不死鳥の恋よ、安らかに眠れ
薔薇の蕾の恋②
「これで……いいでしょうか?」
私は、ハーメルンの言いなりだった。
「ダメだ。もっと開け、足を広げろ」
「痛い……!」
私の感情は無視された。
屈強な戦士の力に物を言わせて、彼は私の体を開き、何度も何度も執拗に突いた。
体が壊れるかと思った。
この時ばかりは、美しい貴公子も、恐ろしい顔をしていた。
猛獣、ケダモノ、鬼。
いろいろな言葉が頭に浮かんだが、口にしたら、命が危い。
だから、私は耐えた。
痛みに、恐怖に、屈辱に。
「もっと声を出せ」
ハーメルンは、私の弱い部分に爪を食い込ませた。
唇から、自分のものとは思えない悲鳴が迸った。
私のどこからか、熱い血が流れていた。
彼は、喜んでいる。
笑っている。
時が止まったのかと思うほど、ものすごく長い時間に感じられた。
最後に彼は、自分の体液で私を汚した。
「帰れ」
唐突にそう言うと、聖歌隊の服を投げつけられた。
「これからも、オレに呼ばれたら、すぐに来るんだ」
ハーメルンは、無表情で私を見下していた。
「オレの言葉に嘘はない。お前は美しい。だから、また抱いてやる。オレは教皇様に、神玉の守護を承った。聖戦士の中でも、一番の勇者である証だ。お前も誇りに思うがいい」
彼の言っていることの半分も耳に入らなかった。
この場から、早く逃れたかった。
私は、急いで服を着た。
そのまま出て行こうとしたら、ふたたび剣を突きつけられた。
「返事は、どうした?」
「……はい、わかりました。ハーメルン様に抱かれることを、誇りに思います」 
震える声で、何とか答えた。
「わかっているな? このことを誰かに話せば、そいつの命はない。例えそれが、お前の父や母だろうとだ」
彼の目は、本気だった。
「もちろんです、誰にも言いません」
未来が真っ暗になった気がした。
それ以上は、引き止められなかった。
私は誰にも見られないように、大聖堂を後にした。
もうすっかり日は暮れている。
空には、蒼い三日月が昇っていた。
家に帰る気にはなれなかった。
私の足は、自分でも自覚しないままに、湖へと向かっていた。
暗い湖面の向こう側に、星のような光が輝いている。
ここで身を投げようか。
私は、湖のほとりを歩く。
死んでしまえば、何もかも忘れられる。
思えば、私には何かが欠けていたのだ。
それは、経験なのか、教養なのか、慎重さなのか。
もしくは、その全てなのかもしれない。
死のう。
そう決断した。
そのときだ。
頭上から、音楽が聞こえた。
弦楽器の響き。
優しく、心を落ち着かせる旋律。
暖かい風が吹いた。
そうだ。
私には唄がある。
服を抜いで、湖に足を踏み入れた。
汚れた体を洗い流そう。
唇から、メロディが溢れ出た。
今の私にぴったりの曲だ。
不死鳥の恋よ、安らかに眠れ。
私が自分を慰めるように、歌を口ずさんでいると、不意に、少年が現れた。
私は、ハーメルンの言いなりだった。
「ダメだ。もっと開け、足を広げろ」
「痛い……!」
私の感情は無視された。
屈強な戦士の力に物を言わせて、彼は私の体を開き、何度も何度も執拗に突いた。
体が壊れるかと思った。
この時ばかりは、美しい貴公子も、恐ろしい顔をしていた。
猛獣、ケダモノ、鬼。
いろいろな言葉が頭に浮かんだが、口にしたら、命が危い。
だから、私は耐えた。
痛みに、恐怖に、屈辱に。
「もっと声を出せ」
ハーメルンは、私の弱い部分に爪を食い込ませた。
唇から、自分のものとは思えない悲鳴が迸った。
私のどこからか、熱い血が流れていた。
彼は、喜んでいる。
笑っている。
時が止まったのかと思うほど、ものすごく長い時間に感じられた。
最後に彼は、自分の体液で私を汚した。
「帰れ」
唐突にそう言うと、聖歌隊の服を投げつけられた。
「これからも、オレに呼ばれたら、すぐに来るんだ」
ハーメルンは、無表情で私を見下していた。
「オレの言葉に嘘はない。お前は美しい。だから、また抱いてやる。オレは教皇様に、神玉の守護を承った。聖戦士の中でも、一番の勇者である証だ。お前も誇りに思うがいい」
彼の言っていることの半分も耳に入らなかった。
この場から、早く逃れたかった。
私は、急いで服を着た。
そのまま出て行こうとしたら、ふたたび剣を突きつけられた。
「返事は、どうした?」
「……はい、わかりました。ハーメルン様に抱かれることを、誇りに思います」 
震える声で、何とか答えた。
「わかっているな? このことを誰かに話せば、そいつの命はない。例えそれが、お前の父や母だろうとだ」
彼の目は、本気だった。
「もちろんです、誰にも言いません」
未来が真っ暗になった気がした。
それ以上は、引き止められなかった。
私は誰にも見られないように、大聖堂を後にした。
もうすっかり日は暮れている。
空には、蒼い三日月が昇っていた。
家に帰る気にはなれなかった。
私の足は、自分でも自覚しないままに、湖へと向かっていた。
暗い湖面の向こう側に、星のような光が輝いている。
ここで身を投げようか。
私は、湖のほとりを歩く。
死んでしまえば、何もかも忘れられる。
思えば、私には何かが欠けていたのだ。
それは、経験なのか、教養なのか、慎重さなのか。
もしくは、その全てなのかもしれない。
死のう。
そう決断した。
そのときだ。
頭上から、音楽が聞こえた。
弦楽器の響き。
優しく、心を落ち着かせる旋律。
暖かい風が吹いた。
そうだ。
私には唄がある。
服を抜いで、湖に足を踏み入れた。
汚れた体を洗い流そう。
唇から、メロディが溢れ出た。
今の私にぴったりの曲だ。
不死鳥の恋よ、安らかに眠れ。
私が自分を慰めるように、歌を口ずさんでいると、不意に、少年が現れた。
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