鮮血の殺戮者と呼ばれた英雄 〜葛藤の先に見る景色〜
No.5 『Start』
黒光りする銃を片手に鏡に向けると、そこからもうひとりの俺が現れた。銀髪の俺だ。
奴は自分の声を『僕』と呼び、俺に元の自分に戻れと誘ってくる。でも俺はもう『僕』にはなれない。なりたくない。
「僕を拒絶しないで。僕を一人にしないで」
奴は俺に問い掛ける。何度も何度も助けの声を上げる。
それでも俺は奴の手を握り締める事は疎か、銃口を向けていた。
バンッ……。鏡が勢い良く割れ、ガラスが飛び散った。
後片付けをする事も無く、俺は孤児院へ向かった。
ここは戦争を目的とした少年少女を育成する機関。
少年少女は皆、武器を巧みに操り、人を殺す手段を持っている。人を殺す能力さえあれば戦力になる。
だから国は孤児院組の子供達が13歳になると、戦場へ向かわせるのだ。
「あんなにも楽しく遊んでいる子供達を戦場へ送り込むなんて……この世界は腐ってやがる」
俺がポツリと呟くと後ろから肩を叩かれた。後ろを振り向くと
金髪の女が居た。ショートヘアだ。
「おい。お前誰だ……?」
「誰だってね。君さ、もう少し自分の視野を広げた方がいいよ。あちゃー、本当に困ったなぁー。それと名前を尋ねる時は自分の名前から言うこと。ここ重要だよ。でもまぁ、いっか。私は貴方の名前を知ってるわけだし。鮮血の殺戮者さん」
「良いから教えろ。お前は何者だ。機関の者か? それとも上の連中か?」
金髪女は不敵な笑みを溢し、口元を緩めた。
「じゃあ、私がそういう人達だったらどうするの?」
それは勿論決まってる。俺は胸元から銃を取り出した。
「撃つに決まってんだろ?」
銃口を向けられた金髪女は手を上に上げ、「参ったなぁー」と漏らした。
「もう一度問うぞ。お前は何者だ。あ、一応言っておくが、口には気をつけろ。銃は言う事を聞かないからな」
「はいはい。分かったわよ。それで名前を言えばいいのね。私の名前はアリア。革命軍の一人よ」
「革命軍……?」
「そう、革命軍。この世界の上の連中に歯向かう荒くれ者達が集まった組織、革命軍。以前から貴方の噂は耳にしていたわ」
「それでどういうつもりだ? 俺にもう一度戦場へ戻れとでも言うのか?」
「違うわよ。戦うのよ。上の奴等と。貴方、今ずっと悩んでいるんでしょ? どうすれば良いのかって」
「どこからそれを……」
「そんなこと勿論聞いてるわよ。全部全部、聞いてるわよ」
アリアはペンダントを握りしめた。何処か震えていた。
「大丈夫だ。安心しろ。ここは戦場じゃない。それに何かここで起きれば、俺が守ってやる。約束しよう」
「あ、ありがと……。それと、君はこの街で有名人なんだからさ。顔を隠すなり、目立たない格好をした方が良いよ。
そ、それより……早く行こっか。革命軍のアジトへ」
「えっ? ちょっと待ってて」
アリアに導かれる様に赤の車に乗せられた俺。
「飛ばしますよぉー」
アリアの言葉通り、車は超速スピードで発進した。
奴は自分の声を『僕』と呼び、俺に元の自分に戻れと誘ってくる。でも俺はもう『僕』にはなれない。なりたくない。
「僕を拒絶しないで。僕を一人にしないで」
奴は俺に問い掛ける。何度も何度も助けの声を上げる。
それでも俺は奴の手を握り締める事は疎か、銃口を向けていた。
バンッ……。鏡が勢い良く割れ、ガラスが飛び散った。
後片付けをする事も無く、俺は孤児院へ向かった。
ここは戦争を目的とした少年少女を育成する機関。
少年少女は皆、武器を巧みに操り、人を殺す手段を持っている。人を殺す能力さえあれば戦力になる。
だから国は孤児院組の子供達が13歳になると、戦場へ向かわせるのだ。
「あんなにも楽しく遊んでいる子供達を戦場へ送り込むなんて……この世界は腐ってやがる」
俺がポツリと呟くと後ろから肩を叩かれた。後ろを振り向くと
金髪の女が居た。ショートヘアだ。
「おい。お前誰だ……?」
「誰だってね。君さ、もう少し自分の視野を広げた方がいいよ。あちゃー、本当に困ったなぁー。それと名前を尋ねる時は自分の名前から言うこと。ここ重要だよ。でもまぁ、いっか。私は貴方の名前を知ってるわけだし。鮮血の殺戮者さん」
「良いから教えろ。お前は何者だ。機関の者か? それとも上の連中か?」
金髪女は不敵な笑みを溢し、口元を緩めた。
「じゃあ、私がそういう人達だったらどうするの?」
それは勿論決まってる。俺は胸元から銃を取り出した。
「撃つに決まってんだろ?」
銃口を向けられた金髪女は手を上に上げ、「参ったなぁー」と漏らした。
「もう一度問うぞ。お前は何者だ。あ、一応言っておくが、口には気をつけろ。銃は言う事を聞かないからな」
「はいはい。分かったわよ。それで名前を言えばいいのね。私の名前はアリア。革命軍の一人よ」
「革命軍……?」
「そう、革命軍。この世界の上の連中に歯向かう荒くれ者達が集まった組織、革命軍。以前から貴方の噂は耳にしていたわ」
「それでどういうつもりだ? 俺にもう一度戦場へ戻れとでも言うのか?」
「違うわよ。戦うのよ。上の奴等と。貴方、今ずっと悩んでいるんでしょ? どうすれば良いのかって」
「どこからそれを……」
「そんなこと勿論聞いてるわよ。全部全部、聞いてるわよ」
アリアはペンダントを握りしめた。何処か震えていた。
「大丈夫だ。安心しろ。ここは戦場じゃない。それに何かここで起きれば、俺が守ってやる。約束しよう」
「あ、ありがと……。それと、君はこの街で有名人なんだからさ。顔を隠すなり、目立たない格好をした方が良いよ。
そ、それより……早く行こっか。革命軍のアジトへ」
「えっ? ちょっと待ってて」
アリアに導かれる様に赤の車に乗せられた俺。
「飛ばしますよぉー」
アリアの言葉通り、車は超速スピードで発進した。
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