不死鳥の恋よ、安らかに眠れ
父への告白
「お父様」
父、イーガン=クレイブソルトが寝室を訪れた。
就寝前の祈りを、私と一緒に行うためだ。
両親の、毎日の日課だった。
必ずどちらかが、娘と共に感謝の祈りを神に捧げる。
父は、城に使える事務官として、地位と富を得ていた。
しかし、人柄は謙虚だった。
幸運と自分の実力を勘違いして、怠慢になりたくない。
さらに勤勉で、誠実。
王からの信頼も厚いと、周りの大人たちからは聞かされている。
そんな父を、私は誇りに思っている。
「お父様にお伝えしたいことがあります」
「どうしたんだい? そんなにかしこまって」
私の様子に、ただ事では何かを感じ取ったようだ。
イーガンの顔が真剣になった。
私は、大聖堂での出来事を話した。
太陽の貴公子ハーメルンにされた仕打ちを。
話している途中で涙が溢れた。
イーガンは、愕然とした表情で聞いていた。
話し終わると、メイドと母が呼ばれた。
「これから出かけてくる。アナのことをよろしく頼む」
「どこへ?」
「大聖堂だ。奴に会って、ことの真偽を確かめてくる。いや、アナを疑っているわけではない。しかし、私も親として、一言言ってやらねば気がすまぬ」
母は泣いてる私を抱きしめてくれたが、事情がわからず不安そうだった。
「アナ、父に任せておけ。必ず奴に報いを受けさせてやる。いくら聖戦士であろうと、法がお前を守ってくれる」
父は、力強くうなずいた。
珍しく起こっているのが、傍目にもわかった。
「お父様」
私は涙が止まらなかった。
父にあの出来事を語っただけで、こんなにも心が軽くなるとは。
同時に、父に負担をかけてしまって、心苦しかった。
「心配するな。うちでも腕っぷしの強い従者を何人か連れて行く」
しかし、それが父を見た最期となった。
翌朝、父が連れて行った従者と共に、父はウル湖に死体として浮かんでいた。
私は、それがハーメルンの仕業であることをすぐに了解したが、母にも誰にも伝えなかった。
父の二の舞にらなるのは明らかだ。
だから、私は心を閉ざした。
大好きな歌も、心から楽しめることはなくなった。
それでも、長い間聖歌隊を休むことは出来なかった。
普段の生活に戻らねば、母も悲しむ。
教会で練習していると先生から、呼ばれた。
外へ出ると馬車に乗せられた。
そこで待っていたのは、金髪の貴公子だ。
「久しぶりアナ」
馬車が動き出した。
私の体は、震えだした。
「聖歌の練習中です……戻らないと」
声も震えていた。
もはや、逃げられないのはわかっていた。
「大丈夫、オレから先生には言ってある」
ハーメルンは、じっと私を見つめていた。
「少し付き合え。これから、オレの部屋に行こう。君は約束を破った。お仕置きをしないとなぁ」
父、イーガン=クレイブソルトが寝室を訪れた。
就寝前の祈りを、私と一緒に行うためだ。
両親の、毎日の日課だった。
必ずどちらかが、娘と共に感謝の祈りを神に捧げる。
父は、城に使える事務官として、地位と富を得ていた。
しかし、人柄は謙虚だった。
幸運と自分の実力を勘違いして、怠慢になりたくない。
さらに勤勉で、誠実。
王からの信頼も厚いと、周りの大人たちからは聞かされている。
そんな父を、私は誇りに思っている。
「お父様にお伝えしたいことがあります」
「どうしたんだい? そんなにかしこまって」
私の様子に、ただ事では何かを感じ取ったようだ。
イーガンの顔が真剣になった。
私は、大聖堂での出来事を話した。
太陽の貴公子ハーメルンにされた仕打ちを。
話している途中で涙が溢れた。
イーガンは、愕然とした表情で聞いていた。
話し終わると、メイドと母が呼ばれた。
「これから出かけてくる。アナのことをよろしく頼む」
「どこへ?」
「大聖堂だ。奴に会って、ことの真偽を確かめてくる。いや、アナを疑っているわけではない。しかし、私も親として、一言言ってやらねば気がすまぬ」
母は泣いてる私を抱きしめてくれたが、事情がわからず不安そうだった。
「アナ、父に任せておけ。必ず奴に報いを受けさせてやる。いくら聖戦士であろうと、法がお前を守ってくれる」
父は、力強くうなずいた。
珍しく起こっているのが、傍目にもわかった。
「お父様」
私は涙が止まらなかった。
父にあの出来事を語っただけで、こんなにも心が軽くなるとは。
同時に、父に負担をかけてしまって、心苦しかった。
「心配するな。うちでも腕っぷしの強い従者を何人か連れて行く」
しかし、それが父を見た最期となった。
翌朝、父が連れて行った従者と共に、父はウル湖に死体として浮かんでいた。
私は、それがハーメルンの仕業であることをすぐに了解したが、母にも誰にも伝えなかった。
父の二の舞にらなるのは明らかだ。
だから、私は心を閉ざした。
大好きな歌も、心から楽しめることはなくなった。
それでも、長い間聖歌隊を休むことは出来なかった。
普段の生活に戻らねば、母も悲しむ。
教会で練習していると先生から、呼ばれた。
外へ出ると馬車に乗せられた。
そこで待っていたのは、金髪の貴公子だ。
「久しぶりアナ」
馬車が動き出した。
私の体は、震えだした。
「聖歌の練習中です……戻らないと」
声も震えていた。
もはや、逃げられないのはわかっていた。
「大丈夫、オレから先生には言ってある」
ハーメルンは、じっと私を見つめていた。
「少し付き合え。これから、オレの部屋に行こう。君は約束を破った。お仕置きをしないとなぁ」
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