男女比が異常な異世界で最強になった俺は前世の夢を追い続ける

音感あっきー

2章。雷って雲より高い所にも一応落ちるんですよ?

俺はギルドでグレンさんが来るのを待っていた。

がちゃ。

からんからん。

ぎろっ

「レイン君、行きましょー?」

ザワザワザワザワ

グレンさんが中に入ると一気にギルド内が騒がしくなる。
Sランク冒険者でありギルドマスターであるグレンは冒険者皆の目標であったり、尊敬の念を抱かれたり、アンダンテ王国では人気者の内の一人である。
当然と言えば当然の反応だろう。

「あ、はい、じゃあ、アエンさん、行ってきます」

「おう、ちゃんと帰って来いよ」

アエンはマッチョな体に合わない神妙な顔付きで俺たちを送り出した。
それもそうだろう、行く場所が問題だ。
アンダンテ平原。
恐らく、竜型魔獣の縄張り。
地竜しか表れていないが、他にも何か居るはずである。
因みに、竜型魔獣にはいくつか種類がある。
クラス分けをするとこうだ。

Sクラス→、古竜エイシェントドラゴン白竜シャイニングドラゴン黒竜ダークドラゴン氷竜アイスドラゴン火竜ファイアドラゴン

Àクラス→飛竜、土竜、地竜

普通はCランク冒険者が介入して良い話では無いのは、自明だ。

そして、グレンとレインはアンダンテ平原へと馬車で駆け出した。


馬車の中では、作戦を話していた。

Sクラスの魔獣に遭遇した場合は、無理に一人で倒そうとしない事。
Sクラスの魔獣を2体同時に相手にする事になったら、視界を悪くする魔法を使って逃げ出す事。
Aクラスの魔獣の奇襲攻撃は常に警戒すること。
土竜は地面の中に、飛竜は空にいるため、地上ばかりに気を取られないようにする。
古竜は体の大きさを自由に変えられるため、隠れている事が多い。
そして、体が小さくても、他の竜の数百倍は強いから1人で倒そうとしない事。

「Sクラスは上級魔法も普通に使ってくる。……例えばエクスプロージョンだとかな、だから、絶対に油断しない事。そして、ブレスは全力で回避すること。当たれば即死物だ。」

「わかりました。」

グレンさんの忠告、一つ一つをしっかり聞いて気を引き締めた。

そして、俺は何かあった場合の為に軽く検索魔法を使っている。
昨日の反省点だ。

こうしている内に、平原へあっという間に着いた。




「随分と静かだな」

「ですね……でも反応はいくつかあります、もう来た事に気づいてるのかもしれません」

検索魔法には俺とグレンさんがいる場所を取り囲むようにして、離れた距離にいくつかの反応が見えた。

「反応…ってなんだ?」

「あ、検索魔法です。敵が何処にいるかを調べる」

「お、おお、便利だな」

グレンさんは苦笑いながらも有用性に関心しているようだった。

「今、離れた所でここを取り囲むようにいくつか反応しています。」

「奇襲攻撃を仕掛けるつもりかもな、でもその魔法のお陰で動きはバレバレだから奇襲とはいかなそうだが……」

場所とタイミングがバレている奇襲攻撃はもはや奇襲攻撃では無い。
そして、

「あ、全方位からいくつかコッチに来ます。待機してるのもいくつか有りますね。」

「目視出来なければ、土竜の可能性が高い、そして、恐らくだが、土竜と戦っている間に飛竜と地竜が来る。土竜が50㍍圏内に入ったら、合図をして大体の場所を狙って魔法を地面に撃ってくれ。そしたら、多分地上に出てくる」

「分かりました」

その間に、グレンさんは魔法の詠唱を済ませておいている。

「お前も詠唱しとけよ?」

「あ、はい」

そして、適当にそれっぽい詠唱をしておく。

近付いてきた。

90……80……70……60……50!!

「今です!!」

俺の合図と共に、俺とグレンさんは魔法を打ち始める。

「ファイアボール!!」

「硬化魔法!!」

「「え?」」

俺とグレンさんは互いの魔法内容に対して気の抜けた声を出した。

ファイアボールって初級魔法だけど、良いの?
って思ったら……
そうだ、灼熱のグレンだったな。
明らかに大きい。
グレンさんの出したファイアボールは半径2メートル超えの超大玉。
Sランクというのにも納得がいく。
因みに普通のファイアボールはバレーボールサイズだ。

「あはは、恐ろしい大きさのファイアボールですね……」

「何故、お前は攻撃魔法を使わない。硬化魔法は武器に使うものだろ…」

「あぁ、土を硬くしてやったんで、多分途中からうまく進めなくなって、諦めて出てきますよ」

「なるほど…そういう手もあるのか…しかしどの範囲の土を硬くしたんだ?」

「平原一帯です」

「…………。凄いな…」


ズボッ、ノソリ。

軽自動車サイズの茶色の体。翼は小さく爪はとても大きい。
沢山の土竜が衝撃や土の固さに驚いたのか地面から出てきた。
勿論、地面の表面も硬くしたから、出てくるのでやっとだと思われる。

「やけにゆっくりとしてるな、硬化魔法のお陰か?」

「地面の表面にもかけましたからね、出てくるの大変だと思います。」

「何か可哀想だな。まぁ、良い、近接戦で1体ずつ倒すぞ。また反応があったら教えてくれ。」

「了解しました」

返事をするとグレンさんはその場素早く動き、まるでゴキブリのような速さで敵の首を斬っていく。
あぁ、これはSランク納得だわって感じの速さと身のこなし。
土竜の爪の一撃をまるで、くる場所が分かっているかのように小さな動きで躱し、竜の首を剣で斬っている。
噂では焼き斬るという表現がされていたが、それはまた別の話なのだろう。
刃物の切れ味などに関係なく、敵の斬れやすい場所を的確に狙い、そして、その場所に最適な斬り方をする事でスパンと斬っていく。
敵の事を知り尽くしているからなのか勘でやっているのか分からないが、取り敢えず、凄いという言葉が最も当て嵌まる。

「俺もやなきゃ…瞬足」

ひゅん

(力士十人分刀)

『了解しました』

さらり。さらり。さらり。

次々と地面からノソリと現れる土竜の首を斬る。
俺の場合は圧倒的な技術の無さを極端な刀の硬さと切れ味でカバーしている。
チート様々と言う訳だ。
多分、グレンさんから見ると、何でそんな適当な振り方で豆腐が斬れるように首が跳ね上がるんだ?って思うと思う。
まぁ、そういう刀だからしょうが無いよね。

土竜をグレンさんと二人係で倒していき残り数体になった所で検索魔法の反応に動きがでる。

「反応近づいてきます!空…かな?」

透き通るような青空には、青色っぽい体で大きな翼を持った竜が沢山いた。
飛竜だ。
体はトラック程の大きさで、口をガバっと開けて遠距離攻撃しようとしている。

「攻撃を撃たせる前に土竜を全部潰して、躱す体勢に入るぞ」

「はい」

すぱんっ。さらり。すぱんっ。さらり。

いい音と気の抜けたような音が交互に鳴り響き、一瞬で土竜を殲滅した所で、沢山の飛竜が叫びながら、口から見えない何かを撃った。

ぱきゅんっ!

恐らく風魔法。
何かモヤモヤとした物が凄い勢いで飛んでくる。
俺とグレンさんはそれを体を大きく使って大袈裟に躱す。

ずどぉおおん!!

モヤモヤが当たった地面には抉れた痕があった。

そしてそれが全方位から、いくつも飛んでくる。

うーん、躱すの面倒だなぁ。

「グレンさん、もう倒しても良いですか?」

「何を言う、この距離では遠距離魔法でも当たらないぞ?あいつらが降りてきた所を狙うんだ。」

「上から魔法を落とせばいいんですよ」

「ん?」

「雲に静電気を沢山集めて…放電。放電魔法!ライトニング!!」

ぴしゃん!どおおおおおん!!!!

一瞬目の前が光ると、轟音とともに空に居た飛竜が煙を出しながら堕ちてくる。
その光景は何か世界が終わるのでは無いかと言う程、悲劇的かつ衝撃的な物だった。

「な、なんだこれ…」

「雷を落としてみました、あはは」

自分でも少しやり過ぎたかなと思った。
空にいた沢山の飛竜が一匹残らず落ちて来ているから…。
いや、まぁ、空に居るのが悪いんだよ…雷が落ちやすいんだもん。

「恐ろしい魔法だな…絶対にお前は敵に回したらいけない事はよく分かった…国も簡単に滅びそうだな…」
グレンさんは少し常識とは何かを再び考えさせられている様子だった。

「あ、今度は滅茶苦茶、沢山きます。地竜かなぁ」

「そうだな、見えてきた。にしても大量だな」

「さっきの雷の様子を見に来たんじゃ無いですか?」

「ん?……Sクラスも大量にいるぞ?氷竜も白竜も……あれ?オールスターじゃないか?全軍で挑みに来たぞ?」

「それってヤバいんですよね」

「うん、確実に死ぬコースだな」

『レイン様、先程の雷で恐らくリーダーの古竜が死んだと思われます』

(え、でも居なかった事無い?それっぽいの)

『はい、戦場には居ませんでしたが、恐らく魔力の隠蔽魔法を使って空高くにいて全体を見渡していたのでしょう。雷は雲より上空の方にも放電する事がありますからね…あ、ほら遅れて滅茶苦茶大きのが1体落ちてきました。』

(あ、ホントだ)

「あ、あれは!!古竜!!さっきの雷に当たったのか!!!」
グレンさんも古竜が堕ちてくるのを見つけ驚いている。

どれくらいの大きさだろうか、かなり大きな竜が空から堕ちてくる。
大きな翼を持ち、大きな牙。大きな爪。
全ての竜の良いところを取ってきたかのような偉大な竜が黒い煙をモクモクと出しながら白目を向いて落ちる。

「グレンさん、どうしましょうか、逃げないと僕ら堕ちてくる竜に潰されますが」

「私の速さではもはや逃げられない…ここまでか…死ぬのが君と一緒で良かったよ…ただ…結婚したかったなぁ…」
人生の終わりに少々、涙を流して人生を振り返っているかなのようなグレンさん。

「あ、逃げて良いんですね、じゃあグレンさん。死ぬ前にお姫様抱っこしてあげますよ…」

「い、良いのか…?」

「時間無いですよ…?」

「わ、分かった、頼む!!」

俺はグレンさんをお姫様抱っこした。
すると、グレンさんは俺に抱き着いてきた。
うーん、体格差的にお姫様抱っこをしている俺達のシルエットはとてもアンバランスなんだけど、悪い気はしないなぁ。
にしても、グレンさん、貧乳…
まぁ、貧乳こそ正義とも言うし、これも有りなのだろうなぁ。

「神速」

ぴゅん!

ずごおおおおおおおおおおおおん!!!!!

ぴぎゃぁぁぁぁあ!!!

物凄い地響きとともに、竜の苦しそうな叫びが空気を震わせる。
俺達がいた場所に仇を取ろうとやって来た竜達であったため、知らぬ間に古竜に潰される範囲内に入っていたのだろう。
そして、気がついた時には仇の俺達は居なくなっていて…あぁ、無念。

そして、俺達は……

「私は結婚……したかった……よ……」
グレンさんは泣いて死を覚悟したかの様な顔をしている。

「あの…そろそろ降ろしてもいいですか?もう、助かりましたし…」

「ありがとう……お母さん、ありがとう……お父さん、良い人生だった……」

うーん、死を覚悟してると周りの事がきっと頭に入らなくなるんだろうなぁ。
そして、俺はお姫様抱っこしていた腕を解いて、グレンさんを地面に落とした。

どすん。

「ああああああああ!!……………。」

プラシーボ効果だろうか、まるで死が訪れたかのように、グレンさんは叫ぶ事を途中でやめた。
うん、気絶してるけど生きてるから大丈夫だ。

そして、俺は、グレンさんをおんぶして、落ちて来た古竜の所へと駆け寄っていった。




現場は思っていた以上にグロかった。
まず、古竜からは電気メスで焼かれたようななんとも言えない嫌な匂いが漂っている。
そして、その下敷きになった竜達は内蔵や、脳味噌、眼球が飛び出ていたりと、とても良い死に方とは言い難い物であった。
折角、首だけを斬って体を綺麗に残しておいた土竜達も同じ状況。
戦った記念として、まともに持ち帰れそうなのは古竜だけであった。

「にしても、これで全部死んだのかなぁ。」

検索魔法を集中して超広範囲にかけると1体だけ遠くにとても小さな反応があった。

『行ってみましょう』

「うん、神速っ」

ぴゅん!




反応が近くなってきた。
そして、そこは巣穴ようになっている。
恐らく竜がいた場所なのだろう。
俺はどんどん反応に近づいていくと、

ピーッ!ピッー!

小鳥のように泣く小さな白い竜を見つけた。

「古竜が大きさを変えてるだけじゃ………ないやな」

『はい、恐らく白竜の子供かと……』

「白竜ちゃんねぇ……」

『殺すのはやはり、気が引けますよね……契約魔法ならその竜を操れるようになりますし、育てる事も可能ですが……』

「そうしようかなぁ……これがいつの日か人を殺すようになるとは思いたくない程、可愛いわ」

『ですね。では始めましょう』

「うん」

契約魔法とは奴隷にするのと同じ意味を持つ魔法だが、使えるのは魔獣だけである魔法だ。
契約内容は主に従う事。
契約に反すれば、苦痛を味わう事になる。
と言っても、それは契約者が決める事である。
俺はそんな事はしない。
契約に反してもペナルティーは無い事にした。
理由は特にない。
俺の気分的な問題だ。

「契約魔法。契約。名前は白竜。契約内容は主に従う事。ペナルティーは無し。召喚魔法によって呼び出し、また引っ込める。契約終わり。」

白竜が白く光って、白竜の背中に『白竜』という文字が刻まれた。

相変わらず、ピーピー鳴いているが、嫌がっていない様にも見える。
いや、まだ、そこまでの知能はないか……。

「召喚魔法、解除。」

すると白竜の真下に魔法陣が描かれ、白竜は消えた。


こうして、レインは白竜の主となった。


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