男女比が異常な異世界で最強になった俺は前世の夢を追い続ける

音感あっきー

2章。あれ?入学試験とセンター試験って何か問題が起きて当然の物なの…?

「こんにちはー」

「おや、坊主か。今日も護衛よろしく頼むぞ?」

「了解しましたー」

カンポーヤクは5年経った今でも、安定して作れるのがウェザー村だけである。
一部の地域ではカンポーヤクを真似しようとした故に角クマが全滅に追い込まれた地域もあり、国から角クマの狩りの停止が言い渡された。
ただし、狩りの禁止というだけで角クマと戯れる事が駄目なわけではない。
角クマの角だけを折って角クマ自体は生きさせる。
この行動は認められた。
生憎、そんな器用な事ができるのは一部の人間のようなヒトのみだ。
そして、その人間のようなヒトがいるのがウェザー村だ。
カンポーヤクが人気になってから山を下るまでの間に今まではいなかった盗賊が出没するようになった。
勿論、狙いはカンポーヤク。
毎回、護衛を勤めているのが人間のようなヒトであるため、一度も盗賊にカンポーヤクを奪われた事はない。
盗賊の中では鬼の護衛とも言われていたりする。
更に、盗賊一人一人を殺すのではなく、生け捕りにし、奴隷商に売り渡し、お金を稼ぐ。
盗賊スレイヤーとも言われていたりする。
ただそんな事は盗賊の間でしか広まっていない。
周りの人間は信じないからだ。
そう、たった十歳の男の子にそんな事ができるとは思ってもいないからである。
そして、その男の子は今日から王都で暮らす。
すると、いない間にウェザー村を狙う輩がいる。
それをするのは一部の新入りの盗賊。
知らないからだ。
盗賊スレイヤーが村にいない時はないのだから。
護衛するために村を出たかと思いきや、何故か村にいる。
そして、案の定、生け捕りにされる。
ドッペルゲンガーの男とも言われている。


「じゃあ、これから先、僕がいなくなると村が何となく心配なので、分身を一家に一人置いていきますね。健康状態は本物の僕に同期されます。食事は必要ありません。」
この一家に一台。全自動卵割り機的な頼もしさを持つ分身。
ドッペルゲンガーの正体はこれ。
分身魔法だ。
使える人は少ない。


そう、今まで述べてきた人物。
そんな事が出来るのはただ一人。
魔法が使えないダメ男クラウドの息子。
レインだ!
父を出汁にする息子。
恐るべし!


「明日から学園かー、楽しみだなあ」

俺は今、商人と父のクラウドと一緒に護衛をしながら王都へと馬車を進めている。
まぁ、父が護衛に役立つかと言われると、そうでもない。
体術ダメ。剣術ダメ。魔法ダメ。
うーん、顔以外ダメ男だ。
だが、そんな父でも俺をしっかりと育ててくれた。
ありがたい話だ。

「まだ入れた訳じゃないんだぞ?入学試験あるんだろ?勉強しなくて良いのか?まぁ、お前は昔から勉強ばかりしてたし、実技も優れてるから何の心配もしてないんだけどな」

「あはは、気を引き締めて、頑張るよ」
学園に入るには、入学試験で合格点を取ることが必要。
定員は無制限。
お金があり、合格点が取れれば、合格。
そして、十年間学んだ暁には近衛騎士団への入団が認められる。
姉さんの話によると、合格点は低いらしい。
となると……お金目当て?
とか思ってしまうが、十年間学ぶことで今、才能が無くても十年後に才能が開花するという事もあり得る。
そして、その学園はそれを狙っているらしい。
だから、教員のレベルは高い。
実際、騎士団には沢山の実績を持つ人がいる。
かっちょいいー!


「あ、敵です。多分、盗賊ですね。この辺の魔獣は僕から逃げるようになっちゃいましたし」

毎回毎回、護衛をしては盗賊を捕まえる。
うーん、新入りの盗賊さんは、ゴキブリホイホイを初めて見たゴキブリの様に捕れてしまう。
盗賊とゴキブリは限りなく近似できるのかもしれない。
でもゴキブリの方が優秀だ。
速い小さい気持ち悪い。
俺でも倒せない。
今世最大の強敵かもしれない。
因みに盗賊の居場所が分かった理由は検索魔法をかけているからだ。

「じゃあ、盗賊捕まえてきますね!」

「あいよ、いってら」
父、クラウドは俺に任せ切り。
まぁ、父らしくて潔い。
普通、盗賊を見かけたら馬車を停めて対抗もしくは降伏。
もしくは最大スピードで逃げる。
これが定石だが、俺達は違う。
等速運動だ。

盗賊を見つけたら瞬足で走って、気づかれ無いように魔法をかける。
「神経麻痺。魔力循環停止。拘束魔法。」
殺虫剤をかけられ悶えるゴキブリと同様の姿を盗賊がする。
盗賊を抱えて走る馬車に戻る。
ゴキブリが目の前を歩いたからといって、足を止める車があるだろうか、いや、ない。
これが馬車を動かし続ける理由だ。
単純明快。
そして、騎士に突き出し奴隷商と掛け合い、お金を稼ぐ。
ゴキブリを狩ってお金を稼ぐ。
うーん、前世ではそんな仕事はゴメンだな。


神速または転移魔法を使えば速く王都まで到着できる。
更に、収納魔法があればカンポーヤクも大量に持ち運び可能。
だが、しない。
そう、人を困らせる盗賊の取締り。
人助けだ。
事前に誰かが襲われるのを防ぐ。
予防接種みたいなもんだ。
いや。根本的には全然違うんだが。


夕方に王都に辿り着いた。
お金稼ぎの件はバッチリだ。
元からお金がないため貧乏性であり、俺の魔獣刈り。父さんのカンポーヤク。母さんと姉さんの仕事。
すぐに必要なお金は稼げた。
特にカンポーヤクがとても良い仕事をした。

そして…
今日から、俺は男子寮に入る。
初めは父さんも来る予定だったが、カンポーヤクの生産責任者が父さんであるため村に残る事になった。
母さんは俺が王都にいるならコッチにいると言い日常的に会うようになる…とは言っても女子寮は沢山あって、姉さん達の寮と俺の使う男子寮は距離が離れている。
男子寮は合計十軒。
一学年に一軒ずつだ。
女子寮はもっと沢山あるが。

そして、その男子寮の寮母は女子寮の寮母のミーシャさんの妹。
ルーシャさんと言う。
ミーシャさんと全く同じ顔だ。
髪の長さが違う。
それだけだ。
ただ、正確には大きな違いがある。
男性に対してデレデレなミーシャさん。
男性に対してツンツンなルーシャさん。
二人合わせて…ツンデレ姉妹というわけだ。

というのはミーシャさんの話を聞く限りの推測。
さぁ、実際はどうなのだろうか。


「すみませーん。明日、試験を受けたいんですけど、寮を貸していただけませんかー?」

「ふん、勝手に使えば」

「………。えーっと…ではお世話になります」

「…。」

何これ!!何これ!!何でこんなに気まずいの!?
初対面の人間に一言目からツンな奴、初めて見たよ。
いや待てよ…ミーシャさんの話ではデレは一切無い。
これが通常運転なのか。
何か勿体無い。
顔は可愛いのに。

「なによ、さっさと上がりなさい。案内するわよ」

「あ、はい」

うーん、ツンの中に親切さがあると。
カレーに隠し味に蜂蜜入れました!みたいな。
とは言ってるけど、案内するのは多分当たり前なんだよなぁ。

「ここよ、普段から掃除と食事の用意くらいはしてあげるわ、分かったら試験勉強に取り組むことね、ふん」

「………優しいんですね」
俺、仕掛ける。

「当たり前のことよ、それよりもう一度言っておくけど、試験の結果で寮のグレードが変わるから、さっさと勉強しなさい、場合によっては掃除も食事も無くなるわ。あなたの事はミーシャ姉さんから聞いているわ、姉は男に甘いけど私はそうじゃないから、用が無いなら話しかけないで」

そう言って俺から離れていった。

レイン選手やってしまったああああ、何か怒らせてしまったのだろうか、いや、初めから怒っていたのだろうか、いや、通常運転なのだろうか、取り敢えず。
やってしまったああああ!!

「成績でグレードとかあるんだなぁ。」
そう、この学園は成績でクラスと寮が分けられる。
勿論、貴族も平民も関係ない。
SクラスからGクラスまである。
S>A>B>C>D>E>F>G
の順だ。
寮もこの順に分かれ、
SからCには広い部屋。掃除と食事サービスあり。
DからFは普通の部屋。掃除と食事サービスあり。
Gは狭い部屋。掃除と食事サービスなし。

因みに姉さんはBクラスだ。
流石っ!可愛い!

どうやら、この部屋はSクラスの物らしい。
ミーシャさんの差金だろうか。



「食事ができたわ、さっさと食べなさい」

「ありがとうございます」
俺は食堂へ向かった。

食堂には沢山の人がいた。
明日の試験を受ける人だ。
貴族から平民までいる。
こんなに沢山、男性を見たのは久しぶりだ。
何か前世を思い出す。

何かいいなぁ。うほっ。

あ、そういう趣味は無いよ?

誰とも話すことなく食事をする。
オーク肉の焼き肉だ。
豚肉と同じ系列の味だな。
うまみブーストかかるな。
ガツガツいける。

食器に清掃魔法をかけて、皿置き場に置く。
洗い物が一枚減れば、ルーシャさんもイライラしてるのかツンツンしてるのか知らないが、気が落ち着くだろう。

部屋に戻った俺は明日の準備をして寝ようと思った。
余裕だ。
余裕過ぎる。
テスト前はいつも楽勝でも懸命に頑張ってたなぁ。
うーん。
どうしよう。
確かに、寝るのも良い。
だが、余裕だからと言って油断するのはマズい。
座学の勉強するか……

「神ちゃん、難しめのテストをしてくれ。書くのは面倒だから、口頭で答えるよ。」

『承りましたっ!』

こうして、試験前日が終わった。



『レイン様、朝ですよ』

「…あいよ…起きる…。」

『良い天気です。試験日和ですね』

「そんな日和いらねえ」

食事をとって出発する。

よし!やってやりますか!!!

学園までの、道のりを歩く。
沢山の受験生がいて、走るとぶつかりそうだ。
超混雑。
センター試験のようだ。
あれ、フラグかな?
これ、フラグですよね?
多分、誰かが刃物を持って追いかけてくるぞー、みたいな事喋るんじゃね?
そしたらまた違う方向から…

「誰かが刃物を持って追いかけてくるわ!!逃げなさい!!はやく!!」

Ohオウ!!!!Exactlyイグザクトリー!!!!
   

「こっちの方向からもよ!逃げてー!!」

げにそれ、げにそれ!げにそれな!!!

(説明しよう、「げに」とは古語で「なるほど、本当に」という意味を持つ。つまり、「げにそれな!」とはマジそれな!を意味する)

あの時と同じだなぁ。
二度あることは三度ある。
次は何時だろうか。
いやいやいや、こんな事、考えている場合ではない。

既に人間同士が別々の方向に逃げようとして、道はゴッチャゴチャだ。
勿論、俺も巻き込まれている。
うーん。

「魔力をうすーく伸ばして伸ばして、心の中の悪意を浮かび上がらせる。その中で刃物を持っているやつをピックアップ。検索魔法!」

おぉ!沢山いる!
でも、分かった!
こいつら盗賊だ!抵抗しなかったらお金で終わりの奴らだな!

案の定…女性が
「金を出せ!そしたら命は狙わないわ!!」


(ゴキブリが王都に大量発生!神ちゃん、どうするー?)

『助けるのは決定事項ですが、もう騎士団が来たようです。数人、捕まえて終わりにしましょう。』

(あいよ)

「とおっ!」

取り敢えず、空高く飛んで、盗賊がどこにいるかを確認する。
相変わらず、おかしな体だな。俺は。

えーっと、合計12人…かな?
騎士団も来てるな。
うーん、馬車?
馬車の護衛に騎士団を付けてるのかな?
お偉いさんかなぁ。
面倒事は嫌いだしな。
多分、ここであの盗賊に襲われそうな馬車に目立つように助けると、可愛い貴族との出会いが…ってなるんだけど、俺は姉さんで十分だからな。
控えめにしよう。

拘束魔法を遠距離で使うから、何かに仕込ませて飛ばさないとな…
うーん、痛くない物。
雨の雫でどうだろう。
天候魔法は天候の理論をある程度知ってるからな。
多分、できるだろう。

「標的は盗賊。それぞれの頭上に一滴だけ雨を降らせる。その雨に、拘束魔法を練り込む。合成拘束魔法!」

小さな雨雲が集まってきた。
そこから一滴、魔法を包み込んだ雫が落ちる。
それは見事に盗賊全てに命中する。
結局、全員の位置がわかったから、折角なんだし、やっちゃおうという考えだ。

ぴとん。

ビリビリ!!

神経麻痺と魔力の流れを止められてゴキブリのように悶える。
うーん、

閲覧注意。盗賊がゴキブリになってみた。

ありそうな動画ランキング第134位ぐらいに入ってそうな題名だな。

ふぅ!片付いた!
後はバレないように……
あれ、足場なくね?
俺が高く飛んでる間に俺の着地する場所、人の頭しかなくなっちゃったよ。
しかも、皆、女子だよ。
いきなり、好感度下がるじゃん。

『仕方無いです、魔法で足元に空気を沢山集めて見えない足場を作り、蹴っても、霧散しないように集中してください。できたらそのまま走ってください』

「こ、こうか?ほっ!」

すげえ、空中走っちゃってるよ。
このまま、皆の注目を浴びる前に騎士団を飛び越えていこう…あ、あれ!?

すかっ!

『集中して下さいと言ったはずですが……』

「あ!落ちる!やばい!!忘れてた!!」

ひゅーーん。

どすん。

「いたたた…」

「あ、あの、助けてくれてありがとう!」

落ちた場所は馬車の目の前。
危うく轢かれる所だったぜ。
そして、馬車から降りながら中の人がお礼を言った。

こ、これって貴族の女の子とのワクワクさんも驚くような青春ライフを…いやいや、姉さえいれば俺は何でも良い。
うん、だが、仲良くなれるなら喜んで!!あはは!

「大丈夫?怪我はない?」
声をかけてきた。

「大丈夫です…。」
恥ずかしくて、前が向けない…。



手を差し伸べてきた。



こ、これ、マジか。げにげに?
ど、どうする。
手をとるか…
取るか。
うん、取っちゃえ。
幸せは増えても無駄じゃない。
そう、誰かが言ってたではないか!

俺は手を取る。
そして、立ち上がり、お礼を言いながら前を向く。

「ありが…と……う。!!?」





男かよ!男かよ!男かよ!何なんだよ!
バリバリのあまりカッコよくない男じゃねぇか!
優しいよ?優しいよ!確かに優しいよ!声も高いし!目を隠したら女の子だよ?
でも、流石に俺の夢をぶち壊し過ぎだ。

『いや、レイン様が勝手に女の子と期待していただけで』

「げに!それな!!」
つい、声を出してしまった!

「げに?何それ」
聞き返してきた。

「あーあはは、有名なポケットサイズのモンスターで亀みたいなやつで、ゲニガメってのがいるんですよ。最近、それにハマってて、あはは、げにげに!って鳴くんですよ?」

「………。うん。まぁいいや、助けてくれてありがとう。試験でしょ?馬車乗ってく?」
何だコイツ。スルーしやがったな?ゲニガメを舐めるな!

「あ、いや、遠慮しまーす」
多分、俺の顔は引き攣っている。

「貴族の誘いを蹴るとは中々だなレイン様。」
隣にいた騎士の人が話しかけてきた。

わぉ。
奇遇ですわ。
せめて、馬車に乗っている人がこの人ならば良かったものを…

「ヘレン様じゃないですか!あはは、もしかして、さっきの盗賊の見てました…?」

「見るも何も、いきなり人間が空高く舞い上がって雲を作り出して、水を落として、盗賊倒れたと思ったら、今度は空中で少し走って落ちてきたんですよ、見てないはずが無いだろ。」

「え…初めから気づいてたんですか…」

「いや、逆に気づかないと思ったのか?」

「………。普通気づきませんよ。あはは…ヘレン様、変人ですね」

「こっちのセリフだけどな」

「護衛ですか?」

「ああ。雇われてな。」

「え、雇うってこの騎士団をですか?」

「何を言っている、雇われたのは私、一人だ。」

「じゃあ、この騎士の量は…?」

「恐らく、この馬車の後ろに王女様がおられるのだ。これだけの騎士を雇うならそれしか…」

「マジか…」

(あれ、誰かがこっち来る。まさか…噂をすれば…てやつか?)

『新たな出会いが待っているかも…です』

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