男女比が異常な異世界で最強になった俺は前世の夢を追い続ける

音感あっきー

1章。燃えよ毛根!吹き抜け突風!脱毛魔法!

『レイン様、朝です。レイン様、朝です』

「んー。姉さん…かわ…い」

『レイン様!朝です!』

「姉さん…朝…むにゃ」

『……………。(何回呼べば起きるのか…。)』

はじめ!私が起こしに来たわよ!起きなさい!』

未来みく…。未来。未来!?」

『レイン様、やっと起きましたね。』

「今、未来が…。って…神ちゃんか…」

『朝、起こしてと言ったのはレイン様なのに、その対応は傷つきます。』

「ごめんごめん。」

『それにしても凄いですね。今は、はじめとしての意識にも関わらず、前の意識がこうも強く影響するなんて。』

「なんのこと?」

『サン様の事です。寝てるとき、ずっと姉さん姉さんって言ってましたよ』

「そうなんだよな。何か姉さんと母さんの顔を思い浮かべると…えへ…えへへ…かわい」

『………。』


そんな、朝を迎えた俺は父さんにバレずに外出する事に成功した。
ある魔法を使って。

『完璧ですね。やはり、前世が発展していただけの事はあります。』

「凄いな、これ、本当に音がならないんだな。」

使っていたのは防音魔法。
イメージは体に構成分子が一切、振動しない膜を纏うまと感じだ。

『魔法はイメージで生み出されます。つまり、可能性は無限大です。レイン様ならオリジナル魔法をいくつも作れるかと。ただ、魔力が今は少なすぎますね。長い時間をかけて修行する必要があります。』

「魔力は神ちゃんずでどうにかならないの?」

『私達を経由すれば魔力が殆ど減らないので全然余裕ですが、魔力がないと、敵を誘き寄せたり、逃げさせる事が意図的にできません。要するに魔力は威圧感ともいえるでしょう。それに、あるに越した事はないですね。学園では、魔力量を計測するテストもありますし。なので、その修行は後日教えます』

「了解っ!じゃあ、出発!神ちゃんず、神速よろしくー!」

『承りました!足と目に力を集中。目には神ちゃんずバリアーを展開。強制回復を持続的に発動っ。準備完了!』

「いけえええ!!!!」

ひゅーん!

物凄い勢いで山を下る。というより、もはや、初めの一蹴りで地から足が外れる。ただの超速斜方投射だ。

ああああああああ!!!!

『あはは。これは酷いですね。スキージャンプの対空時間を伸ばした感じですね。あはは。』

世界新記録を余裕で超える足ジャンプ。
いつになったら地面に触れられるのか。
さっきから空中で身動きが取れずいくつも木に衝突しているが、その度に摩擦力や空気抵抗、障害物など関係ないと言わんばかりに突き抜け、何故か等速運動ではなく加速運動をしているように感じる。
なんだこれは。
やはり、俺は人間じゃ…。

『人間です。』

そんなこんなで、地に足を付けたのはそれから3時間後、予定より早く山を下った。
山の下には大きな町がある。
というより、忘れていた。俺の住んでいる国の事。

ここはアンダンテ国。そして、ウェザー村はポコ領に属する。そして、今いるのがポコ領の中心部だ。ポコ領の先のアンダンテ領に王都がある。
ここから、先は神速を使うと周りに被害が出るため、常人より早いスピードで走る事にする。

『瞬足といった所ですかね。女性に捕まったら暫くは動けないと思った方が良いと思います。』

そう、男女比がおかしいと言っていたが…まさかここまでとは…。
道行く場所には女性。
右も左も女性。
男性を見つけたかと思えば周りには大量の女性。
再び男性を見付けたと思いきや、実は女性。

なんだこれ…。
前のレインは山から降りたことがなかったため、これが町との初顔合わせになる。

走ってる俺に振り向く女性。
俺がまぁまぁな速度で走ってるから逆に注目を浴びる。

「何か、変な気分になってきた。鼻血出そう」

『レイン様…。それは女性のセリフのようですよ?後ろ…』

俺は後ろを向いた。
走ってる。
女性が走ってる。
俺を追いかけて走ってる。
何これ。
なんなんだこれ。
何か叫んでいるようだが、ドップラー効果が発揮されて、よく聞こえない。

俺は何だろうと思い止まった。

『レイン様、止まったら…。まぁ、レイン様も男ですからね…仕方がありませんよね』

だんだん声がしっかりと聞こえてきた。
「やばくない?」「かわいい!」「でも、逃げてるよ」「私達の事が怖いのかな」「でもそれがまた可愛い」「抱きつきたい、頭ナデナデしたい」


(なにこれ…)

前世の俺はモテなかった。顔がフツ面だからだ。一般人に溶け込める顔だった。

だが、よく考えるとレイン君。

君はイケメンだぁ。

姉さんや母さんを愛し愛されている記憶がはっきりと残っているが、ここに、前世の俺の意識が混ざってしまった。
女性からグイグイくるのは苦手だが…案外これは良いかもしれない。
いや、分かったぞ。女性からグイグイ来るのが苦手だったのは、グイグイされてる奴に嫉妬していたからだ。
よく考えたら、前世でグイグイこられた事なんてただの一度もない。
ふは!ふはは!レイン君ありがとう。
ちょっと、君のお体で女性にチヤホヤされてくるよ。ふはは!

『レイン様、少しだけですからね…。スノウ様やサン様は今、病気で…』

「あ、そっか。そっち優先。大好きな姉さんにギューってしてもらうんだ。」

『………。記憶が戻る前の意識がエゲツナイデスネ。影響し過ぎですね。』

「不思議だよなー、俺の意識になってから一度も会ってないのに。恋い焦がれちゃってるよー、しかも姉に。」

そう言って再び走り始めた。


あれから、30分程走った。
何やら人ゴミができている。

「神ちゃん、何が起こってるの?」

『一人の男性が女性に暴力を振っていますね。よくある事です。恐らく、男性が女性を恐喝してるんだと思いますよ。まぁ、勿論、レイン様なら…』

「助けます」

こうして、人助けが始まった!



「お願いします!許して下さい!お金を持ってないんです!お願いします!」
20歳くらいの女性が土下座をしている。泣きながらだ。

「あ?男に渡す金が無けりゃ生きる意味なんてお前ら女に無いだろクソが!」
長髪の男は女の頭を足でグリグリと踏みながら怒鳴っている。

周りに集まっている女性は男を睨んでいるが、誰も言い返せないでいる。恐らく、怖がっているのだろう。しかし、同じ女性として見逃せない。そういう雰囲気が感じられた。


ならば、する事は一つ!
同じ男性として、こんなクソ野郎を放っておけるかってんだ!



「おい、女の子に暴力を振るとかどんな神経してんだよ。解剖してやろうか。」

「あ?何だ?クソガキ!何言ってやがる。女は男のためにあるんだよ。それを好きに扱って何が悪い。女はモノだ!は!」

神ちゃんが言ってた通りだ。ウェザー村が平和なんだな。こんなクソ男、前世でも稀にしか見なかったぞ。

(神ちゃん、力のコントロールよろしくね?)

『常日頃、状況に合わせてやっておりますからご安心を』

「女の子をモノ扱いするなんて有り得ないな…。お前は自分がモノ扱いされた事がないから、簡単にそんな事ができるんだよなぁ。してやろうか?モノ扱い。人権も何も考慮されずにモノ扱いされる苦しみを味わってみるか?」

「ガキの癖に生意気言ってんじゃねぇ!モノにでも何でもしてみやがれ!」

男は殴りかかってきた。

おー、何ともまたキレやすい事。
まるで、紙のようだわ。あはは。
お?あ、髪攻めで行こう!うん!それが良い!

にしても、神ちゃんのお陰で動体視力を上げてるのか分からないがスローモーションに見えるな。

俺はそれを避けて、相手の髪の毛の根本近く何本かを持つ。

「せーのっ」

ぶち!パラパラパラ。

「いってええええ!!」

相手の男の長髪が一部欠けた。いや、ハゲた。

「君はモノらしいから、僕にとって目障りな髪の毛を刈らせてもらうねー」

次も同じ様に髪の毛の束を手に取る。

ばつん!

(髪の毛って一気に沢山抜くとこんな音になるんだ)

「くぅ!!!!!!!」
男は痛くて声が出ないらしい。

(ねぇ、神ちゃん、ちょっと罪悪感湧いてきたからさ、魔法で髪の毛って抜けないかな?)

『詳しいイメージができれば魔法で何でもできますよ。レイン様は人間の構造をよく知っていますし。ふふ』

イメージイメージ。

毛根を根絶やしにするのが目的。
んー…。頭痛が痛いみたいになってるなぁ。

ステップ1
毛根から抜きやすくする為に皮脂を柔らかく…。
熱を一瞬だけ浴びさせて毛穴と毛根の脂を溶かす…。

ステップ2
あとは、髪の毛を引き抜けばヌルって抜けそうだけどなぁ…。
暗い気持ちになった女性を笑わせたい。うん。心は常に明るく。
それが〜♪一番大事〜♪
という事で、風を吹かせましょうっ!
こいつの頭の中央を低気圧にするイメージ。空気を移動させて、空気の回転、空気の回転。

ステップ3
何か凄い魔力が必要そうだから…神ちゃんに中継を任せましょいっ!

ステップ1から3を繋ぎ合わせて…
イメージ完了!

「燃えよ毛根、吹き抜け突風、脱毛魔法!」
適当な詠唱とともに、相手の頭をバシンと叩く!

すると、一瞬、頭が赤く光ったと思えば次は真っ黒の物体が渦を巻いて昇天していく。

まぁ、髪の毛なんだけどな。
髪様への、プレゼントという事で。

正直ここまで、上手く行くとは思ってなかったなぁ。

『イメージが確実なんでしょうね。恐ろしい魔法です。鳥肌が立ちました。』

「くすくす」「見た?さっきの」「髪の毛がなくなったわよ」「面白すぎ」「うふふ、笑いがとまらない」「女を舐めた罰ね」「それにしても、さっきの魔法?」「初めて見る魔法だわ」「それに、イケメンじゃない?」「ホントだわ」「可愛い」「頭撫でてあげたい」

よし、皆だんだん、明るくなってきた。


「て、て、てめぇ!な、何しやがった!」

「さっきも言ったでしょ。君がモノ扱いしても良いって言ったから、僕にとって、目障りだった君の髪の毛を全部抜いてあげたんだよ。しかも、二度と生えてこないようにね。でも、君が今まで女の子にしていた事はそういうことだよね。君のせいで、一生消えない傷を心に負った女の子だっているんだよ。」

「くそ!死にやがれ!!」
懐から刃物を持って俺に向かってくる。前世の最後を思い出す。トラウマになってないのは、未来がいてくれたからかな。



ぱぁぁぁあんっ!!!



「いてぇっ、」

男は刃物を落とした。


程良い破裂音。気持ちいい音。ビンタか。

やったのは俺ではない。騎士のような格好の女性だ。さっきまでは恐らく居なかった。

「女性を泣かして何をしているの。今すぐ、謝りなさい。男だから何しても許されると思うな。牢獄に連れてくぞ。いや、もう連れて行く。決定だ。周りも異論はないな。君達が目撃者であり、証人だ。これだから、男は…。」


「ヘレン様…」「ホントだわ、ヘレン様じゃない」「誰かが呼んでくれたのね」「これで安心ね」

(神ちゃん、この人、偉い人?)

『流石に人の情報までは知りません。でも、この領地の騎士と言う事ははっきりと分かりますね。あ…。レイン様…。早く行ったほうが良いかもしれません。走って下さい。』

(え?何で?)

『いいから早く走って下さい。』

(う、うん、分かったよ。)

走り出そうとした瞬間。

「きゃー!かわいい!」「名前聞いてもいいですか!」「頭触ってもいいですか!」「抱きつきたい!」「誘拐しようかしら」「さっきの魔法だよね!?教えて!?」「甘いものは好き?お家に一杯あるよ?」「私の体も甘いわよー?」




囲まれた。




『レイン様、頑張って下さいね。私は知りません。』


嫌な気は全くしない。寧ろ褒美だ。だけどな。前世でこんなに褒められた事ないから恥ずかし過ぎる。

「貴様も、コイツの仲間か」
一際目立つ声がすると、周りは一気に静かになった。一人の騎士が囲いの中から現れる。

「あ、いや、僕はただの通りすがりで…」

「誰がそんな事、信じるものか、男が女を助けるなど信じがたい。どうせ、私が来たのを見て自分だけ助かろうとして、コイツを裏切ったのだろう?」

「え、あ、いや、その、そんな事…言われるとはなぁ…。はは…。相当、男ってダメなやつなんですね…はは。」

『なに、納得してるんですか!反論して下さい!』

(なんか、圧におされちゃって、そうだな反論しなきゃ。)

「違います!その人は私を助けてくれたんです!その人はソイツの仲間なんかじゃありません!」
反論したのは、恐喝されてた女の子だった。

すると…
「ヘレン様、確かにその可愛らしい男性の方はいきなり現れて助けていましたよ、かっこよかったです」
「そうですよ、女性をモノ扱いするな!って言ってました。惚れてしまいそうです」
「もう惚れてるでしょ、それにしても可愛いなぁ」
「何歳だろうね、五歳くらいかなぁ?どこの子だろう」
「家を特定したい」「やっぱり、誘拐を」「私の家に住まない?」


(何か数人、物騒な人がいるけど、悪い気はしないなぁ♪)


「そ、それは、疑ってしまいすまなかった。まさか、男がそんな事を言うとは…。君の名前を聞いても良いか?」

(案外、素直なんだな、これが騎士道ってやつか?)

「あ、えーと、レインと申します。こちらも名前を聞いてもよろしいでしょうか…?」

「レイン様と呼ばせて頂く。貴殿のような男は初めて見た。正直、まだ信じれてはいないが、今回に関しては私の非礼だ。すまなかった。私はポコ領騎士団副団長のヘレン・ハルバードと言う。」

「気にしないで下さい!ヘレン様。僕は今まで密かに暮らしていた身なので、世間知らずでして、その、はい、何か、すみません。では、急いでますので僕はこれで。さようなら。」

(神ちゃん、ジャンプで人を飛び越える。ok?)

『ok!』

「せーのっ」


ぴゅーん


おいおい、結構飛ぶな、これ

下からは、凄い物を見たと言わんばかりに見つめる女の子達。

「ま、待ちたまえ!」「かっこいいわぁ」「逃げないでぇ」「私を連れてってー」「誘拐しなきゃ」「かわいい」


(飛んでる事に対する驚きは無いんだ。)

『これくらいは、身体強化魔法でできますからね。まぁ、これは魔法じゃありませんが。では、スノウ様とサン様の所へ急ぎましょう。』

「了解っ!瞬足!」







こうして、ポコ領を走り抜けた。




アンダンテ領前にて女性の護衛に捕まる。

「君はどこから来……かわいいな。」「かわいい…。」

「ポコ領から王都にいる、姉に会いに来ました…。通して頂けませんか?」

「はい!よろこんで!私の名前は…」

(よし、面倒臭そう。瞬足!)

ひゅん!

「待ってえええ…」

風のように走り抜けるレインはその日、ポコ領で大きな噂になるのだった。
そう、再び二つ名が付いたのだ。

【女性の味方レイン君】




姉さん待っててね!

『シスコンレイン君の方がしっくり来ますね。』




「男女比が異常な異世界で最強になった俺は前世の夢を追い続ける」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

  • ノベルバユーザー304999

    瞬足ってしゅんそくなのかしゅんぽなのか

    1
コメントを書く