最強になった俺は前世の夢を追い続ける。

音感あっきー

1章完結。特産物のカンポーヤク。野菜と肉の違い。

夜の王都は、人が少なく顔も見えないため、女性に囲まれたりする事は無かった。
ただ、俺と父さんが通り抜けた後ろを追いかけようとする輩は数人いた。
父さん曰く、誘拐対象が男限定の誘拐犯らしい。
全く理解できなかった。


「夜遅くにすみませーんレインでーす」


「はーい、ってレイン君!?早過ぎない!?」

「あはは、何か奇跡が起こって早く到着し過ぎたみたいです」

「奇跡……ねぇ。私とレイン君が巡り会えたのも……うん……奇跡……うふふ……?ん?レイン君、そちらのイケメンの人はもしてかして……?」

「あ、レインの父親やってます、クラウドと申します。妻と娘がお世話になってます」

「あっ!これはこれは!うへへ、親子揃ってイケメン……楽園ねぇ……」

「「……………。」」




前回と同様に回復魔法を済ませた後、俺はミーシャさんと調理場へ、父さんは母さんと姉さんの部屋へ、それぞれ移動をした。



レインSide

今は前世でいう、夜食が最も美味しく感じる22時だ。
そんな中、俺は調理場にミーシャさんといる。
そしてふと思う。

夜の調理場って何かエロく聞こえね?

よくあるじゃないですか、「夜の」を枕詞にするとエロく聞こえるみたいな。
それですよそれ。
ミーシャさんに、あんな事をしたり……こんな事したり………。
まぁ、そんな勇気も度胸も全く無いんだけどな。
妄想は良い。
妄想するだけなら何をしてもいいからな。
まぁ、その後の虚無感に浸るけど。

『さっきから何を長々と考えてるんですか。まぁ………何となくミーシャさんも似たような妄想をしていそうですが……』

「うへ………うへへ」
顔をニヤつかせながら、腰をクネクネさせるミーシャさん。
まるでクリオネ。
あ、別に何かの略語じゃないよ?

ミーシャさんがかれこれ3分程、クリオネになっているため妄想を断ち切るべく、角クマの薬を作る。

「あ、そうだ、ミーシャさん。角クマの薬の作り方なんですが企業秘密……ではないんですけど………今は訳あって教えられません。今度、これを村の特産物にしてお金を稼ごうと思うんですよ。」

「そうなのね。分かったわ。これなら原価がいくらかは分からないけれど、かなり、お金稼げると思うわよ?」

「ですよね。何かイケる気がします。あ、そうだ、学園寮には定期的に無料で薬を渡そうと思います。病気になりやすい年齢層が集結してますからね」

「え!?そんな事して良いの!?かなり貴重な物に感じるのだけど……」

(そうなの?神ちゃん)

『まぁ、角クマはCランクでそこそこ強いですから頻繁に市場に出回る事はありませんし、使うのは角だけです。角だけのためにわざわざ、角クマを狩りに行く人間はいません。その他の私が付け加えた成分に関しては、多分、山に一杯生えてる花や、木、薬草に含まれる物が殆どなので、角クマを理不尽に狩るレイン様とウェザー村の山があればこその薬ですね。王都では絶対に作れない物なので、そういう意味では貴重です。』

(何か人聞きが悪い言い方するなぁ…)

「王都では絶対に作れないので貴重ですが、僕のいる村は作る為の条件が整い過ぎてるため、値段は安くできると思います。それに、普通の薬よりかは効果は無いと思われるので」

「ええ!?多分ですけど、こっちの薬の方が他の薬より効くと思いますよ?今の所、この薬を飲ませた学生は皆、治っています。ですが、以前、普通の薬を国から頂いて学生に飲ませたのですが、死人が出てしまっています。そうとうこの薬、凄いと思いますよ?」

(なんですと?)

『この世界の薬は薬草をすり潰しただけの苦いものです。その薬草自体も確かに何らかの病気に効く成分が大量に含まれていますが、それが特定できていません。なので病気によってはただの草をすり潰した物と同じなんですよ。下手したら、本当に草をすり潰しただけの物もあります。』

「随分と適当な薬なんですね…」


こうして、この後レインとウェザー村で作ったカンポーヤクが馬鹿売れしたのは言うまでもない。


クラウドSide

俺はレインの父クラウドだ。
今、妻と娘の部屋にいる。
だが、何故だろう。
居心地が悪い。
まず、部屋に入った時の娘の反応。
「え、父さん。なんだレイン君じゃないんだ」
なんだって何だよ。
お前がレインの事を好いているのはよく知っているが、なんだは無いだろう。
そして妻の反応。
「あら、クラウド。魔法は使えるようになった?」
せめて、久し振りくらい言ってくれよ……。
一年も会って無いんだぞ?
他の男にでも惚れたのか?
いや、スノウに限ってそんな訳ないな…。
レインの事を俺より愛してそうだからな。
「父さん、そこの服取ってー」
「クラウド、ちょっとそこ邪魔よ」
「父さん、そこも邪魔」
「クラウド、もう部屋の隅に座ってなさい?」
何だこれ。
俺、何かしたか?
前にレインが言ってたカレーシューっていうのがするのか?
まさか、この前の誘拐奴隷事件で実は妻と娘が誘拐されていて俺への愛情を忘れてしまったのか?
あり得るな、レインの話によると、被害者は相当、痛い目にあっていたらしい。
きっと、愛する人間を忘れて新たな者に忠誠を誓えと調教されたのでは?
その可能性が高いな。
でも、妻と娘が誘拐なんてされるとは思わないんだがな。


がちゃ


「母さん、姉さん、ただいまー」


「レイン君!!レイン君レイン君♪レイン君が来た♪」
「レイン、よく来たわね。疲れてない?母さんと一緒に寝る?」

何だこれは。
二人ともレインに調教されたのか?
俺と反応が全く違うじゃないか。
野菜と高級肉を見ているような反応の違い。
何があったんだ?
少なくとも一緒に住んでいる時は、肉と高級肉くらいの差だった気がするのだが。
やはり、誘拐奴隷事件で何かあったな?
レインからは犯人が見つかったとしか聞いていない。
うーむ。
ちょっと聞いてみよう…。
「お前ら二人、実は誘拐されてたり、なんちって」
ユニークに聞くことで話しやすくする。
うん、俺の得意技。
「レイン君、私ね?テストで良い点取ったんだよ!褒めて褒めて!」
「レイン、この前、店長さんに仕事を辞めるっていたらね、お金沢山貰えたの!」
いや、無視かよ。
得意技、何の意味もなかったよ。
何なんだこのレインへの圧倒的支持。
俺の支持率0%じゃないか。
5歳児に負ける30歳前半の俺。
もっと頑張らなきゃなぁ。
お金稼いで力になってこの二人の愛を再び取り戻そうではないか。



「姉さん、僕、そろそろ寝るよ」
「じゃあ、私、レイン君の隣」
「なら私は反対側ね?あ、それと折角だしミーシャさん呼びましょうか」
「そうね、そうしましょう」


「俺は?」


「「部屋の隅でいいんじゃない?」」




我が家族よ、野菜を残したら駄目なんだよ。


駄目なんだよ………。





悲しみにくれる父クラウドであった。




これで1章は終わりですね。

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コメント

  • HARO

    お父さん…

    1
  • アキ

    お父さんかわいそう

    2
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