具。
それが、この魔道具の本当の使い道だ。
家宝にするだけの事はある。


あれから、FクラスではF男は優しくなったと有名になり、クラスの女の子からモテるようになっていた。
俺の顔を見ると、笑顔で挨拶をする。
変わり様に違和感を感じるが、前よりずっと良い。
ただ、注意しなくてはならないのは気絶をしたら元に戻るという事。
だが、この魔道具にはもう1つ効果があった。
記憶は残るのだ。
隠れた意識の中に。
長時間、影響下にあれば、意識の根底に命令が常に留められる。
これもある意味では恐ろしい物だが、魔道具の影響が切れても今のままである事を願う。



こうして、レイン達は1つの貴族に正しい道を歩ます、手解きを加えたのであった。

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