不死鳥の恋よ、安らかに眠れ
エイミーとルッカ
エイミーは、ルッカの顔に耳を近づけた。
息はしていた。
あれからずっと、ルッカは眠り続けている。
もしかしたら死んでしまったのではないかと、不安になっていた。
エイミーは、ルッカの上着を脱がした。
ちょっと恥ずかしくなる。
大人の男性の裸をみるのは、初めてだった。
思ったより引き締まった体つきだった。
小柄で細身だが、しっかりと筋肉はついている。
その体はアザだらけだ。
獣人化していたとはいえ、悪名高き六鬼を相手にしていたのだ。
命があるだけマシと言って良かった。
「ありがとう……」
エイミーは、小声で礼を言った。
そして、イシドラからもらった小瓶の蓋をあけた。
中には、白濁とした軟膏が詰まっている。
消毒臭が鼻を刺激し、エイミーは顔をしかめた。
指ですくい、ルッカの体に落とす。
手のひらで、アザを覆うように広げていった。
ルッカの皮膚の温もりに、エイミー自身も癒される気がした。
アナがやたらと好意的にしていたので、最初は好きになれなかったが、いまはエイミーもルッカに良い印象を持っていた。
クローチェから、生身の体で、身を呈して助けてくれた。
「大丈夫、ぼくが守るから」
その言葉が、耳から離れなかった。
思い出すと、顔が火照った。
これはもしかして、恋だろうか?
「ごめんね、アナ」
エイミーは、ここにはいない恋人に謝った。
そして、眠っているルッカに口づけをした。
恥ずかしくなって、急いでルッカに服を着させる。
エイミーは、焚き火の残り火を消して、空を見上げた。
紅い月。
罪悪感をかき消すように、エイミーはアナのことを考えた。
二人の母親は、仲の良い姉妹だった。
だから、アナとエイミーも、子供の頃から、従姉妹同士、よく一緒に遊んだ。
と言っても、エイミーは養女だったから二人は血の繋がっていない従姉妹だ。
成長し、それぞれの両親が六鬼に殺され、二人は一緒に暮らすようになった。
エイミーは箱入り娘で、世の中のことにうとく、男性とはほとんど関わらずに過ごした。
愚かで、汚らわしい生き物と、母から教わっていた。
いっぽうアナは、虎使いとして並みの男性以上に強く、魅力的だった。
いつしか二人は、女同士、従姉妹同士という壁を超え、恋人になった。
「アナ……あなたは無事?」
とたんにエイミーは寂しくなった。
ルッカに身を寄せて、自分も眠りについた。
息はしていた。
あれからずっと、ルッカは眠り続けている。
もしかしたら死んでしまったのではないかと、不安になっていた。
エイミーは、ルッカの上着を脱がした。
ちょっと恥ずかしくなる。
大人の男性の裸をみるのは、初めてだった。
思ったより引き締まった体つきだった。
小柄で細身だが、しっかりと筋肉はついている。
その体はアザだらけだ。
獣人化していたとはいえ、悪名高き六鬼を相手にしていたのだ。
命があるだけマシと言って良かった。
「ありがとう……」
エイミーは、小声で礼を言った。
そして、イシドラからもらった小瓶の蓋をあけた。
中には、白濁とした軟膏が詰まっている。
消毒臭が鼻を刺激し、エイミーは顔をしかめた。
指ですくい、ルッカの体に落とす。
手のひらで、アザを覆うように広げていった。
ルッカの皮膚の温もりに、エイミー自身も癒される気がした。
アナがやたらと好意的にしていたので、最初は好きになれなかったが、いまはエイミーもルッカに良い印象を持っていた。
クローチェから、生身の体で、身を呈して助けてくれた。
「大丈夫、ぼくが守るから」
その言葉が、耳から離れなかった。
思い出すと、顔が火照った。
これはもしかして、恋だろうか?
「ごめんね、アナ」
エイミーは、ここにはいない恋人に謝った。
そして、眠っているルッカに口づけをした。
恥ずかしくなって、急いでルッカに服を着させる。
エイミーは、焚き火の残り火を消して、空を見上げた。
紅い月。
罪悪感をかき消すように、エイミーはアナのことを考えた。
二人の母親は、仲の良い姉妹だった。
だから、アナとエイミーも、子供の頃から、従姉妹同士、よく一緒に遊んだ。
と言っても、エイミーは養女だったから二人は血の繋がっていない従姉妹だ。
成長し、それぞれの両親が六鬼に殺され、二人は一緒に暮らすようになった。
エイミーは箱入り娘で、世の中のことにうとく、男性とはほとんど関わらずに過ごした。
愚かで、汚らわしい生き物と、母から教わっていた。
いっぽうアナは、虎使いとして並みの男性以上に強く、魅力的だった。
いつしか二人は、女同士、従姉妹同士という壁を超え、恋人になった。
「アナ……あなたは無事?」
とたんにエイミーは寂しくなった。
ルッカに身を寄せて、自分も眠りについた。
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