鮮血の殺戮者と呼ばれた英雄 〜葛藤の先に見る景色〜
No.8 『三人組鬼ごっこ』
レイル、ロイド、ルルの三人は逃げていた。
がむしゃらに。ただ見つからないように。
何から?
それは勿論、鬼からだ。汗水垂らしながら、必死に先へ先へと三人は駆けた。駆け続けた。何処からやってくるのかも分からない鬼から彼等は逃げる為に。
逃げる先に見えたのは崖。レイル、ロイドは思い切りジャンプして飛び越える事ができた。
だがルルは飛び越える事が出来ずにおどおどしている。
「早く来い! ルル! 鬼が来るぞ!」
「むっ無理だよ! こんなの無理だよ!」
三人の中で一番身体能力が劣るルル。やはり無理があるのか。そんなことを思っていると後ろから鬼がやってきた。雷鳴の女帝アルバルク・ローザが。
✢✢✢
昼飯を食べ終え、特に何もする事が無かったレイルとルルは二人図書館へと足を運んでいた。
まだ見ぬ世界を知る事ができる小さな図書館。ここには世界の資料が集まっており、この場所にしか無い貴重な資料もあるのだ。しかし歴史書の大半が未だ解読されていないものが多い。
二人はまだ自然界に発生する氷、大地を覆う塩の湖を知らない。
古代書に残された先人達の知恵や記述に魅了され、二人はページを捲っていく。更に二人の想像は膨らんでいく。
この世界の果てには『氷の大地』があったり、『消えない炎』、『天まで届く大地の樹』があると言い合った。その姿に微笑ましい表情を浮かべる老人が一人。
老人の名はアルバス・セルフネイル。図書館の管理人を務める王家の血を継ぐ者である。
そんな時だった。収容所のあちこちに設置されているスピーカーから声がしたのは。
「よしっ。てめぇーら全員集まりやがれぇー。実践訓練を行うぞ」
その声に合わせ、箱庭に集められた兵士達。三人一組を作れの指示でレイル、ロイド、ルルはチームを組んだ。
「おいっ。ルーキー達。気を引き締めた方がいいぜ。姐さんの機嫌がちょいとばかり今日は悪そうだから」
喋りかけてきた坊主頭の色黒男。日焼けサロンに毎日通っているのかと言いたくなるほどに黒い男だ。
服の上からでも分かる筋肉を持っており、Tシャツはピチピチである。サイズの大きい物を着ろと思うのも山々だが、それが一番大きいサイズなのである。
「どういうことだよ。機嫌が悪いって」
「おい。そこの坊主頭。上官が喋っている時にコソコソと貴様、お仕置きが必要か?」
「と、とんでもねぇー。ちょいと口が滑っただけでやんすよ」
「ほぉー。そうか。ならば、その口を塞いでやろうか?」
「やめてくださぇー。俺はそんなつもりは」
「まぁ、良かろう。本番は今からなのだからな。今から貴様達には鬼ごっこを行ってもらう。鬼は私、アルバルク・ローザとデルバール・アルト長官の二人だけだ。
何か質問のある奴は?」
すると一人が言った。
「鬼は変わるのでしょうか?」
「いや、変わりはしない。私達二人がずっと鬼だ」
「なんだ。簡単じゃん」
「ふっ、そう思うのは自由だ。それとお前等が逃げる前に今からチーム毎にバッチを引いてもらう。
そのバッチには番号が書いてある。その番号と同じ番号を持つチームからバッチを奪え。一時間私達に捕まらないチームの勝利だ」
(補足説明)
・バッチは胸元に付けていなければならない。
・三人組の内、一人でも捕まるとGAME OVER。
・バッチを引く順番はじゃんけんで負けた順であり、必ず引いた時にバッチを着けなければならない。最後のチームがバッチを引いてから五分後にゲーム開始。
(つまり、じゃんけんで負けたチームは他プレイヤーのバッチ番号が分からない。但し、出来るだけ遠くへ逃げる事が出来る。逆に最後のチームは各チームがどの番号のバッチを持っているのか分かるので有利に動ける。但し、ゲーム開始時に遠くへ逃げる事が出来ない)
・ゲーム時間は一時間。一時間毎になる鐘の音がゲーム終了の合図。
がむしゃらに。ただ見つからないように。
何から?
それは勿論、鬼からだ。汗水垂らしながら、必死に先へ先へと三人は駆けた。駆け続けた。何処からやってくるのかも分からない鬼から彼等は逃げる為に。
逃げる先に見えたのは崖。レイル、ロイドは思い切りジャンプして飛び越える事ができた。
だがルルは飛び越える事が出来ずにおどおどしている。
「早く来い! ルル! 鬼が来るぞ!」
「むっ無理だよ! こんなの無理だよ!」
三人の中で一番身体能力が劣るルル。やはり無理があるのか。そんなことを思っていると後ろから鬼がやってきた。雷鳴の女帝アルバルク・ローザが。
✢✢✢
昼飯を食べ終え、特に何もする事が無かったレイルとルルは二人図書館へと足を運んでいた。
まだ見ぬ世界を知る事ができる小さな図書館。ここには世界の資料が集まっており、この場所にしか無い貴重な資料もあるのだ。しかし歴史書の大半が未だ解読されていないものが多い。
二人はまだ自然界に発生する氷、大地を覆う塩の湖を知らない。
古代書に残された先人達の知恵や記述に魅了され、二人はページを捲っていく。更に二人の想像は膨らんでいく。
この世界の果てには『氷の大地』があったり、『消えない炎』、『天まで届く大地の樹』があると言い合った。その姿に微笑ましい表情を浮かべる老人が一人。
老人の名はアルバス・セルフネイル。図書館の管理人を務める王家の血を継ぐ者である。
そんな時だった。収容所のあちこちに設置されているスピーカーから声がしたのは。
「よしっ。てめぇーら全員集まりやがれぇー。実践訓練を行うぞ」
その声に合わせ、箱庭に集められた兵士達。三人一組を作れの指示でレイル、ロイド、ルルはチームを組んだ。
「おいっ。ルーキー達。気を引き締めた方がいいぜ。姐さんの機嫌がちょいとばかり今日は悪そうだから」
喋りかけてきた坊主頭の色黒男。日焼けサロンに毎日通っているのかと言いたくなるほどに黒い男だ。
服の上からでも分かる筋肉を持っており、Tシャツはピチピチである。サイズの大きい物を着ろと思うのも山々だが、それが一番大きいサイズなのである。
「どういうことだよ。機嫌が悪いって」
「おい。そこの坊主頭。上官が喋っている時にコソコソと貴様、お仕置きが必要か?」
「と、とんでもねぇー。ちょいと口が滑っただけでやんすよ」
「ほぉー。そうか。ならば、その口を塞いでやろうか?」
「やめてくださぇー。俺はそんなつもりは」
「まぁ、良かろう。本番は今からなのだからな。今から貴様達には鬼ごっこを行ってもらう。鬼は私、アルバルク・ローザとデルバール・アルト長官の二人だけだ。
何か質問のある奴は?」
すると一人が言った。
「鬼は変わるのでしょうか?」
「いや、変わりはしない。私達二人がずっと鬼だ」
「なんだ。簡単じゃん」
「ふっ、そう思うのは自由だ。それとお前等が逃げる前に今からチーム毎にバッチを引いてもらう。
そのバッチには番号が書いてある。その番号と同じ番号を持つチームからバッチを奪え。一時間私達に捕まらないチームの勝利だ」
(補足説明)
・バッチは胸元に付けていなければならない。
・三人組の内、一人でも捕まるとGAME OVER。
・バッチを引く順番はじゃんけんで負けた順であり、必ず引いた時にバッチを着けなければならない。最後のチームがバッチを引いてから五分後にゲーム開始。
(つまり、じゃんけんで負けたチームは他プレイヤーのバッチ番号が分からない。但し、出来るだけ遠くへ逃げる事が出来る。逆に最後のチームは各チームがどの番号のバッチを持っているのか分かるので有利に動ける。但し、ゲーム開始時に遠くへ逃げる事が出来ない)
・ゲーム時間は一時間。一時間毎になる鐘の音がゲーム終了の合図。
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