男女比が異常な異世界で最強になった俺は前世の夢を追い続ける

音感あっきー

2章。騎士たる者が願った救世主。

ヘレンSide

まぁ、レイン様なら心配ないのかもな。
一度もレイン様と決闘をしたりした事はない。
だが、冒険者ギルドのアエンによると、毎週、大量の魔獣を売りに来るらしい。
さっきのレイン様が盗賊を倒した時も、意味の分からないことがいくつかあった。
まず、何故あの高さまで飛べる。
意味が分からない。
雲が移動した。
意味が分からない。
水が一滴だけ出た。
意味が分からない。
ピンポイントで盗賊に水があたった。
意味が分からない。
あたった瞬間、盗賊が倒れた。
意味が分からない。
空中を走っていた。
意味が分からない。
いや、もはや全て意味が分からない。

よく分からないが強いのは分かる、だからあの場を任せた。

そして、挟み撃ちに気をつけろ。

先程はレイン様がいたから良かったがいなければ、騎士団のいなかった方は確実に殺られていた。
気をつけなければならない。
王女様も貴族もいらっしゃる。
何とかして学園まで無事に連れてゆかなければな…。


ん?受験者の行列か…?


「な!?」


何だあの量は!!
何人いるだろうか。
100人はいる。
その横には一人一体ずつAクラスのキングクラブがいる。
キングクラブはキングザリガニーよりも硬いことで知られている。
所謂、魔獣の盾だ。
その上、狂暴だ。
キングザリガニーでも刃を通すのがやっとなのに、これはマズい。
いくら騎士団がいると言っても王女様の護衛騎士団は20人程。
私も含めて21人だ。
流石に、マズい。マズすぎる。
というか、無理だ。
キングクラブがいる時点で勝てない。
この人数、狙いは王女様や貴族。
誘拐して、売るつもりだな。
許せん。
レイン様が来てもこの状況を凌げるかは分からない。
ただ、時間稼ぎが必要だ。

「この数だ、時間稼ぎが必要だ!援軍が来るまで持ちこたえるぞ!何としても守れ!!!」




下手に攻撃をするべきではない。
そして、挟み撃ちに警戒。
「行列の後ろに騎士を5人配置。敵が来たら伝えて欲しい。この状況で挟み撃ちをされると、全てが終わる。そして、このヘレン・ハルバード!命に変えてでも援軍が来るまで、ここを死守する!いくぞ!!」

「「「「おおーーっ!!!!」」」」

騎士団の叫びと共に守備戦が始まった。



くそっ!流石に数が多すぎる…。
相手が余り攻撃を仕掛けてこないから助かっているものの、魔法や矢が飛んでくる。
受験者を守りきれるのか…。
今は騎士団で守りの結界を受験者や王女様に張っているが、壊れるのも時間の問題だ。
それに、盗賊の癖に騎士のような戦略的な戦い方を…。

前にキングクラブ。絶対の盾役。
中に盗賊。弓や遠距離魔法で攻撃。
後にキングクラブ。絶対の盾役。

キングクラブを倒さないと、盗賊に攻撃を与えられない。
しかし、数が多過ぎる。
Cクラスのハンターが5人で袋叩きにしてやっと勝てる相手が沢山いるのだ。
とても苦しい。

そして、遠くで声がする。
終わりのカウントダウンが始まった。
「挟み撃ちです!盗賊が来ました!!敵数はそちらと同じくらいかと!!」

「キングクラブはいるか!?」

「はい!キングクラブもいます!!」

くそ、こうなったら相手も好戦的になるだろう。

だが、諦めない。

諦めることは我が騎士道に反する。

レイン様が来られるまで!

何としてでも!!!




「やってしまええ!!!」

「「「おおお!!!」」」

ついに、盗賊が動き出した。

「結界を一度張り直せ!」

「「「はい!!」」」

「「「我が思いよ、形を示し、守り給え!結界魔法!!」」」

四角い結界が長い受験者の列を取り囲む。

「キングクラブが来たぞ!!!」

「やるしかない!」
私は騎士だ。
逃げてはならない。
死ぬ覚悟はできた!!!!

くらえ!!

「我が覚悟を剣に伝え、大きく、奮い立てよ!!振動魔法!」

がきききっきっ!!

キングクラブの殻を割りながら激しく斬撃が入るが、勢いが止まってしまう。

「やはり、岩を斬るのと同じだな…振動魔法でもここまで入れば上出来だ。そして剣が駄目なら魔法だ!」

「炎よ!我が敵を燃やし尽くせ!火炎魔法!バーニング!!!」

キングクラブに入り込んだ剣先から紅く大きな光が漏れ、一気に火が燃え上がる。

「内側から燃やし尽くしてやる!!」

ぐがががが

キングクラブが痛みに悶え、泡を吹きながら暴れる。

「くそ!泡を…!くっ!!」

キングクラブの吐く泡には麻痺効果がある。
暫くすると回復するが、全身の神経が少しの間狂う。

「…負けん!コイツだけでも……!」

「炎よ…弾けて全てを……破壊せよ。火炎魔法……エクス…プロージョン!」

どかぁぁぁぁん!!

「…よし、取り敢えず、一体…。」

「光よ…我が異常を正せ……回復魔法」

光に包まれる。
すると、全身の痺れが次第に治まっていく。

くそ、一体でこれだ。

時間もかかる。もうそろそろ…

「結界に到達されました!!!」

がつん!!がつん!!!

キングクラブが鋏を結界に叩きつけている。

「ほ、他の騎士はどうした!!」

「殆ど、やられています!!!」

「くそ!流石に数が足りない!レイン様!速く来てくれないか!!」




レインSide

『レイン様、かなりの数の魔獣です。』

「これさ、テロレベルじゃない?」

『ですね、さっと見て100体はいますね。どうしますか?早くヘレン様達に追い付くべきだと思いますが。』

「それはそうだが、これは見過ごせない。コッチにも襲われてる人がいるんだ。すぐに片付ける!」

『その言葉を待ってました!!』

「ただ、全部豆腐っていうのは腹が立つな、力士十人分刀を使おう」

ヘレン様を追いかける途中で、魔獣の群れに襲われていた住民。
受験者はどうやら、ヘレン様の組に殆ど組み込まれているらしい。

「やってやろうじゃないか、全部さらりと切れろよ?豆腐ちゃん!!」

「軽めに頼む、神速!」

『軽めですね!分かりました!』

ぴゅゅん!

被害者を皆取り敢えず、魔獣から離す事を考えた。

次々と倒れていたり、襲われていたり、死んでいるかもしれない人を含めて、建物の屋根へと運ぶ。

二秒で一人助けるペースだ。

ぴゅゅん!
ぴゅゅん!
ぴゅゅん!
ぴゅゅん!

行ったり来たりを続ける。
そして、最後の一人が完了。

「検索魔法、記憶収集、襲われていた人間、もしくは死んだ人間。……よし、全員避難できたな」

「お前ら!くらえ!斬撃破!!えいや!そいや!」

横に振った剣から、三日月形の斬撃が次々と出ていく。

斬撃が当たると「さらっ」という音をたてて声を出すこともなく、真っ二つにされていく。

「はぁはぁ。よし、100体終わった。」

『レイン様。ヘレン様達はまだ耐えています。もう一箇所、ここと同じ状況の場所があります。そちらを先に行きましょう!』

「あぁ、わかった。」

「すみませーん、避難している方で怪我した人がいると思います。取り敢えず、重症な人は先に治療します。軽症の方は後で治療しに来ます!他にもここと同じ状況の場所があるのでご理解をお願いします!」

「ヒール!」
「ヒール!」
「ヒール!」
「ハイヒール!」
「ヒール!」

暫く、致命傷にならない程度に回復させた所で次へ行く事にした。
重症者は多かったが、幸い死人はいなかった。



「はぁはぁはぁ。疲れる。流石に。久しぶりに疲れてる気がする。」

『あ、強制回復かけ忘れてました。それが原因です』

「久し振りに人間って感じがする、でも強制回復、頼んだ。人間らしさを求めてる場合じゃない。」

2つ目の現場を鎮圧してレインは久し振りに疲れていた。
そして、ヘレンの元へと向かう。

『少し、ゆっくりし過ぎたかもしれません。普通の神速を使ってヘレン様を助けましょう。かなりの数ですが、恐らく結界を張っているのでしょう。今にも壊れそうですが、間に合います。』

「了解!神速!!」

ぴゅん!!



ヘレンSide

もう駄目だ。
結界が壊れる。
私も麻痺で動けない。
他の騎士も同じようだ。
結界の中では人が叫んでいる。
くそ。私は騎士だ。
民を助けられなくてどうする。
レイン様、早く……

ぴゅん!

ん?何だこの風圧は…体が飛ばされるっ

ぴゅん!
ぴゅん!
ぴゅん!
ぴゅん!
ぴゅん!

「重力。今触れた物にさらなる負荷。重力をそいつらに集中。重力魔法!」


「「「ぐしゃ!!!」」」


「ふーーー、危ない危ない。こんなにいるとは思わなかったわ、多分、斬撃じゃ間に合わなかったな」

私は目を開いた。
何が何だか良くわからなかった。
さっきまでいたキングクラブが全てバキバキに殻がわれて、グロテスクに潰された感じになっている。

「れ、レイン様!」

「ごめんなさい!別の場所も魔獣が沢山いてさ、遅れちゃいました。自分が言うのも何ですが、よく守りきってくれました。」



少し前に遡る。

レインSide

「えっ!やば!何あの量!!それに結界ボロボロだし、ヘレン様、倒れてる!他の騎士さんも!」

『一気に決めないとマズイです、神速で魔獣に触れてレイン様の魔力をくっつけた後に重力魔法で押しつぶしましょう!運良く、魔獣は結界の周りに一体ずつ密着して群がってるので一体触れば結界の周りの魔獣すべてはレイン様の影響下になります。後は盗賊の後ろにいる、魔獣です。一体ずつ触れてください!』

「了解!神速!」



そして、キングクラブを潰した今に至る。

「取り敢えず、あの盗賊をぶっ倒しますね。」

「頼んだ…レイン様。」

「よし、素手で行くか」

「す、素手?大丈夫なのか、レイン様」

「あはは、大丈夫ですよ、ちゃんと生かしますから」

「いや、そういう意味ではなく……」

「いきます…神速!」

ぴゅん!

ぱししししししししししん!!!!

ドサドサドサドサドサ…

「よぉーし!前の盗賊のビンタ終わったぁ!!次は、後だな!」

ぴゅん!

ぱしししししししししししん!!!

ドサドサドサドサドサ…

「よし、解決、騎士さんを回復させますね」

「な、何なんだ、これは……何も見えなかった…」

「光れ、傷を癒やし給え、ヒール!」

倒れている全ての騎士に光が宿る。

「い、一気に全員を…回復させてる…のか?」

「ん?あ、はい、取り敢えず、お疲れ様でした。盗賊全員に拘束魔法をかけるので、王女様達を学園に連れて行ったら、捕獲して牢獄にばーん!ってしちゃって下さい」

「わ、分かった。レイン様はどうするのだ?」

「あー、僕は他の所で魔獣に襲われて怪我した人を置きっぱなしにしてしまったので、そちらの方を回復しに行こうかと。まぁ、多分、試験には間に合いますから。」

「了解した。民を助けてくれてありがとう。」

「いえいえ!これは俺の夢ですから!それより、試験前にこんなの見たら集中出来ないと思うので、えーっと、魔獣関係の殻以外を綺麗さっぱり!清掃魔法!」

キングクラブの殻だけが残り、内蔵などは綺麗に消えてしまった。

「あーとは、皆に魔法かけるねー、感情を落ち着かせ、冷静に、気分の悪さを解消、緊張をある程度和らげる、リラックス!」

受験者が光に包まれる。
改めて確認すると、女の子が多いな。
皆の顔に笑顔やホッとした顔が浮かぶ。
顔が少し紅くなっている人が殆どだが…そういう事だよな。
あ、王女様がこっちを見てニコッと笑った。
わお、可愛らしい。
俺は軽く会釈しておいた。

よし、残してきた人を回復させてこよう。

「ヘレン様。そろそろ行ったほうが良いかと…試験の時間が」

「え、あ、そうだな、すまない、レイン様。ありがとうございます」

「いえいえ、気にしないでくださいっ、では」

「瞬足!」

ひゅん!

「は、速いな…」
ヘレンはレインの規格外さに驚きを隠せなかった。







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