最強になった俺は前世の夢を追い続ける。
2章。あれ、ヤバい、血が………。
「はっ………マジかよ………」
俺は日常的に使う様にしてた検索魔法に表れたいくつもの反応に気がついた。
異常な程の反応があるのは知っていた。
しかし、危険分子だとは思わなかった。
「レイン君、どうしたの?」
ラーラが心配そうに聞いてくる。
「一般人…?魔獣ではないけど、沢山の人が学園に攻撃してる、多分、今は魔法で」
「え……そんな事……学生を狙っての攻撃かしら……」
ルーラが言う。
「それしか考えられないわ、取り敢えず…………私はそちらに向かってみます」
焦るラグナ先生。
「いや、先生は訓練場に生徒皆を避難させて下さい。今はラグナ先生しか皆が安心して頼れる人はいないです」
俺はラグナ先生にそう促す。
「……ええ、わかったわ、王女様達はどうするの?」
「王様の所にはグレンさんがいる。一応、安心しても良いと思う。ラーラ達は先生の協力をしてもらおう。王女様の言葉ならより説得力が増す」
「レイン君は……?」
ラーラが心配そうに聞く。
「俺は止めてくるよ…襲ってる奴らの中に余り信じたくないけど知り合いがいるみたいだし…」
先程から見覚えのある反応がある。
一人は確実に誰だか分かる。
こんな事をする人だとは思えないのだが……
「わ、私も行くよ!」
ラーラが言う。
明らかに無理して言っているのが分かる。
勇気のある子だ。
「ラーラ、ありがとう。気持ちは分かるけど、死ぬ覚悟はある?それは、死ぬ覚悟じゃなくて、勢いじゃなあい?ごめんね、ラーラは先生やローラとルーラと一緒にいて欲しいんだ。三姉妹のお姉さんとして、皆を纏めるのを手伝って欲しい。お願いしてもいいかな?」
子どもとは思えない程の大人的対応。
こんな子どもはあまり見た事がないだろう。
「う……うん。絶対、戻ってきてね……」
ラーラがやはり心配そうに言う。
「うん。ほら、しっかりしろ!お姉さんだろ?」
そう言って俺はラーラの肩をポンポンと叩いた。
「うん。しっかりする。先生、ローラ、ルーラ行きましょう」
「「「うん」」」
そう言って、3人は廊下へと走って出ていった。
さぁて。
やりますか。
検索魔法に集中する。
王様達は安全。
一応、グレンさんに保護を頼むように言おうかな。
敵は相変わらず、離れた場所から魔法を一斉に放っている。
火炎魔法だから、火事の恐れあり…か。
そして…やはり…。
何故、こんな事をするのか全く理解できない…。
俺は教室の窓から外に出る。
「神速っ!」
ぴゅん!
ぴしゃぁぁあん!!
窓ガラスが割れると教室から悲鳴が聞こえる。
危険だけど、案外、緊急性が煽れて良いかもしれない。
王様達の元に辿り着きグレンさんに話しかける。
「グレンさん、敵が攻めて来ます、王様達の護衛を任せても良いですか?一応、僕も検索魔法で警戒はしておきますが」
「お、おお、いきなり現れたな…レインも敵も。分かった。任せろ。」
グレンは自分の薄い胸をポンっと叩いてみせた。
「おい、レイン、敵は誰なんだ?」
王様が聞く。
「率直に申し上げると……騎士団です」
「「「えええ!?」」」
王様、女王様、グレンさんの3人が驚きの声を上げる。
それも当然だ。
騎士団は今日、王様達が不在のため王城の警備に全員で当たっている。
それが何故か学園にいるのだ。
「理由も含めて、調べて来ます。一応、また3人に隠蔽魔法を掛けておきます。ラグナ先生が訓練場に生徒を避難させてるので、それに混ざって下さい。お願いします。グレンさん、もしも奇襲があった時は戦闘をお願いします。」
そう言いながら俺は3人に隠蔽魔法をかけた。
「おお、分かった。レインの事だから心配は無いと思うが…騎士団だからと言って油断はするなよ?」
グレンさんが釘を刺す。
「はい。では…」
俺は、そう返事をして、すぐに騎士団の元へと向かった。
建物に火炎魔法が当たり続けているため、燃え始めた。
「天候魔法、雨!」
周りの雲が集まり始めて、建物の真上に大きな雨雲を作り出した。
そして、どしゃ降りの雨が降る。
火は完全には消えないが、これで引火しにくくなる。
「水魔法アクアボム!二酸化炭素入り!」
大きな水の固まりが火が最も出ている場所に向かい、炸裂する。
そして、鎮火した。
「結界魔法」
結界で学園全体を囲む。
これで安全は確保された。
すると…
ひゅん、ひゅん、ひゅん、ひゅん。
俺の背中目掛けて、火矢が飛んでくる。
俺はすぐにそれに気づいて、移動途中に帯刀していた力士三人分刀で、全て弾いた。
そして、飛んできた方向を見る。
『総勢300人程度。騎士団と一般民も混ざっています。』
目の前には人。
防具を着けている騎士団や、普通の一般民までいる。
全員片手には何かしらの武器を持っている。
もはや、道の邪魔でしかない。
「狙いは……王様か…?でも、ここに来ているのは知らないはずだよな…」
すると、声が聞こえた。
聞いたことのある声だ。
「奴がレインだ!殺せ!王女を守る者が自ら出てきたぞ!」
「やっぱり、ヘレン様か…」
何があってこうなったのかは分からない。
そして、奴が。という言葉とその後の、王女。という言葉からして、狙いは俺と王女三姉妹という訳だ。
ヘレン様が人を殺す事を考えたとしても、こんな迷惑な方法かつ、一般民を巻き込んだりはしないはずなんだけどなぁ…。
「死ね!レイン!!」
ヘレン様が走って近づいてくる。
動きが異常な程、速い。
前に戦った時はこんなに俊敏ではなかった。
グレンさん程ではないが、ゴキブリみたいだ。
「てやぁぁ!!」
ヘレンは剣を素早い動きで隙が出来ないように振る。
ががががきんっ!!
俺は刀でそれを受け止めた…が。
力が強い。
そして、速い。
多分、剣には硬化魔法と振動魔法が掛けられている。
殺す気満々という訳だ。
「はぁぁぁあ!!!」
がががががきんっ!!
再び剣撃が繰り返されるが、一撃が重く速い。
「これ、薬でもやったのか?」
『いいえ。そうは思えません……。どちらかと言うと……操られている雰囲気です。限界を超えた力が強制的に引き出されてるんだと思います。』
「なら良かった。本心でこんな事をする人じゃ無いもんな。でも、アニメでも良くあったけど…限界を引き出すって事は肉体にかなりの負荷が掛かるって事だよな」
『はい。レイン様、知り合いだからと手加減をしていると危ないです。敵は1人ではありませんし、どうやら相手も1対1にするつもりは無いみたいです。』
ひゅん、ひゅん、ひゅん、ごおおおお!!
ヘレンと戦いながらも次々と撃たれる矢と魔法。
もはや、敵も味方も関係なく、勝つために犠牲は辞さないという感じだ。
俺はヘレン様の攻撃を凌ぐのに気を注ぎ過ぎて何発か魔法や矢を受けてしまうが、正直、何も痛くない。
血も出なければ、火傷もしていない。
だが、ヘレン様は違うようだ。
矢が背中や肩にささり、腕や顔には火傷がある。
しかし、動きを止める事はなく、淡々と斬撃を撃ち続けている。
「このままじゃ、ヘレン様が死ぬな…」
ががががかきんっ!!
俺は片手でヘレン様の攻撃を凌ぎ、もう一方の手でヘレン様の手に触れる。
「拘束魔法!」
ビリビリ
ヘレンはその場に崩れ落ちた。
流石にとっておきの拘束魔法には耐えれなかったようだ。
そして、俺は次々と向かってかる騎士や一般人を拘束魔法にかけていく。
やはり、一人一人の力や素早さは高い。
が、俺の敵ではない。
速いと言ってもグレンさん程ではない。
グレンさんの速度は瞬足より少し遅いくらいだが、コイツらは俺が何も使わずに走った時と同じくらいの速さ。
いや、それでも人間離れしかけているのだが。
『学園内でも戦われてるみたいです』
「あぁ。いつ入り込んだかは知らないけど2人だけならグレンさんが何とかしてくれるだろ、一応、警戒はするけどな」
『はい、恐らく、グレンさんの場合、拘束魔法などが無い為、死ぬか生きるかの極端な技しかないため、苦戦していそうですね』
「あぁ、ファイヤボールの威力おかしかったしな」
すると、
「何、ブツブツ言ってやがる!!!俺は騎士団長!!ハリエルだ!!!死ね!!!」
がきんっ!!!!
「え!強っ!!」
ハリエルが振り下ろした剣は俺の剣を一瞬押して弾いた。
今までにこんな事は無かった。
そして、ハリエルは、剣を片手に持ち替えてもう片方の手で新しい剣を取り出し俺に向けて突き出そうとする。
騎士が二刀流?
何か、違和感。
いやいや、そんな事を考えてる場合じゃない。
これ、刺されるわ。
ズシュ!!
剣はしっかりと俺の右肩を貫通した。
かなりの勢いで血が流れ、右腕は血だらけだ。
転生して初めて誰かの攻撃で血を出したかもしれない。
痛い。
ズシャ!!!
そして、俺が痛みで怯んでる間にハリエルはもう片手の剣で俺の体を斜めに切り裂く。
クソ痛い。
服が部分的に斜めに裂けて、そこから血がドバドバ流れる。
センター試験の日以来の刃物による痛み。
内臓出てないよね…?
大丈夫だよね…?
こちらの斬撃は少し浅かったようで、心臓など、重要な臓器には届いていないようだった。
少しフラフラする。
やべぇ。負けるんじゃね?
『レイン様、この相手には今の力配分では少し危なげな部分があります。もう少し、攻撃力と防御力を上げますね。強制回復も実行しときます』
「あ、まだ底無しに力を余らせてたのね…」
『力を強くし過ぎて剣と一緒に相手を斬ったら大変ですからね、攻撃力は、かなり力をセーブしてましたよ、防御力は攻撃力よりは高めているつもりでしたが、相手の剣の性能と魔力刃、硬化魔法、振動魔法が使われてたので負けてしまいました。あと、知ってると思いますが強制回復では血は少ししか戻らないので注意を』
「うん、分かった」
「てや、てや、てや、てや!!!」
ハリエルが二刀流で次々と剣撃を入れてくるが、先程より自分の攻撃力が上がった分、剣さばきが速くなり、余裕で受け止めれるようになっていた。
しかし、相手は両手に剣を持っているため中々、隙ができない。
「くそ!何で受け止めやがる!!喰らえ!!2連!エクスプロージョン!」
がきん!!
どごおおおおおん!!!!
ハリエルの剣撃を受け止めた瞬間、その剣先から火の玉が射出され、近距離で爆発する。
俺は体重的な問題で爆風で吹き飛ぶ。
そして、少し痛い。
恐ろしい物を見てしまった。
爆風で吹き飛んでいる俺を同じ速度で走って追いかけるハリエル。
これ、瞬足の速さ越えてる…?
そして、吹き飛んで落ちてきた俺に剣を突き刺そうとする。
「もう一発!!!エクスプロージョン!!」
ずん。
どごおおおおおん!!!
次は少ししか剣が刺さらない。
裁縫針が指に刺さっちゃったのレベルだ。
勿論、服には穴が空く上に、エクスプロージョンの熱で少しボロボロになる。
俺は再び吹き飛ぶ。
目が回る。
血が出てる気がするなぁ。
刺さった場所にエクスプロージョンだから、多分、傷の範囲が大きくなってるのかな?
『このくらいなら強制回復ですぐに回復出来るから大丈夫です。血だけ気をつけて下さい。あと、そろそろ、拘束魔法をかけて貰わないと、ハリエル様とレイン様、目掛けて矢が飛んでくるかもしれません。レイン様は無傷でもハリエル様は怪我をしますからね』
「了解。神速使って相手が吹き飛ぶの承知で拘束魔法かけるよ。」
『そうして下さい。後で回復魔法を掛けたら大丈夫だと思いますし。』
俺は空中を吹き飛びながら、
「神速!結界魔法!」
そして、空中に結界を作りそれを壁代わりとして、思い切り蹴る。
ぴゅん!
「拘束魔法!」
ビリビリどーん!
ハリエルは神速の勢いで体を押されて吹き飛ぶ。
「おお、楽ちんだ。」
『もう、いっその事それで片付けますか?』
「いや、一般民だと死にそうだから、瞬足でこれを使うよ。多分、強いのって後は副団長くらいだろ?」
『ですね。中々名乗ってくれませんが』
「まぁ、いいよ、瞬足!」
ひゅん!
「拘束魔法!」
ビリビリ
こうして、副団長らしい人に遭遇する事なく全員に拘束魔法をかけ終えたレイン。
怪我は強制回復で全回復したが、抜けた血は少ししか戻らない。
魔力も相当使ったが、魔力は強制回復の対象に入るためマシだ。
少しフラフラしながらも、レインは騎士団長ハリエルの所へと向かっていった。
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