不死鳥の恋よ、安らかに眠れ

ノベルバユーザー304215

封印の部屋②

「ああ……んっ」

 ゼウシスは、されるがままだった。

 背中に聖遺物を敷き、淫らに喘いでいた。

「もっと、もっと……!」

 瞳は潤み、とろんとしていて、口の端から涎を垂らしている。

 これが、神の代弁者たる教皇といえるのか。

 ハーメルンは手を抜かなかった。

 ただの淫乱ではないか。

 封印の部屋は、まるで物置のようだった。

 埃っぽく、土器や水晶、人形、彫刻などが、雑然と納められている。

 全て、神にまつわる聖遺物だという。

 しかし、二人には関係なかった。

 封印の部屋で、二人は激しくやり合った。

 この、冒瀆者めが。

 部屋にいた何者かが、そう呟いた。 

「はぁ、はぁ……何か言った?」

「……さて」

 ハーメルンは、ゼウシスの腰を乱暴に抱えて、体位を変えた。

「え? なに?……あっ……あああぁッ!」

 新たな快感を前に、ゼウシスの疑念はかき消えた。

 姿なき何者かも、それ以上は何もつぶやかない。
 
 ハーメルンは、長く、強く突いた。

 普通の女ならば、すでに失神してしいるところだったが、新教皇は違った。

「……もっと、もっとよ! まだ、足りないわ」

 貪欲に求めてきた。

 簡単に果てるわけにはいかないな。

 もはや、我慢比べだ。

 そう思ってさらに力を込めると、ゼウシスはするりと逃げた。

 回り込んで、ハーメルンの背中を床に押し付ける。

「今度は、私がやってあげる」

 ゼウシスは、肘をついて、目の前にそそり立ったものを眺めた。

「こんな大きいの、初めてよ……ぬめぬめしている……興奮しているのね……」

 そして、うっとり見つめていたかと思うと、突然、捻り上げる。

「!!」

 ハーメルンは硬直した。

「あら、かわいい」

 ゼウシスは、笑った。

 彼女は、指と舌を使って、お返しとばかりに、強く、激しく愛撫した。

 緊張と緩和の連続。

 ハーメルンは今までにない快感に驚いた。

 これで、前教皇を落としたのか。

 そして、自らを、次の教皇に指名させた。

 ふと、別の考えが頭をよぎる。

 前教皇は、事故死だったというが、本当にそうだろうか。

 もしかしたら、それもこの女の仕業ではないか。

 快楽に身を委ねながら、心の中でつぶやいた。

 恐ろしいアバズレめ。

 ハーメルンは、自分のモノを咥えこんでいるゼウシスの顔に視線を向けた。

 どきりとした。

 蒼い瞳が見つめ返していた。

 まるで二つの月のように。

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