クラス転移の次は転生ですか?

貴島白

7話謁見にて【訂正後】

今、俺は王城にある、応接室のソファーに腰掛けている。
 部屋には誰もいない。扉の外には、王城に勤めるメイドが控えているが。
 五歳の子供一人を、この部屋で待たせる意味がわからない。
 先ほどは、執事とメイドが数人が現れ、いきなり服を剥ぎ取られ、体のサイズを測られた上に、新しい貴族服に着替えさせられた。
 さすがに旅用の貴族服では、王への謁見はできないからということだ。いや今さっき会ったろ!

 今回の謁見だが、たしかに、コボルト50体を倒して、王女殿下とロザリア嬢を助けたのは確かだ。
 さっき話をしたし、今更何を話すことがあるんだろう。

 色々と考えていると、ノックがして執事服の人が入ってきた。

「ゼロリアス様、謁見の準備がすみましたのでご用意ください」
「わかりました」
廊下を進み、大きな扉の前に立たされる。
 扉が開き、前に進む。左右には貴族と思われる人たちが並んでいた。もちろん父さんも並んでいた
俺は父さんに言われたようにやり

「顔をあげよ」

 正面から陛下の声がかかった。
 前に父さんの説明を受けたとおり顔を上げる。正面の玉座に陛下が座り、周りには王妃とその子供達が立っている。もちろん第二王女のミアリスも並んでいた。ミアはゼロリアスを見ながらニコニコしている。
 玉座に座っている陛下は、先程とは違い国王らしく立派な服を着て王冠をつけている。
 横から、五十代くらいで白髪の人が出てきた。先ほど話しに聞いた宰相だろうか?

「この度、ミアリス王女殿下及びエルネスト=ロザリア嬢が、80体のコボルトの群れに襲われた」

そのようだ!
 その内容に謁見の間にいる貴族達が一斉にざわめく。

「そんな時、そこにいるセルス=ゼロリアスは自ら死地へ飛び込み、一人で50体のコボルトを討伐したのじゃ。討伐後は負傷した騎士たちを魔法で癒し、亡きものとなった騎士たちを蘇生させてくれたのだ!」

 一人で50体も倒したと聞き、そして蘇生もさせたと国王が言ったことで、さらに並んでいる貴族達が騒ぐ。

「そこで褒章を与える。陛下、よろしくお願いいたします」

 宰相が説明を終えた。
 国王が頷く。

「セルス=ゼロリアスよ、この度の活躍見事であった。そなたがいなかったら、ここにいるミアリスもロザリア嬢も助かっていなかっただろう。よって、セルス=フォン=ゼロリアスを男爵と叙する。また、王金貨1枚と王都に屋敷を与える」
えーとナビ〜この世界の貨幣
{前の世界とほとんど変わりませんが一応
王金貨1枚=王貨100枚、王貨1枚=白金貨100枚、白金貨1枚=金貨100枚、金貨1枚=銀貨100枚、銀貨1枚=銅貨100枚、銅貨1枚=鉄貨100枚です。}
了解
並んでいる貴族達がまた一斉に騒ぐ。先ほどより大きな声だ。
 騒いでいる貴族の中から、オークのような一人の貴族が前に出てきた。
「私は反対です!何故こんなに小さな子供に爵位を与えるのですか!」
「あーいい忘れとった!この度セルス=ゼロリアスとミアリスとロザリア嬢の婚約をさせることになったからな問題あるか?」
一同騒然!
(°▽°)
え!?ここで言うの?
しばらくの沈黙
「だ、だからといって……」
「だまれ。ゲルド侯爵。ならお前は一人で死地に飛び込み50体ものコボルトを殲滅できるのか?」
なんでどっかのスライムの配下の名前なんだろう?まあお似合いだけど!
「だからといって……」

 まだゲルド侯爵は反対をしている。

「ゼロリアスは三男だったな。今のセルス家の嫡男ではない。このような優秀な子が野に放してしまったらどうするんだ。この決定は変えん。下がれ!」

 ゲルド侯爵は貴族が並んでいる列にゼロリアスの事を睨みつけながら下がっていく。

「セルス=ゼロリアスよ。受けてくれるな」

 国王はまっすぐにゼロリアスを見つめた。

 国王の視線が怖いし痛い。
 横に立っている宰相の顔を見た。
 宰相は無言で頷く。
 反対側に立っているバギルの顔も見た。
 同じく無言で頷くだけだった。

 ゼロリアスは諦めて一呼吸したあとに答えた。

「あ、ありがたく……受けさせていただきます」

 この雰囲気で五歳のゼロリアスに断れる状態ではなかった。

「これにて謁見を終了とする。陛下、ご退出をお願いいたします。」

コメント

  • ノベルバユーザー353437

    失礼なあっちのゲルドは有能な働き者で街の開発にかなり尽力したし有事の際にはその防御力を持って街を戦火から守り抜いたイケメンだぞ?
    格が違うぶたさんに謝って?

    2
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