不死鳥の恋よ、安らかに眠れ
アナの告白
「ルッカ、蒼の神玉が見てみたい」
報告が終わったあと、アナは言った。
ルッカは、巾着袋の中から、蒼の神玉を取り出した。
両手に収まるくらいの水晶は、手に持つと、ずっしり重い。
アナは、当惑した。
「キレイだけど、何か怖い……」
神玉の蒼には、渦巻く黒い霧のようなものが混ざっていた。
「なんで、君はこれを盗ませたんだい?」
ルッカは、思い切って尋ねた。
「ルッカ……それを聞いて、私のことを嫌いにならない?」
「ならないさ。今、両親に誓ったばかりじゃないか」
「そう……」
アナはうつむいた。
「あの男……ハーメルンが、蒼の神玉の護りを任されていた。だから、それに失敗すれば、彼の名誉も栄光も、地に堕ちると思ったからよ」
「ハーメルンって、あの金髪の……君がいたあの部屋の男……」
さすがのルッカも、表情が曇った。
二人が裸でいたことも思い出したのだ。
「私は、聖歌隊の用事で大聖堂に行ったとき、彼の部屋に招かれた。そして、酷いことをされた。そのことを父に伝えると、父も殺された」
「あいつが、君のお父さんを殺したのか……なんてことだ」
アナの瞳に、涙で潤んだ。
「そのあとも、私は何度も彼の部屋に呼ばれたの。とてもあなたに言えないような、淫らなことをさせられたわ」
二人は、しばらく沈黙した。
「やっぱり私のことを嫌いになったかな?」
アナの質問に、ルッカ首を横に振った。
「違う……ちょっと驚いただけさ」
アナは、続けた。
「私は、あの男に復讐をしたかったの。それで、私のためだったら何でもするっていう、あなたの好意を利用したの」
アナの瞳から涙が溢れ出し、いく筋も頰を伝って流れ落ちた。
「ごめんなさい……」
ルッカは、アナの体を引き寄せる。
「いいんだ……。ありがとう、本当のことを言ってくれて。これで、本物の夫婦になれそうな気がする」
「ルッカ……」
アナは、ルッカの胸に顔を埋めた。
落ち着いてから、顔を上げると、
「私、もう一度ルッカのご両親にお礼を言いたい」
そう言って、ルッカから離れて、墓の前に進んだ。
危ない!
すると頭の中で、声が聞こえた。
魔の声。
「きゃ!」
一本の矢が、アナの背中を貫いた。
赤い羽根が付いていた。
「アナ!」
ルッカは駆け寄った。
森の闇から、追撃の閃光が放たれた。
ルッカは、アナの体を抱き寄せて、墓石の裏側に身を隠す。
「アナ!」
どくどくと血が流れ、ルッカの手を濡らしていた。
墓石の横に、甲高い音を立てて、矢が突き刺さった。
飛んできた方向を覗き込むと、馬に乗った集団がいた。
教会の聖印が刻まれた甲冑の集団。
蒼い目をした小柄な少女を中心にして、彼らは近づいてきた。
報告が終わったあと、アナは言った。
ルッカは、巾着袋の中から、蒼の神玉を取り出した。
両手に収まるくらいの水晶は、手に持つと、ずっしり重い。
アナは、当惑した。
「キレイだけど、何か怖い……」
神玉の蒼には、渦巻く黒い霧のようなものが混ざっていた。
「なんで、君はこれを盗ませたんだい?」
ルッカは、思い切って尋ねた。
「ルッカ……それを聞いて、私のことを嫌いにならない?」
「ならないさ。今、両親に誓ったばかりじゃないか」
「そう……」
アナはうつむいた。
「あの男……ハーメルンが、蒼の神玉の護りを任されていた。だから、それに失敗すれば、彼の名誉も栄光も、地に堕ちると思ったからよ」
「ハーメルンって、あの金髪の……君がいたあの部屋の男……」
さすがのルッカも、表情が曇った。
二人が裸でいたことも思い出したのだ。
「私は、聖歌隊の用事で大聖堂に行ったとき、彼の部屋に招かれた。そして、酷いことをされた。そのことを父に伝えると、父も殺された」
「あいつが、君のお父さんを殺したのか……なんてことだ」
アナの瞳に、涙で潤んだ。
「そのあとも、私は何度も彼の部屋に呼ばれたの。とてもあなたに言えないような、淫らなことをさせられたわ」
二人は、しばらく沈黙した。
「やっぱり私のことを嫌いになったかな?」
アナの質問に、ルッカ首を横に振った。
「違う……ちょっと驚いただけさ」
アナは、続けた。
「私は、あの男に復讐をしたかったの。それで、私のためだったら何でもするっていう、あなたの好意を利用したの」
アナの瞳から涙が溢れ出し、いく筋も頰を伝って流れ落ちた。
「ごめんなさい……」
ルッカは、アナの体を引き寄せる。
「いいんだ……。ありがとう、本当のことを言ってくれて。これで、本物の夫婦になれそうな気がする」
「ルッカ……」
アナは、ルッカの胸に顔を埋めた。
落ち着いてから、顔を上げると、
「私、もう一度ルッカのご両親にお礼を言いたい」
そう言って、ルッカから離れて、墓の前に進んだ。
危ない!
すると頭の中で、声が聞こえた。
魔の声。
「きゃ!」
一本の矢が、アナの背中を貫いた。
赤い羽根が付いていた。
「アナ!」
ルッカは駆け寄った。
森の闇から、追撃の閃光が放たれた。
ルッカは、アナの体を抱き寄せて、墓石の裏側に身を隠す。
「アナ!」
どくどくと血が流れ、ルッカの手を濡らしていた。
墓石の横に、甲高い音を立てて、矢が突き刺さった。
飛んできた方向を覗き込むと、馬に乗った集団がいた。
教会の聖印が刻まれた甲冑の集団。
蒼い目をした小柄な少女を中心にして、彼らは近づいてきた。
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