不死鳥の恋よ、安らかに眠れ
六鬼の襲撃②
ピグーは、人の姿を見つけると、老若男女構わずに猛進した。
次々と人をはねる。
洞窟は、枝分かれしているとはいえ、逃げ道は限られている。
見つかったら、逃げ道はなかった。
巨大な猪豚は、足が速かった。
壁にぶつかるまで止まらない。
骨を砕かれ、体を押し潰された。
ピグーは、壁にぶつかっても、何のダメージも受けていない。
立ち向かう者たちもいたが、人がかなう相手ではなかった。
武器は通用しなかった。
またたくまに、洞窟内に阿鼻叫喚が響き渡り、死者の山が築かれた。
とはいえ、洞窟は迷路のように広い。
ピグーの動きをうまくかわしながら、出口にたどり着くものたちもいた。
敵わないのなら、逃げ出すしかない。
戦艦に乗り込み、脱出を試みる。
しかし、待ち構えていたのは、大ワニともう一人の六鬼だ。
ワニは進路をふさぎ、クローチェは看板に降り立った。
彼は、まだ完全に獣化はしていなかった。
無数の触手になった腕を振るい、船に乗り込んだものを吊るしあげた。
水面に投げ込むと、ワニが曲芸のごとく体を踊らせ、噛み砕く。
水面には、血の色をした紅い花がいくつも咲いた。
リーダーであるイシドラと、作戦参謀のユウは、アナ奪還計画のために、一番奥の部屋にいた。
六鬼の襲撃の報告が彼らにもたらされる頃には、自由軍の拠点にいた半分の人間が殺されていた。
その部屋には、ルッカとエイミー、それにミゲル、アンドレ、グレンが共にいた。
「やばいな、逃げ道はない……」
アンドレが、美しい顔を歪めた。
「オレが行く」
グレンは、部屋を出て行こうとする。
「待って!」
ユウがとめた。
彼女も青ざめていた。
「リーダー、あれを使わせて」
イシドラは、ユウを見た。
「だが、まだ未完成だ……マディンのものより、効果も短いし、獣性も強い……強い理性がないと、コントロールできない」
「しかしリーダー、このままでは全滅しちょうよ!」
「仕方ない……グレンと私が試そう」
イシドラは意を決して、先に部屋を出た。
彼の私室が実験室にもなっている。
グレンも後に続いた。
「オレたちはどうする?」
ミゲルの質問に、ユウは考え込んだ。
「武器を取って、五叉路で合流しましょう! あそこなら小部屋が多い、援護するなら、あの場所しかないわ」
「オレたちは?」
ルッカは、ユウに聞いた。
「あんたらは、リーダーたちを追って。五叉路で合流するように伝えてもらうと、助かるわ」
「わかった」
ユウは皆の顔を見回した。
「みんな、くれぐれも自分たちで六鬼と戦おうとは思わないでね。生身の人間に勝ち目なんかない。リーダーとグレンが獣化すれば、必ず倒すチャンスがある。それまで、時間を稼ぎましょう」
次々と人をはねる。
洞窟は、枝分かれしているとはいえ、逃げ道は限られている。
見つかったら、逃げ道はなかった。
巨大な猪豚は、足が速かった。
壁にぶつかるまで止まらない。
骨を砕かれ、体を押し潰された。
ピグーは、壁にぶつかっても、何のダメージも受けていない。
立ち向かう者たちもいたが、人がかなう相手ではなかった。
武器は通用しなかった。
またたくまに、洞窟内に阿鼻叫喚が響き渡り、死者の山が築かれた。
とはいえ、洞窟は迷路のように広い。
ピグーの動きをうまくかわしながら、出口にたどり着くものたちもいた。
敵わないのなら、逃げ出すしかない。
戦艦に乗り込み、脱出を試みる。
しかし、待ち構えていたのは、大ワニともう一人の六鬼だ。
ワニは進路をふさぎ、クローチェは看板に降り立った。
彼は、まだ完全に獣化はしていなかった。
無数の触手になった腕を振るい、船に乗り込んだものを吊るしあげた。
水面に投げ込むと、ワニが曲芸のごとく体を踊らせ、噛み砕く。
水面には、血の色をした紅い花がいくつも咲いた。
リーダーであるイシドラと、作戦参謀のユウは、アナ奪還計画のために、一番奥の部屋にいた。
六鬼の襲撃の報告が彼らにもたらされる頃には、自由軍の拠点にいた半分の人間が殺されていた。
その部屋には、ルッカとエイミー、それにミゲル、アンドレ、グレンが共にいた。
「やばいな、逃げ道はない……」
アンドレが、美しい顔を歪めた。
「オレが行く」
グレンは、部屋を出て行こうとする。
「待って!」
ユウがとめた。
彼女も青ざめていた。
「リーダー、あれを使わせて」
イシドラは、ユウを見た。
「だが、まだ未完成だ……マディンのものより、効果も短いし、獣性も強い……強い理性がないと、コントロールできない」
「しかしリーダー、このままでは全滅しちょうよ!」
「仕方ない……グレンと私が試そう」
イシドラは意を決して、先に部屋を出た。
彼の私室が実験室にもなっている。
グレンも後に続いた。
「オレたちはどうする?」
ミゲルの質問に、ユウは考え込んだ。
「武器を取って、五叉路で合流しましょう! あそこなら小部屋が多い、援護するなら、あの場所しかないわ」
「オレたちは?」
ルッカは、ユウに聞いた。
「あんたらは、リーダーたちを追って。五叉路で合流するように伝えてもらうと、助かるわ」
「わかった」
ユウは皆の顔を見回した。
「みんな、くれぐれも自分たちで六鬼と戦おうとは思わないでね。生身の人間に勝ち目なんかない。リーダーとグレンが獣化すれば、必ず倒すチャンスがある。それまで、時間を稼ぎましょう」
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