行列!異世界の動物園~魔王が園長です。

ノベルバユーザー303849

第五十話 城からの脱出



 冬太達は現在、一人ずつ部屋に入れられ軟禁状態になっている。
 この城には転移防止するための結界が張ってあり、ドアの前には屈強な兵士が立っていて外に出ることができない。
 さてどうするかと考えていると、ドアの向こう側てでドサッと音がしたと思ったら、ドアを開けて黒装束の誰かが入ってくる。「っ、あなたは!?」




            ◆◆◆


 一方その頃魔王国は荒れていた。


「皇太子がクーデター!? バルっちは何をやっていたんだ情けない。で冬太達の返還要求には答えたのか?」


「いいえ、拒否されました。どうなされます?救出班を作って向かわせますか?」


「いや、それは、綱っちに任せてある。それよりも竜王達が人間側についたのがまずい。なんとか和平交渉出来ればいいが」


「何を言ってんだぁ? あのシリウス·ブラッドリリーとどちらが最強か議論されているお方が情けねぇ。あっちからケンカをふっかけてきたんだ。このケンカ買うしかねぇだろうが!!」


「うちもカリオンさんに賛成やわ。あっちから手を出してきてくれたのだから、きがねなく殺せますやろ? 竜王と竜達が居たところで、うちらに勝てるとは思えへんけど」


 魔王と宰相リリスの話に割り込んできたのは、四天王の一人のカリオン元帥、参謀長も勤めるキョウカ元帥である。
 四天王は白狼剣のランガ、悪夢のリリス、獣牙のカリオン、九尾のキョウカで構成されている。


「待て、やっと平和を掴んだのだ。そう簡単に戦争をするわけにはいかん。お主らだって戦争の虚しさを知っているだろ?」


「随分腑抜けになっちまったな魔王様よぉ。その和平交渉とやらはリリスと二人でするんだな! 俺様は好き勝手暴れさせてもらう」


 そう言ってカリオンは部屋から出ていく。


「謀りましたねキョウカ。魔王様がパーティーに出席出来ないように魔王案件の仕事を作りましたね」


「それは誤解やわぁ。うちはただ魔王様じゃないと解決できない案件ができたしまったからそちらに回しただけで、パーティーに参加できなかったのは、偶然や。でも魔王様がパーティーに参加してなくてよかったなぁ。もし魔王様が人質にされたら降伏するしかあらへんもんなぁ。ほな、うちも戦争の準備があるさかいここで失礼させてもらいますわぁ」


 キョウカも部屋から出ていく。


「女狐め! キョウカのあの感じだと、人間界の人間と繋がっていた可能性があります。救出する対象は冬太さん、エスナさん、ランガ、皇帝陛下と皇后様とあちらの宰相。
 特に重要なのは皇帝陛下と皇后様です。お二人さえ無事に保護できたならば戦争は回避できる筈です」


「それは冬太達を見捨ててもと聴こえるが?」


「私だって冬太さん達を見捨てたくありません。しかし最悪を想定していてください」
 

「冬太よ、無事であってくれ!」






             ◆◆◆
 

「あなたは影丸さん!?」


「助けに参りました。さぁ、他の方も助けに参りましょう」


 影丸についていくと、エスナ、ランガとは、すぐに会えた。


「皆無事でよかった」


「こちらこそトウタ殿が無事でよかった。護衛として情けない」


「あの状況だと仕方ないですよ」


「ふぇぇえん! トウタ君もランガさんも無事でよかったです~」


 泣きながら抱き付いてくる。巨大な胸が顔をぶつかり、呼吸困難になる。


「エスナ殿、トウタ殿が苦しそうにしてるからその辺で」


「きゃっ、私ったらごめんなさいです~」
 天国と地獄を同時に体験したような気がしてならない冬太。


「あとは、皇帝陛下と皇后様とケルム宰相を救いに行くんですよね?」


「そうでござる。しかし三人は厳重に地下の牢獄に閉じ込められているからエスナ殿とランガ殿にも道を
切り開いて欲しいでござる」


 三人が冬太を守りながら道を切り開いて行って地下の牢獄までたどり着き、門番を気絶させて皇帝と皇后とケルム宰相を助け出す事に成功する。


「助けに来てくれて感謝する。皇帝しか知らない秘密の抜け道がある。そこを通って脱出しよう」


「ちよっと待つでござる。なぜ竜王バハムトが皇太子に力を貸しているのか分かったでござる。それは次代の竜王の卵を竜の巣から盗んで隠し持っているからでござる。その卵さえ竜王に返せば竜達は、ひきあげる筈でござる」


「すごいですよ、影丸さん。いつその情報を?」


「拙者忍者でござるから諜報はお手のものなのでござる」


「じゃあ早速卵を取りに行きましょう!」


 卵がある部屋に入るとそこには皇太子と二メートル程の黒髪の大男と重装備の兵士達が待っていた。


「来ると思ってたよ。そして残念なお知らせ、卵には起爆札が貼ってあってね、そこに僕が持つもう一つ札に魔力を流せば爆発する仕組みになってるから盗めないよ。ちなみに卵に貼ってある札を無理矢理剥がしてもドカンだから」


「正直父上や母上、ケルムとそこのジパンの人と狼君には死んでもらうんだけど、トウタ君とエスナの事は気に入ってるんだ。だから最後に聞くけど僕の仲間にならないかい?」


「お断りします」


「私も嫌です~!」


「そっかじゃあもう要らない。バハムト全員消しちゃって」


 すると横の大男が口を大きく開き、口内から光が見え始めた。


 「「まずい!」」


 影丸とランガが冬太とエスナ、皇帝、皇后、ケルム宰相の壁になり、エスナが長い呪文を紡ぎ始めた。
 次の瞬間、大男の口か熱光線が冬太達目掛けて放たれ、そのあとには破壊され大きな穴が空いた壁の跡しか残っていなかった。



コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品