不死鳥の恋よ、安らかに眠れ
蒼い月の下、聖戦士に囲まれて①
「我は教皇ゼウシスである。そこから出てきて、蒼の神玉を返すがいい」
少女が言った。
ルッカは、迷った。
このままでは、アナは死んでしまう。
彼女の唇は、青白く変色してた。
「ルッカ……ごめんなさい……」
「アナ……!」
アナの唇の端から、血が溢れた。
ルッカは、意を決して、墓石の裏から身を乗り出した。
丘に、聖戦士たちが集結していた。
「蒼の神玉は返す。オレが盗んだんだ。どうなってもいい。でも、この子は無関係なんだ! 助けてやってくれないか?」
ハーメルンが、馬から降り主張した。
「嘘だ! その女が、オレの部屋から鍵を盗んだ! 共犯、いやもしかしたら首謀者かもしれない!」
ハーメルンは、怒りの形相で、剣を抜いた。
「ハーメルンやめろ」
イフテリオスの制止を振り切って、ハーメルンはルッカに突進した。
聖戦士も教皇も、誰も太陽の貴公子を止めなかった。
さすがにこの状況で、聖戦士であるハーメルンが、賊を仕留められないわけがなかった。
せめてもの情けで、自らの手で成敗するチャンスを与えたのだ。
しかし、ルッカの動きは素早かった。
ハーメルンの攻撃を次々と避けていく。
「くそっ! ちょこまかと逃げるな!」
ハーメルンがグレンとの戦いで疲弊していたとはいえ、ルッカの動きは、聖戦士たちを感嘆させた。
苛立ったハーメルンは、矛先を変えた。
墓石の裏側に歩を進める。
気付いたルッカは、先にアナの元に駆け寄った。
アナを抱えて逃げる事は、さすがに無理だ。
「二人とも、ここで死ね!」
ハーメルンは、剣を振りかざした。
ルッカは、墓石に刺さった赤い羽根の矢を抜いた。
それを、素早く投げつける。
矢じりは、ハーメルンの右目を貫いた。
「ぎゃああああ!」
ハーメルンは、後退した。
「ぎゃああああ!」
悲鳴は、蒼い夜にこだました。
「お、おのれ……」
それでも、ハーメルンはルッカに向かって歩き出した。
痛みよりも怒りが勝っていた。
「退け! ハーメルン」
ゼウシスが叫んだ。
「これ以上、見苦しい真似を見せるでない!」
教皇の目配せを了解し、イフテリオスとユーダロスが駆け寄って、ハーメルンを退却させた。
「アイデン!」
「は!」
ゼウシスの命令により、アイデンが矢をつがえた。
ルッカはアナに目を落とす。
「大丈夫か?」
「……」
意識はあったが、辛そうだった。
ルッカは、アナを死角に移動させると、聖戦士たちの前に姿を現した。
「お願いだ、アナを助けてくれないか? 彼女は何も悪くないんだ」
しかし、問答無用で、アイデンの矢は、ルッカの額を狙って放たれた。
少女が言った。
ルッカは、迷った。
このままでは、アナは死んでしまう。
彼女の唇は、青白く変色してた。
「ルッカ……ごめんなさい……」
「アナ……!」
アナの唇の端から、血が溢れた。
ルッカは、意を決して、墓石の裏から身を乗り出した。
丘に、聖戦士たちが集結していた。
「蒼の神玉は返す。オレが盗んだんだ。どうなってもいい。でも、この子は無関係なんだ! 助けてやってくれないか?」
ハーメルンが、馬から降り主張した。
「嘘だ! その女が、オレの部屋から鍵を盗んだ! 共犯、いやもしかしたら首謀者かもしれない!」
ハーメルンは、怒りの形相で、剣を抜いた。
「ハーメルンやめろ」
イフテリオスの制止を振り切って、ハーメルンはルッカに突進した。
聖戦士も教皇も、誰も太陽の貴公子を止めなかった。
さすがにこの状況で、聖戦士であるハーメルンが、賊を仕留められないわけがなかった。
せめてもの情けで、自らの手で成敗するチャンスを与えたのだ。
しかし、ルッカの動きは素早かった。
ハーメルンの攻撃を次々と避けていく。
「くそっ! ちょこまかと逃げるな!」
ハーメルンがグレンとの戦いで疲弊していたとはいえ、ルッカの動きは、聖戦士たちを感嘆させた。
苛立ったハーメルンは、矛先を変えた。
墓石の裏側に歩を進める。
気付いたルッカは、先にアナの元に駆け寄った。
アナを抱えて逃げる事は、さすがに無理だ。
「二人とも、ここで死ね!」
ハーメルンは、剣を振りかざした。
ルッカは、墓石に刺さった赤い羽根の矢を抜いた。
それを、素早く投げつける。
矢じりは、ハーメルンの右目を貫いた。
「ぎゃああああ!」
ハーメルンは、後退した。
「ぎゃああああ!」
悲鳴は、蒼い夜にこだました。
「お、おのれ……」
それでも、ハーメルンはルッカに向かって歩き出した。
痛みよりも怒りが勝っていた。
「退け! ハーメルン」
ゼウシスが叫んだ。
「これ以上、見苦しい真似を見せるでない!」
教皇の目配せを了解し、イフテリオスとユーダロスが駆け寄って、ハーメルンを退却させた。
「アイデン!」
「は!」
ゼウシスの命令により、アイデンが矢をつがえた。
ルッカはアナに目を落とす。
「大丈夫か?」
「……」
意識はあったが、辛そうだった。
ルッカは、アナを死角に移動させると、聖戦士たちの前に姿を現した。
「お願いだ、アナを助けてくれないか? 彼女は何も悪くないんだ」
しかし、問答無用で、アイデンの矢は、ルッカの額を狙って放たれた。
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