不死鳥の恋よ、安らかに眠れ
自由軍の終わり
目覚めると、ルッカの体の上には、まだアンドレが乗っていた。
「どいてくれ……」
ルッカは言ったが、アンドレは気を失ったままだ。
寝息が聞こえたので、生命は無事のようだ。
一撃しか食らっていないのだ。
そんなにダメージはなかったはずだ。
そう思ってアンドレを見る。
彼の寝顔には緊張感がなく、どこか安堵が感じられた。
とはいえ、アンドレにしても、沢山の仲間や頼りにしていたリーダーを失ったのだ。
それに最後、中身の体でクローチェに立ち向かっていくのは、よほどの勇気が必要だっただろう。
ルッカはアンドレを、そのまま寝かしておくことにした。
「起きたようね」
ユウとエイミー、それにミゲルがいた。
三人の前には、死神のような顔つきの男が、ロープで全身を縛られている。
見覚えがあった。
アナの屋敷で会った。
獣化する前のクローチェだった。
「どうやって……?」
あれから、彼らは、クローチェを捕らえることに成功したのだ。
「アナの屋敷でのことを聞いたのよ。エイミーの声には不思議な力がある。この声で、前にもこいつを止めたんでしょ? もう一度やってもらったの」
ユウは続けた。
「リーダーは、獣化の薬を作っていただけでなく、それを解く薬も開発していたから、それを、こいつの口に投げ入れたってわけよ」
ユウは、耳栓を取り出して見せた。
あのとき、ユウだけはエイミーの叫び声を聞かなくてすむようにしていたわけだ。
ルッカは、ユウの知略に感服した。
これには、蒼の月の世界のミゲルも負けるかもしれない。
そう思って、この世界のミゲル見た。
彼は、何重にもクローチェの体を縛っていたが、それでもまだ縛り足りないようで、不安な顔をしている。
「……うまくいって良かった……エイミーや、アンドレのおかげよ」
ユウは、自分のことより、先に行動をしてくれた二人を称えた。
「お前たち、これから、どうするんだ?」
そう尋ねたのは、クローチェだった。
彼の獣化は完全に解けていた。
ダメージが効いているのか、もともとそんな肌の色なのか、死神のように青白い顔をしている。
ユウもミゲルも、何も答えられなかった。
彼ら自由軍は、多数の仲間と、リーダーであるイシドラを失った。
存続は難しいだろう。
「ここで、オレを殺したところで、六鬼の別の誰かが、ふたたびやってくるだけだ」
クローチェは、ニヤリと笑った。
「たしかに……そうね」
ユウは、うつむいた。
「自由軍は、これで終わり。この国で紅獅子王に対抗するものは、誰もいなくなるわ」
「そうだ。晴れて、王は妃を迎えて、新たな時代になる」
「新たな時代……」
「だめだ」
ルッカの声は強かった。
「アナは……アナは、紅獅子王の妃になんかならない!……オレが、オレが、必ず救いだす!」
「どいてくれ……」
ルッカは言ったが、アンドレは気を失ったままだ。
寝息が聞こえたので、生命は無事のようだ。
一撃しか食らっていないのだ。
そんなにダメージはなかったはずだ。
そう思ってアンドレを見る。
彼の寝顔には緊張感がなく、どこか安堵が感じられた。
とはいえ、アンドレにしても、沢山の仲間や頼りにしていたリーダーを失ったのだ。
それに最後、中身の体でクローチェに立ち向かっていくのは、よほどの勇気が必要だっただろう。
ルッカはアンドレを、そのまま寝かしておくことにした。
「起きたようね」
ユウとエイミー、それにミゲルがいた。
三人の前には、死神のような顔つきの男が、ロープで全身を縛られている。
見覚えがあった。
アナの屋敷で会った。
獣化する前のクローチェだった。
「どうやって……?」
あれから、彼らは、クローチェを捕らえることに成功したのだ。
「アナの屋敷でのことを聞いたのよ。エイミーの声には不思議な力がある。この声で、前にもこいつを止めたんでしょ? もう一度やってもらったの」
ユウは続けた。
「リーダーは、獣化の薬を作っていただけでなく、それを解く薬も開発していたから、それを、こいつの口に投げ入れたってわけよ」
ユウは、耳栓を取り出して見せた。
あのとき、ユウだけはエイミーの叫び声を聞かなくてすむようにしていたわけだ。
ルッカは、ユウの知略に感服した。
これには、蒼の月の世界のミゲルも負けるかもしれない。
そう思って、この世界のミゲル見た。
彼は、何重にもクローチェの体を縛っていたが、それでもまだ縛り足りないようで、不安な顔をしている。
「……うまくいって良かった……エイミーや、アンドレのおかげよ」
ユウは、自分のことより、先に行動をしてくれた二人を称えた。
「お前たち、これから、どうするんだ?」
そう尋ねたのは、クローチェだった。
彼の獣化は完全に解けていた。
ダメージが効いているのか、もともとそんな肌の色なのか、死神のように青白い顔をしている。
ユウもミゲルも、何も答えられなかった。
彼ら自由軍は、多数の仲間と、リーダーであるイシドラを失った。
存続は難しいだろう。
「ここで、オレを殺したところで、六鬼の別の誰かが、ふたたびやってくるだけだ」
クローチェは、ニヤリと笑った。
「たしかに……そうね」
ユウは、うつむいた。
「自由軍は、これで終わり。この国で紅獅子王に対抗するものは、誰もいなくなるわ」
「そうだ。晴れて、王は妃を迎えて、新たな時代になる」
「新たな時代……」
「だめだ」
ルッカの声は強かった。
「アナは……アナは、紅獅子王の妃になんかならない!……オレが、オレが、必ず救いだす!」
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