最強になった俺は前世の夢を追い続ける。

音感あっきー

2章。王族はラグナ先生を守りたい。

あの事件の日以来、合同授業以外ではレインは自分の実力を見せるようになっていた。
そのため、ラグナ先生も何を教えていいのか分からなくなっていて、逆にラグナ先生が教えられる立場になっていた。
そして、昼休み。
俺はあの事件の日以来、Fクラスの女の子から一緒に食べようとか言われたりするようになったが、王女様と食べるという事を口にすると皆、引いてくれるようになった。
というわけでGクラスの教室には。

ラグナ先生とラーラ、ローラ、ルーラ、俺の五人でいつも集まってお昼を過ごしている。
俺は王女三姉妹がいつも一緒のタイミングで来るから何でだろうと思っていたが、全員Sクラスだと聞いて俺は驚いていた。
違う学年だと思ってたよ。

そしてこのお昼の集が俺には引っかかっていた。
少し、気になるのだ。
というか、俺はもう薄々気がついている。
何故、ラグナ先生は職員室でお昼を過ごさないのか。
何故、合同授業ではFクラスの先生は来ないのか。
何故、Gクラスの先生がラグナ先生になったのか。
何故、あの事件の日に誰もラグナ先生を助けなかったのか。

前世ではそういう事に対して皆、敏感だったからすぐに分かる。
いじめだ、教師内での。
理由は分からない。
ただ…俺はどうして良いのか分からない。
助ければ、エスカレートする可能性がある。
かと言って、何もしなければ何も変わらない。

どうしたら良いのだろう……


今日の放課後は偶然、ラーラに会ってラーラと帰る事にした。
「帰りは3人一緒じゃないんだね」

「二人は教室の掃除当番に当たっているのですわ」

「あー、そういう事」

掃除当番。
ラグナ先生には伝えてあるが、他のクラスがホウキで掃いたりしている中、Gクラスは清掃魔法をかけて一瞬で終わるため、当番がない人と同じ時間に帰れてしまう。

ここからは日常的な大した事のない会話が続く。
ラーラはローラやルーラと比べると少し気が強いように思える。
第一王女であるためか、しっかりしなければならないという自覚があるのだろう。
そして、1つの選択肢が俺の頭に浮かぶ。
王様にラグナ先生の事を伝えてみたらどうなるか…。
アンダンテ学園は国が経営している。
そのため、全ての最終的な選択は国に委ねられる。
まぁ、俺がGクラスにいるのも変えてもらえると言われたが、俺が断った。
どうするべきか…

「レイン君?」

「…………え、あ、何?」
俺はボーッとしてしまっていた。

「何かありましか?元気がありませんわ」
ラーラが心配そうに顔を近づけてくる。
近い近い。

「いやいやいや、特に何も……無い…事はないんだけど……」
少し顔が赤くなっているだろう。
顔が近いため少し恥ずかしいのだ。

「顔が赤いですわ、まさか病気…大丈夫ですかレイン君!」

「ち、違う、病気なら自分で治せてる…。」

「悩み事ですか?」

「………うん」
俺は渋々答えた。
こうも、女の子にペラペラと自分の悩みを言って良いものなのか分からないが、ラーラなら…何か変えてくれるかもしれない。という願いを元に言ってみる事にした。
でも酷いよな、ラーラが王女である事を利用したりするなんてのは。
王女である前に一人の女の子なんだし…

「ラグナ先生ってさ。多分、教師からイジメられてると思う」

「私もそう思いますわ」

「え?気づいてたの?」
俺は気づいているのは自分だけと思っていたから少し意外だった。

「ええ、何となくですが、女の子の間ではよくある事なのでGクラスの担当になった時点で少しそんな気はしていたのですが、毎日、昼休みに職員室にいない事や、この前の事件の時、他の教員は誰も助けようとしていませんでしたし」
不安げな顔をしながらラーラは語る。

俺は驚いた。
ラーラの観察力だ。
いや、案外、女子からしたら普通なのかもしれない。

「助けたい…って言ったら変かな…」
ラーラは知っていながら助けていない。
それは何か訳があるのかもしれない。
だから控えめに聞いた。

「いいえ!私はその言葉を待ってました!!」
目を輝かせているラーラ。
何かテンションの上がり様に付いていけないが、無邪気で可愛い。

話を聞いた所、前々から三姉妹でどうにか出来ないか話し合ってたみたいで、王様にも相談をしたらしい。
すると、何か決定的な証拠を掴めさえすれば生徒や騎士団、民は先生に反発するだろうから、教員の変更も簡単にしやすくなるだろう。との事だ。
そこで、俺を捕まえて色々、協力してもらおうと考えていたが、冒険者としても忙しい俺を無理矢理引き込む訳にはいかないとなり、自分達からは引き込まないようにしていたらしい。

「僕は全然、大丈夫だから、必要だと思ったら呼んでね?」

「わかりましたわ、ありがとうございます、では、今日は王城に行きませんか?そこで、皆でお話をしましょう」
ラーラが手を合わせて顔を近づける。
何か恥ずかしいなぁ…
無垢でやってるんだろうなぁ。
顔が近いよ。



王城にて。

「それじゃあ、始めるか」
王様は声で皆の顔が真剣になる。

王様、女王様、王女三姉妹、俺。
家族会議に異物が混入したかのような絵面。
少し気不味い。

「まずは決定的証拠を集める必要があるな、まあ、一番手っ取り早いのは王様である俺がその状況を見ることだ」

「学園訪問を行ってみてはいかがでしょう、ルージュ」
女王様は提案する。

「はい、それが一番良いと思いますわ」
賛成するラーラ。

「しかし、お父様が見ている前で敢えて行動する人は居ないと思いますが……」
ルーラが異論を唱える。

「変装してみたらどうでしょう?」
ローラが対策を唱える。

「お父様にそんな事は余りさせたくありませんわ。少なくとも王様なのですから」
ルーラが言う。

「まぁ、確かに変装をしたいかと言われるとしたくないなぁ。王様が一般人と同じ服を着ていては愛着は湧くかもしれないが、進んで付いてくる人間がいなくなりそうだ」
王様が言う。

「じゃあ、やはりこの案は却下…ですわね」
女王様が言う。

「あのー…服は王様が人前で着るものにして、皆からは一般人に見えるようにするというのは…どうですか?」

「「「「「………ん?」」」」」

あぁ、理解できてない。
実践してみるか。

「ええっと要するにですね……ラーラ、魔法かけるけど良い?」

「ええ、構いませんが…」

「えーっと、今のラーラの姿はこの様だけど、魔法をかけたら…隠蔽魔法っと。ほら、こんな感じに…」

「「「「「おおおおおお!」」」」」
歓声。

「え?え?何ですの?」
焦るラーラ。

「凄い、声も変わるのか!」

「髪の色も水色になってますわ!」

「目の色も違います!」

「服も一般人の物になってますわね!」


「え?何がどうなってるの??」
ラーラ、焦りに焦る。

「解除。」

「「「「おおおおおお!」」」」
歓声。

「もとに戻った!」

「えええええ?何がなんだか……」
ラーラ、混乱。

「てなわけで、これなら生徒達からは魔法がかかっている間はただの訪問者にしか見えなくて、決定的な場面で魔法を解除したら、バッチリです」

「よし!これで行こう!!これを使ったら、街も歩きたい放題だな!!」
王様、一瞬で悪用しようとする。

「駄目ですよ、ルージュ。」

「はい…。」

案外、大人しいんだな。

「しかし、一般人に見えるのならば、護衛をつけて歩けないのでは?」
ルーラが言う。
中々鋭い点だ。

「その護衛も一般人の訪問者にしてしまえば良い。」

「では、誰が護衛を…」
ルーラが再び問う。

「あの。グレンさんとかはどうです?僕の力の事もある程度分かってますし」

「おお、そうするか」

「あの、私も訪問するのでしたら、王城に殆ど誰も残らなくなってしまうのでは…」
女王様は心配そうに尋ねる。

「騎士団を置いていけば良いだろう、では、この計画で進めよう」


こうして、計画は建てられた。
もう一つの恐ろしい計画が進んでいる事は誰も知らずに…。

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