裏切るヒロイン
現実と理想。
昼休みが終わり5時間目。
俺はボケーッと頬杖をつき窓の方を眺めていた。
俺の席は窓際から2番目の1番後ろ。
つまり窓と俺の席の間には1人のクラスメイトがいる訳で。
隣の席の女子が自分を見ていると勘違いしているのか恥ずかしそうに顔を赤らめている。
しかし俺が見ているのはその先、校庭だ。
正直、隣にいる女子は邪魔。
校庭ではB組女子が体育の授業、ソフトボールを行っていた。
体育は男女別れているため、男子は体育館で柔道をしている。
和から聞いた話によると上原はB組らしい。
窓際から2番目とはいえ間には人も挟んでるため少し見えにくい。
ちなみにここは2階のため見える場所には限りがある。
上原の運動能力がどれほどのものか見てやろうと思ったがどこにいるのかも分からない。
諦めて前を向こうとした時だ。
微かだが外で歓声が聞こえた。
目を細めて見るとバッターボックスに誰かが立つ所だった。
周りにいる生徒はそのバッターボックスにたっている人物に視線を向けている。
上原だ。
ヘルメットを被っているため顔はよく見えないが直感的にそう思った。
長い黒髪はひとつに結われている。
ピッチャーの女子がボールを投げる体制に入る。
そして腕を回転させ一気に下投げで投球した。
経験者だろうか、投げられた球はかなり早い。
これであいつが空振り三振だったら笑ってやろうと思った。
その時だった。
カキーン
聞こえるはずがないのに球にバットが当たった音が聞こえた気がした。
それほど綺麗で力強いバッティングだった。
球は真っ直ぐにセンターラインを超え上原は見事ホームインする。
そんな上原の周りに大勢の女子が集まりハイタッチを交わしていく。
(おーおー、人気者ですこと)
その光景を見つめながらつい笑みがこぼれた。
放課後。
屋上にて。
隣の席の女子に呼び出された。
予想はしている。
俯いてモジモジしている女子に早くしてくれと心の中で声をかける。
そんな俺の気持ちがつたわったのかおずおず口を開いた。
「キノ君がこっちみて笑ってくれて嬉しかったよ…私の事見てくれてたんだって。わ、私キノ君のこと好きです!!付き合ってください!!」
いや、自意識過剰かよ。
てかお前の名前すら知らないんだけど俺。
あ、ちなみにキノっていうのは俺の愛称ね。
「お前のこと見てたわけじゃないんだけど、勘違いさせたなら悪いけどお前に対して興味なんてない」
と冷たい声で返した。
自慢じゃないが告白には慣れている。
告白してきた女子はこっぴどくふる。
そんなこと俺にとっては当たり前だった。
だってこいつらは俺の何を知ってると言うんだ。
ほら、現に目の前の女子はポロポロと涙を零しながら
「酷いよ…キノ君がそんな人だとは思わなかった……」
バタン
そう言って屋上から去った。
馬鹿だな。
「俺は、こういう人間だ。」
俺の事を何も知らないくせに勝手に好きになって勝手にイメージを作り上げて。
いざイメージと違ったら勝手に裏切られたような表情で泣くんだもんな。
(泣きてぇのは俺だっつーの)
俺はボケーッと頬杖をつき窓の方を眺めていた。
俺の席は窓際から2番目の1番後ろ。
つまり窓と俺の席の間には1人のクラスメイトがいる訳で。
隣の席の女子が自分を見ていると勘違いしているのか恥ずかしそうに顔を赤らめている。
しかし俺が見ているのはその先、校庭だ。
正直、隣にいる女子は邪魔。
校庭ではB組女子が体育の授業、ソフトボールを行っていた。
体育は男女別れているため、男子は体育館で柔道をしている。
和から聞いた話によると上原はB組らしい。
窓際から2番目とはいえ間には人も挟んでるため少し見えにくい。
ちなみにここは2階のため見える場所には限りがある。
上原の運動能力がどれほどのものか見てやろうと思ったがどこにいるのかも分からない。
諦めて前を向こうとした時だ。
微かだが外で歓声が聞こえた。
目を細めて見るとバッターボックスに誰かが立つ所だった。
周りにいる生徒はそのバッターボックスにたっている人物に視線を向けている。
上原だ。
ヘルメットを被っているため顔はよく見えないが直感的にそう思った。
長い黒髪はひとつに結われている。
ピッチャーの女子がボールを投げる体制に入る。
そして腕を回転させ一気に下投げで投球した。
経験者だろうか、投げられた球はかなり早い。
これであいつが空振り三振だったら笑ってやろうと思った。
その時だった。
カキーン
聞こえるはずがないのに球にバットが当たった音が聞こえた気がした。
それほど綺麗で力強いバッティングだった。
球は真っ直ぐにセンターラインを超え上原は見事ホームインする。
そんな上原の周りに大勢の女子が集まりハイタッチを交わしていく。
(おーおー、人気者ですこと)
その光景を見つめながらつい笑みがこぼれた。
放課後。
屋上にて。
隣の席の女子に呼び出された。
予想はしている。
俯いてモジモジしている女子に早くしてくれと心の中で声をかける。
そんな俺の気持ちがつたわったのかおずおず口を開いた。
「キノ君がこっちみて笑ってくれて嬉しかったよ…私の事見てくれてたんだって。わ、私キノ君のこと好きです!!付き合ってください!!」
いや、自意識過剰かよ。
てかお前の名前すら知らないんだけど俺。
あ、ちなみにキノっていうのは俺の愛称ね。
「お前のこと見てたわけじゃないんだけど、勘違いさせたなら悪いけどお前に対して興味なんてない」
と冷たい声で返した。
自慢じゃないが告白には慣れている。
告白してきた女子はこっぴどくふる。
そんなこと俺にとっては当たり前だった。
だってこいつらは俺の何を知ってると言うんだ。
ほら、現に目の前の女子はポロポロと涙を零しながら
「酷いよ…キノ君がそんな人だとは思わなかった……」
バタン
そう言って屋上から去った。
馬鹿だな。
「俺は、こういう人間だ。」
俺の事を何も知らないくせに勝手に好きになって勝手にイメージを作り上げて。
いざイメージと違ったら勝手に裏切られたような表情で泣くんだもんな。
(泣きてぇのは俺だっつーの)
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