男女比が異常な異世界で最強になった俺は前世の夢を追い続ける

音感あっきー

2章。他人に向ける力。三姉妹のアイドル。

『レイン様!!大きな魔獣です!!2体います!!』

「どこ!?」

『あ……今、アールさん達が…やられました』

「え……」

俺は検索魔法をかけた。
ブラッドウルフはもう、いなかった。
そして、中々の速度でコッチに近づいてくる2つの反応。

『これは…Aクラスの地竜ですね、素早さが高い竜型魔獣です。竜型魔獣には一貫して知能があります。魔法も人間と同じように使えます。恐らく、結界は地竜によるものでしょう。早く倒して回復しに行きましょう。』

「……………。」

俺は今、怒っている。
自分に対してだ。

何かあったら魔力を全部使ってでも守ります。

俺は不安そうなエールさんにそう言った。


なにも、守れていない。


情けない。

情けない情けない情けない。




『レイン様にとっての守る…とは何ですか?』


守る。
命を救う事。


『では、冒険者の仕事は何ですか?』

依頼を通して人を助けたり、守ったりすること。


『レイン様。一つ違う事があります。『命を賭けて』助けたり守ったりするのが冒険者の仕事です。ブラッドウルフが討伐された今、レイン様のすべき事は何ですか?命を賭けて戦っていた人達を守れなかった事に対して自分を責める事ですか?』


「……命を賭けて戦った人達を命を賭けて守る事」


『地竜はレイン様にとっては大した敵ではありません。一瞬で終わらせましょう。その後は強制回復を使いましょう。』


「うん」


軽自動車くらいの大きさだろうか。
2体の地竜の足には血が付いている。
見るだけで目の前が真赤になる。


2体の地竜は同時に叫びながら突っ込んでくる。

「神速…」

ぱぁぁぁぁぁぁん!!!!!

地竜のお腹に平手が入る。

内臓破裂を起こした地竜はヨロヨロと何が起きたかわからない様子で走り続け、やがて、バランスを崩し倒れた。

その後、神速と瞬足を使い分けアールさん、ウールさん、エールさんを一つの場所に集めた。
皆、酷い怪我だ。
即死でないだけ助かっている。

「神ちゃん、巻物を」

『はい。』

すとん。

大きな巻物を広げると、中には血で描かれた魔法陣が書いてある。
これは、緊急時に魔法陣を書く時間を省くための物である。

陣内に入って魔力を伝える。

『強制回復を施します。アール様、ウール様、エール様が対象。強制回復発動。』

皆が白い光に覆われる。

『20分程で完治します。』

「わかった。ありがとう」

『悩んでいますか?』

「うん、まぁ。」

『レイン様は転生する時に神様の言っていた言葉を覚えていますか?』

「うん。まぁ、それなりには。」

『神様はレイン様の夢は叶えるにはかなりの力が必要と言っておられました。まだ、力が足り無いと言う事です。』

「俺自身…に対する力の事じゃないよな…」

『はい、他人に向ける力が足りません。』

「そっか…どうしたらいいと思う?」

『他人に向ける力は他人と共にある事で身につけられるものだと思います。恐らくですが、今回、この作戦に参加していたのがレイン様の姉、サン様だった場合、レイン様は即時に異変に気が付いていたと思います。』

「えーっと…何で…?」

『レイン様にとって大切な人だからです。私は知っています。5歳の時のスノウ様とサン様の誘拐事件の後から、レイン様がスノウ様、サン様、クラウド様と一緒にいる時は常に無意識で低レベルの検索魔法を発動している事を。』

「そうなのか?」

『はい、やはり意図的ではなかっのですね』

「知らなかった…」

『その気持ちを初対面の他人にも向ける事が出来るなら今回のような事が起こるのは最後になるでしょう。少なくとも、救える範囲内にレイン様がいる場合ですけどね。』

「…わかった。頑張るよ。いつもありがとう、神ちゃん」

『いえいえ、私はいつでもレイン様の力になります』




ここはギルド前。
一先ず、平原の後片付けをしたあと、強制回復後も気を失っていた3人と、結界に閉じ込められいた人達を連れて戻ってきたのだ。
皆、気を失っているため、俺が乗ってきた馬車を操縦して帰ってきた。

がちゃ。

からんからん

ぎろっ

「アエンさん、ちょっと手伝って下さい」

「え、あ、おう」
俺の真剣な顔を恐らく初めて見たであろうアエンさんは何かを察してくれたらしい。

こうして、二人で合計13人をギルド内へ運び、事情を話していた。


「地竜が、人間を閉じ込めていた……アイツらにも人間並みの知能がある、何か訳あっての事なのかもしれない。例えば、アンダンテ平原が奴らの縄張りだったりな。閉じ込められてた奴等は、皆、冒険者だ。それもBランクのな。依頼履歴には地竜の討伐が依頼されていた。返り討ちにされたんだろうな。そして、地竜は腹いせに、血を流したまま結界に閉じ込めてブラッドウルフを寄せ付け、新たにブラッドウルフ討伐の依頼でやってきた人間をまた返り討ちにするつもりだったのかもな。もしかしたらアンダンテ平原にまだ、竜が残ってるかもしれない。暫くは立ち入り禁止区域に申請しておいて、誰か冒険者に指名依頼を出しておくよ」

「これってよくある事なんですか?」

「まぁまぁだな。竜型魔獣は知能を持つから人間みたいに集団生活をする。国に軍が侵略するものなら追い返すだろ?きっと、それと似た感覚なんだよ。」

「どうにかならないんですかね…」

「ならない。竜型魔獣も他の魔獣みたいに、平気で人間を見つけ次第、殺して食べようとする。知能があるだけで最終的な目的は人間を殺す事に収束してるんだよ」

「あの…その指名依頼とやらを僕に任せる事ってできませんかね」

「ははは、まぁ、そのつもりだったよ。今から、お前と一緒にギルドマスターに会いに行って、そうだなぁ取り敢えず、規則的には可能であるGランクからCランクへの移行を申込んでみよう、お前の実力は俺がある程度は理解しているつもりだ。ギルドマスターも多分、分かってくれる。」

「え、ギルドマスターってギルドに居るもんじゃないんですか?」

「あぁ、他の領のギルドマスターはギルドにいるけど、生憎、ここのギルドマスターは国に努めてる事になっててな、王城にいつもいるんだ」

「お、王城…ですか…」

「なんだ?緊張してんのか?言っとくがアンダンテ領の王様は男の割にユニークで優しいって有名なんだよ、そんな緊張する事無い、それにギルドマスターは女だ」

「は、はぁ。分かりました。」

「地竜もギルドマスターに見せると良い……レイン、俺も見たいなぁ」

「あ、見ます?今回も綺麗ですよ」

「いつも、思うんだが、どうやって倒してるんだ?」

「まぁ、場合によりますが、殴って内臓を破裂させて倒してます。だから傷が付くのは内部だけですね」

「あぁ、よく分かんね」


ドスンドスン。

収納魔法から出てきた、軽自動車くらいの恐竜みたいな、地竜。

「あぁ、こりゃ綺麗だな」
もはや、驚かなくなってしまったアエン。
常識の麻痺が進行している。

「ですね、飾りにできそうです」


こうして、地竜を見せた後、王城へと向かう事になったレインとアエンであった。




「おーい、護衛の騎士様、アエンだ。グレンさんに会わせてくれ」

おーい、って軽っ。
もっと王城ってキビキビしてると思ったんだがな。
グレンさんとはギルドマスターの事だ。
なんでも、Sランク冒険者をしながらギルドマスターもやっているらしい。

「横にいるのは誰ですか?まあ…良いか、いいですよ、入って下さい」

……何だこの甘々警備。

「おー、ありがとな」


王城。
アンダンテ国王ルージュがいて、女王様もいて。
当然、娘の第一から第三王女もいる。
残念な事に王子様は生まれていないらしい。
まぁ、王族には相当な事が無いと会えないと思うし、そういう点ではなんの緊張もしてないんだけど。
ただ、この王城に住んでいるのだ。
何か無礼な事があれば……

拷問打首……………同好会も作っちゃう?

考えるだけで背筋がゾクッとする。


「あれ?レイン君?」
後ろから声がする。

あれあれあれ、さっき俺が思ってた事は何?
王族には滅多に会えないって?
うーん、俺の予想がこうも簡単にぶっ壊されちゃう?
まぁ、でも、学園でも会うからな、一人くらい王族と会っても可笑しくないか。

「この声は…ルーラ……」
俺はそう言いながら後ろを振り向いた。

うーん、予想が完全崩壊しちゃった気がするなぁ。

3人同じ顔の人がいるよ……
誰が誰だか分からない…
違うのは身長くらい?
皆、ピンクのシャビシャビ絵の具を塗ったような透き通った髪色で、可愛らしい。

ドッペルゲンガー……いや、どう考えても、3人は…第一から第三王女だ。

「ええっと……どの人が…ルーラ…?」
俺は頭をポリポリとかきながら、聞く。

すると、

「お前もまだまだだな。右からニ、一、三、の順だ。」

アエンさん?
あなたは、王女様ファンか何かですか?
しかも、王女様を数字扱い。
うーん、アエンさん、あなたも数字扱いされてみます?

「原子番号30さん、何で分かるんです?」

「げんしばんごーさんじゅーさん?何だそれ」

「アエンさんの別名です」

「長ったらしいな、もっと格好良くしてくれよ」

「Znとかどうです?」

「ぜっと…えぬ…かっこいいな!!!」

「…………。」

何か、ノリが良いのか、優しいのか分からないけど、罪悪感湧いてきたな。

「えーっと、レイン君は何をしに…?」

「えーっと、右からニ、一、三だから一番左……あぁ、ルーラだ。ギルドマスターとお話に来たんだ」

「私も行っていいですか?」
「え、私もいいですか?」
「じゃあ、私も良いですか?」

なんか聞いた事のあるノリだなぁ。

「あの、アエ…Znさん、第一と第二のお名前を教えてくれませんか…?」

「お前!そんな事も知らないのか!?ファン失格だな!!」

あ、やっぱり、ファンとかあったんだ。

「一はラーラ。ニにローラ。三はルーラで四は俺!!っていうコールがあるんだよ。」

「……………いつ使うんですか…。」

「3人揃った時」

この王国、末期じゃない?大丈夫?

「あ、で、アエ…Znさん、その、王女三姉妹が来たいと言ってるんだけど、良いの?」

「構わん。俺の好きなアイドルだから許す」

アイドルって概念、あるんだ…。

「あ、じゃあ。えーっと、ルーラと同じ学園のレインです、ラーラさん、ローラさん、よろしくお願いします」

「ええ、よろしく、ラーラって呼んでね」
「よろしくね?ローラで良いわ」

どちらも同じ顔でニコッと笑う。
単細胞生物なんじゃないかってくらい、同じだわ。




こんこんっ

「グレンさん、アエンです、お話があります」

「何だ?入れ入れー」
声が聞こえた。恐らくグレンさんの声だ。

がちゃ


ゾロゾロゾロゾロ


「何だこんなに大勢で……」

まぁ、そりゃ引くわな。
マッチョZnと10歳の男の子。同じ顔が3つ。

「初めは俺とコイツの二人の予定だったんだけどな、推しメン三人組が行きたいって言ったから連れてきた。」

「あぁ、そう…」

グレンさんは俺をジーッと見ている。
燃えるような赤い髪。
イタズラ好きそうな顔付き。
何かあったら燃やして解決!って感じの雰囲気だ。

「可愛いな…結婚したい…」
ポツリと呟くグレンさん。

「あはは、新入りのGランク冒険者レインと申します。よろしくお願いしますグレンさん」

するとグレンはカッと目を見開いて…
「おい!アエン!!お前たまにはやるじゃないか!!こんなイケメンで可愛くて礼儀正しい男の子が冒険者になるなんて!!」

「え、レイン君、冒険者になったの?」
「そうなんですの?」
「そうなの?」

誰が話してるか分からない。
あ、名札!!

イメージ。
魔法で俺にだけ分かるように、頭の真上に名前が出るように…

「ラーラは返事して!」

「はい」

「ローラは返事して!」

「はい」

「ルーラは返事して!」

「はい」

(よし、名札魔法)

しゅん

三姉妹の頭の上に蛍光色の文字が浮かび上がり、名前を示した。

「おっけー、ありがとう」

「で、何で冒険者になったのですか?」
今、ルーラが喋っている。


「お金を稼ぐのと人助けのため?」


「人助けなんて素晴らしいですわ」
ラーラが喋っている。

あぁ、分かりやすくなった。



「まぁそんな事より、報告があるんですよ」
アエンが仕切り直した。

「ほう、何だ?」

「まず、1つ目がこのレインをGランクからCランクに上げて欲しい。2つ目がアンダンテ平原の立ち入り禁止だ。」

「うん、詳しく聞かせてもらうか」

「はい、まずはレインですね。コイツは5年前から魔獣を狩って売ってを繰り返していた奴で腕は確かです。あー、アイアントカゲと地竜を無傷で倒すくらいには実力があります。あと、人格は良すぎですね。文句の付けようがない。あ、ただ少し礼儀知らずだな。」


少し場が固まる。
特に三姉妹。


「ほう、それは本当か?レイン君」
グレンが見定めるような目で俺を見る。
心の中を見透かされているようだ。

「はい、まぁ目撃者がいないっていうのが何とも信憑性が無いんですけど…」

「今、地竜を見せれば良い」

「え、床、抜けませんか?」

「大丈夫だ、床は魔法で固定されてる」
グレンさんが早く出せと言う感じに促す。

「え、あ、はい」

(神ちゃん頼む)

『了解』

ドスンドスン。

「収納魔法……しかも地竜2体が入り切るのか…」

「「「………………。」」」

三姉妹は驚きで黙ったまま。

「この地竜、傷がないようだが」

「いや、だからさっき言ったじゃないですか、無傷でアイアントカゲと地竜を倒すくらいには実力があるって」
アエンが促す。

「え、無傷というのは自分がという意味ではないのか?」
グレンはキョトンとした感じだ。

「あー。ある意味どっちもだな。両方共、無傷だ。」
アエンは言う。

「無傷でどう倒すというのだ?」

「何でも、内臓を破裂させたって言ってましたが」
アエンが俺の方を見る。

(神ちゃん、転移させた?)

『いや、こういう事になると思って、していません』

(流石。)

「えっと、お腹を切ってみたら分かると思います。多分、地竜のお腹がプックリ膨れてるのは体液とか血が溜まってるからだと思います…」

「「「…………。」」」

まだ、驚いている。

「そ、そうか。まぁ、言われてみるとそんな気もするな。この膨れ上がり方は。うん、取り敢えずCランクに認定だ。後でアエンにギルドカードを新しくしてもらえ。」

「はい。ありがとうございます」


「えーっと、2つ目のアンダンテ平原の方は何なんだ?」
グレンは次の話へと進む。

「はい、以前、地竜討伐の依頼でBランクの奴らがアンダンテ平原に向ったんだが、返り討ちにされて、結界に血を流したまま閉じ込められたんだ。それで、ブラッドウルフが集まって来て、レインと『夢の欠片』でブラッドウルフ討伐としての依頼に取り組んだ所、『夢の欠片』が地竜にやられ、そして、レインが倒して、今に至る。そんな感じだ。恐らく、アンダンテ平原に竜型魔獣の縄張りがあると思われる。だから、立ち入り禁止にして、その間に指名依頼を出して討伐してもらう。」
アエンが説明する。

「そんな事があったのか…分かった。指名依頼は誰にするつもりだ?」
グレンは少しニヤリとしている。

「レインにしようかと」
アエンはグレンの期待に応えるように答えた。

「「「……………。」」」

いつまで驚いてんねん。

「分かった。私も付いて行って良いだろうか?」
グレンが言う。


正直、誰もいない方が良いんだけど……断れる筈ないか…Sクラスの人と一緒に戦えるのは光栄な事なんだろう。
それに、他人と一緒にいる事も大切だ。

『ですね!』


「僕は構いません。」

「やったあああ!!」
キャラ崩壊グレン参上。


「「「………。」」」


………三姉妹よ、もう言わないぞ。

「じゃあ、明日行こう。」

「はい、そうしましょう」


「ま、待って!レイン君、明日の授業は?」
ルーラが遂に喋る。

「うーん、Gクラスって何やるんだろ」

「え!?レイン!お前!Gクラスなのか!?」

アエン煽る。

「あはは、試験に遅れちゃって…」

「お前、頭も良いし、強いし、俺に何の報告もしないから、Sクラスなんて当たり前だろ?って思わせといて、Gクラスか。何か、お前の欠点が見れた気がして少し嬉しいな」

うーん、アエン、イラッとくるなぁ。

「Gクラスは魔法の詠唱から習う。発音とかな」
グレンが教えてくれる。

「クソ授業じゃないですか」

「あぁ、クソ授業だ、受けるか?」

「受けません」

「でも成績が!!」
ルーラが心配そうに言う。

「あー。成績は落としたくないもんなぁ。あ、いい事考えた」

「「「「「「???」」」」」」

「コピー。そして。複製。レイン。分身魔法。」

ぶぉん!

レインがレインの体から出てきた。

「「「「「「!!!!!!」」」」」」

「コイツを、学校に行かせましょう。頼むぞ?」

「リョーカイ。」


三姉妹に負けず劣らずの双子レインの完成の瞬間であった。

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