最強になった俺は前世の夢を追い続ける。

音感あっきー

2章。気が付かない穴の埋め方。

今日は王様、女王様の学園訪問日。
教員内でのイジメを発見するための日でもある。
とは言っても、公式的には、今日は学園の授業や職員室などを見学したいという人が訪問できる日にすると王様が取り決めた。
と言う事になっている。
そして、急であったため、参加者はたったの5人。
その内、3人は王様、女王様、グレン。
勿論、3人ともレインの隠蔽魔法によって、そこら辺の一般人となっている。
今回は、男がいると教職員がいつも通りに出来ないかもしれないと言う事も考慮して、王様は女性に見える様に隠蔽魔法がかけられている。
残りの2人はどちらも女性だ。

「王様、ラグナ先生をマークし続けて下さい。先生が移動する時もそれとなく、付けて下さい。」
俺は王様に耳打ちをする。

「おう、わかった。レインは何か仕掛けるのか?」

「はい。多分ですけど、ーーーーーーーー」
俺は王様に耳打ちで仕掛ける事を伝える。

「わかった。バレないようにな」

「はい、王様も。あと、グレンさんは何か暴力沙汰が起きたらすぐに止めて下さい」

「うん、わかった」




今は授業中。
Gクラスの俺は本来なら魔法詠唱の勉強時間だが、既に完璧であるため、ラグナ先生が使える魔法を一通り見してもらっていたりした。

がららら

教室の扉が開く。

王様達3人が入室してきた。

3人は俺一人しかいない教室の後ろの方で固まっており、何とも気不味い。

「ええっと、レイン、授業再開する?」
ラグナ先生は、見学者が来たため今の教室の状況に少し焦りを覚えているようだ。
それもそのはず、授業をしていないのだから。

「んー、大丈夫じゃないですか?時間は有限なんで、有効活用しましょうよ」
俺がそう言うと、後ろの方でププッと笑い声が聞こえる。
笑いの根源はグレンさんっぽい。
後で聞いてみた所、本当にGクラスで教室に1人しかいない上に授業で学ぶ事が何もない状態に笑いがこみ上げて来たらしい。

こうして、下らない雑談授業は3人に見守られて終わった。



昼休みはラグナ先生と王女三姉妹と俺でGクラス教室で食べる。

「んー、雑談してるだけだったのに何で3人も教室にいたのかしら」
ラグナ先生が疑問に想う。
それも当たり前だ。
呆れて普通は退出する物を最後まで見学しているのだから。

「案外、先生の雑談って為になりますよ?有用性は……ちょっとアレですけど知識としては」
俺はフォローを入れる。

「レイン君、余りフォローになってませんわ」
ラーラが正す。

「Sクラスの授業は2人来ていましたわ」
ローラが言う。

「まぁ、Sクラスだからな、普通は真っ先にそこのクラスを見学すると思うぞ」

「ですわね、少し緊張しましたわ」
ルーラが言う。

授業参観なんてモノを初めて経験してるんだもんな、まだ一年生だし。
俺も前世で緊張した覚えあるわ。

そんなこんなで時間が経ち、先生は授業の用意をするために一旦、職員室に戻る事になった。

「いよいよね」
ラーラが言う。

「うん。無事を願いたいけど、今後の先生の為にも何か起こって欲しい気持ちもある」

「普通はこんな事、何か起こってほしいと願ってはいけないのですけどね…」
ルーラが言う。



ラグナSide

教室で皆とお昼を食べた後。
私は職員室に荷物を取りに行っていた。
できれば、職員室には長い時間いたくはないのだが、荷物を取りに行く時は仕方がない。
私は、職員室に入ろうと思ったが何やら騒がしい。
恐る恐る扉を開けてみた。

がららら…

中には…高貴な雰囲気のイケメンな男の人と可愛らしい女の人、そして、燃えるような髪色をした女の人がいた。
全員どこかで見た事があるような………

「我が娘とその友人が作った物に何をしてくれる!!」

男の人は顔を赤くして怒鳴り上げている。

私は知らない振りをして自分の机に向かうとある事に気が付いた。
まず、皆の視線が自分に集まっている。
その視線は憎しみの込められた物が殆どな気がする。
顔を見渡す限り、皆、顔が青ざめている。
そして、私の机の上にはボロボロに焼け焦げた木の破片が沢山散らばっている。
そして、その机の端に紙が置いてあり、その紙には…
『いつも一緒にお昼を食べて下さるお礼です』
と書かれていた。
いつから置いてあった物かは分からないが、私にはすぐにこの状況を把握した。
これはレインと王女様達からのお礼の品であった。
そして、それは恐らく形跡を見るに打撃や魔法を加えられ破壊された。
誰かに。
決まっている。
こんな事をするのは教師しかいない。
私は何故か嫌われているのだ。
理由は本当に分からない。
物が無くなるのは日常茶飯事。
少し前には職員室の椅子に麻痺魔法の罠が仕掛けられていた事もあった。
そして、先程、怒鳴っていた男性。
何処かで見た事があると思ったが……やはり、王様。
そして、その隣にいるのが女王様であり、その護衛がSランク冒険者のグレンである。
何故、こんな所にいるのかは分からない。
だが、きっと王女様達の様子を見に来たのだろう。

「娘とその友人が作った物を壊した者は正直に手を挙げよ。後に手を挙げなかった事が分かった場合には死刑も覚悟せよ」

王様の怒りの籠もった言葉により、次々と手が挙がっていく。

「おい、お前!何故、手を挙げない、お前も加担していただろ!」
グレンが強くそう言う先にはFクラスの先生がいた。

「私がしたという証拠は無いと思いますが」
Fクラスの先生は強気に出るが、顔が青ざめている事に変わりはない。

「私を舐めるな。その木の破片に付着している魔力にはお前の物も混ざっている。何より私はお前達がそれを壊しているのを見ていたしな」
グレンは初めから狙っていたかのようにニヤリと笑みを浮かべた。

「貴方だけ逃げるなんて卑怯です!」
「そうだ!」

周りの先生はFクラスの先生に手を挙げるように促す。

「では、次に問いますわ。今、挙手をしていない者で、今までにラグナ先生に対して嫌がらせをしていたという先生方は手を挙げてください」
女王様が発言する。

そして渋々と数人が手を挙げる。

まだ手を挙げていない人がいる。
正直、この室内で私に対して嫌がらせをしなかった先生などいない。
いれば、その人も同様に嫌がらせを受けるであろう。

「ほう、以前、職員室で貴族が授業内での身分の差を理由にラグナ先生を痛み付けた時に誰も助けなかったと聞いておるのだが、それは立派な嫌がらせではないのか?Gクラスの生徒一人でも撃退できるような護衛だったそうだが、それを先生方が倒せないとは言わせんぞ?」
王様は釘を指す。

すると職員室内の私以外の全員が手を挙げた。

「今、手を挙げた者は今を持って学園を去ってもらう。そして王都での滞在も禁止とする。これは我が娘に対する侮辱、そしてなにより教師内でのイジメを互いに矯正できかった罰だ。分かったならさっさと去れ。」
王様は威嚇的な声を上げる。
とても迫力のある雰囲気であった。

すると教師達はやむを得ず、荷物をまとめ始めた。

私は少し混乱していた。
こんな日がくるとは思わなかったからだ。
復讐心は表面上は無かったが、心の底ではきっと復讐心があったのであろう。
何かスッキリとした気分であった。

「王様。救って頂き…ありがとうございます……」
私は涙が出てきた。
これで、終わる。
やっと終わるんだ。

「うむ、これからも娘とレインをよろしく頼むぞ」
王様はそう言って機嫌の良さそうな顔をした。

「先程のお礼の品は……」
私は破壊されてしまったレインと王女様達が作ったであろう物が気になっていた。

「ああ、あれはお礼にあげようとしていた物の失敗作だそうだぞ?完成品はレイン達が持ってると思う。今すぐ、戻ってやれ」
王様はニコニコとそう言った。

ん?これは仕組まれていたのかな。
そんな事を思いながら私は教室に戻った。
すると、もう授業が始まっている時間にも関わらず、レインと王女様達がいた。

「これ、プレゼントです!」

そう言って一人ずつから合計4つ。
丸い形の木の器とその蓋を貰った。
形はシンプルだが、あまり見た事が無い物だ。
そして、丈夫そうでしっかりとしている。

「先生の弁当箱、ボロボロだし隙間も空いてたりだから、僕たちで弁当箱を作ってみたんだ。蒸籠っていう弁当箱だよ」
レインがそう言う。

私は何かポッカリと空いていた部分が埋まっていく感覚がした。
初めからポッカリとした部分は感じなかったが、埋まって初めてそういう部分があったと気がついた。
温かい。
心が温まっていく。
私は孤独から解放されたのかもしれない。

この気持ちを伝えたい。
そう思い、私は心を込めて言葉を発した。




「ありがとう」




その言葉の直後、学園は大きく揺れた。

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