神研推学園……人とはなんぞ?

碧桜

序章「始業式前の課題」

 キーンコーンカーンコーン。
「では、解答を終了してください。答案用紙を回収します。そのまま席でお待ちください」
 試験終了の合図。これが最後の試験科目のため、これで入学試験は終了。
 後は試験担当の方が答案を回収し、問題なしであればそのまま帰宅することができる。

 はずなのだが……。



 チッチッチッチッ。時計の針の音が異常に大きく感じる。そして長い。
 一分、二分、三分……。いったいどれだけの時間が経った? いつまで待たせる気だ?

「ねえ、遅くない?」
「早く帰りたいんだけど……」

「というか、この試験問題の意味が分からん」
「俺もそれ思った。今までの勉強を真っ向から否定するかのような問題だったな」
「偏差値とは? って感じ」

 あちらこちらで声が発せられ、徐々に教室内がざわつき始める。


 気持ちはわかる。この試験問題は確かに常軌を逸している。僕は問題用紙と解答用紙を眺めながらため息を吐く。すると、後ろから肩をトントンと軽く叩かれた。

「ねぇねぇ」
「ん?」

 振り返ると女の子が僕を呼んでいた。

「試験どうだった?」
「あ、あぁ……とんでもない問題で今まで受けた試験で一番難しかったかな」
「だよねー。こんなの対策しようがないものね」

 ああ。本当にふざけている。



――神秘研究推進学園入学試験――
 問題は一問のみ。あなたの思うことをありのままに記述してください。遠慮は無用です。何字でも構いません。健闘を祈ります。
【問題】
・面白いことを書きなさい。
――――――――――――――――



「皆さん、お待たせしました。それでは、答案用紙を回収いたします」

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