行列!異世界の動物園~魔王が園長です。
第四十六話 植物園 オープン
今回も前回の水族館と同じくプレオープンを開催する事にした冬太達。
ただし前回来ていた帝国の皇太子――スルト·アスファルトの姿が見えない。
というのも皇太子がエスナを使って行っていた妨害工作が皇帝にばれてしまい、現在軟禁状態らしい。皇帝と皇后にはひどく謝られたが、これまで以上の友好を約束して許すことにした魔王。
さっそく招待したお客人を復活した世界樹の元へ案内する。
世界樹を見ての挙動は皆違う。
帝国の夫妻は手を組みお祈りをしているし、ジパンの将軍信綱は、世界樹の神秘さに圧倒されている。
お客人達が世界樹に魅了されている間、世界樹を見ながら食事出来るように事前にテーブルと椅子を用意し、そこに世界樹の葉で作った緑茶、紅茶、烏龍茶、爆裂草の種から作ったコーヒーを自由に選べるようにボトルに入れる。
さらに エルドラドで採れた山菜の天ぷらや川魚を各テーブルに置いていく。
「せっかくですから、食事をしながら世界樹を観ましょう」
冬太の一言にで各国の要人達が席につく。
各々自分の好きな飲み物をカップに入れ、魔王が乾杯の音頭をとる。
「今回の世界樹は皆のおかげで復活した。今日も美味しいものをたくさん作ったから是非ご賞味あれ。それでは乾杯!」
「「「乾杯!!」」」
各国の要人達は川魚の塩焼きに山菜の天ぷらを夢中で食べている。
「ヨウタ殿、この料理のレシピ持って教えてもらってもいいか?」
ジパンの将軍信綱はこの食事を絶対気に入ると冬太は確信していた。もちろんレシピは教えた。
「こんな素敵な風景を見ながらこんなに美味しい食事を頂けるなんて素敵ですわね、あなた」
「そうだな日頃の疲れがとれるなこれは」
アスファルト帝国の皇帝と皇后が普段の顔と違ってほのぼのとした顔をしている。
魔人の要人達もリラックスした顔している。
彼らはこれで終わりだと思っているようだが、これで終わりではない。
「あのうもしよかったら世界樹になってる実を食べてみませんか?」
冬太に促されて、各要人達は世界樹の実を手にとりかじる。
要人達の反応は、以前冬太達が食べた時と同じく、至福の表情で世界樹の実を食べている。
「なるほど、これがデザートだったのだな。余は満足したぞ。大変素晴らしい料理とデザートだったぞ冬太殿」
幸せそうな顔で冬太を褒めるが「まだ終わりじゃありませんよ」と要人達のテーブルに切り分けされたパイを置いていく。
「これが本日の本当のデザートです。どうぞ召し上がって下さい」
パイの甘く香ばしい匂いが要人達のお腹を刺激する。
しかし、あの伝説の世界樹の実を食べたあとじゃとテンションの下がった顔をした要人達だったが、パイを口に入れた瞬間、そんな考えはぶっ飛んだ。
「「「「旨いっ!!」」」
我を忘れたかの様にパイを食べる要人達。
食べ終わると、皇帝が冬太に訪ねる。
「これはもしや、世界樹の実を使ったパイか?」
「はい、その通りです。この世界樹の実を食べた瞬間、絶対にパイに合うと思ったんですがお味は如何だったでしょう?」
「言わずともわかっておるくせに。もちろん最高の美味しさだった。毎日食べても飽きないと思わせるほどにな」
このパイのレシピを教えてと言われたが世界樹の実がないと作れませんと言うと各国の要人達はしょんぼりしていた。
そのあと、エルドラドの森の中に入り、キノコの採取や薬草や山菜の採取を直接お客人達にしてもらい、ログハウス風の宿屋で夕食をとってもらい、各部屋にあるグリフォンやコカトリス、ホーンラビットの毛や羽根で作った特製のベッドで寝てもらう。
次の朝各国の要人達がベッドを売ってくれと冬太に集まって来たのは言うまでもない。
各国の要人達は朝食を食べ終えると、満足して自分達の国へと帰っていった。
要人達が乗っている船や飛空挺を見送る冬太とエスナ。
「プレオープン成功しましたね」
「はい、それもこれもトウタさんのおかげです~」
「明日のオープンも頑張らないとね!」
「はい、私頑張っちゃいます~!」
二人のやる気をよそに魔王は特製ふかふかベッドで熟睡していた。
そしてオープン当日。
お客さんを連れてくる船がバンバンやってくる。
この数じゃ宿屋に入りきらないのは予想済みでテント泊ができるスペースも確保していた為、大事に至らなかった。
皆の目当てはもちろん世界樹を観ること。
かつては入るのもエルフ達に拒絶されてきた為、世界樹どころかエルドラドに自生する植物も初めて見る。
お客さんは世界樹を見つけると近くで片膝をつき、手を組んでお祈りを捧げる。
祈り終わると、近くの森に入りガイドのエルフの元で山菜やキノコ、薬草、川魚などをとり宿屋へと向かう。
テント泊の者達も宿屋の食堂は使えるので食堂は大忙しだ。
皆食べたことのない料理に驚き、味に感動し、デザートのパイを食べた時なんかは旨すぎて叫ぶ者もいた。
そして就寝。特製のベッドは宿屋だけじゃなく、テントにも特製の敷きマットと羽毛布団が常備していて、翌朝帰るさいに布団を持って帰ろうとするお客さんとのトラブルもあったが、まぁ成功だと言えるだろうと、冬太は帰って行くお客さんが乗る船を見ながら思う。
だけどこれで終わりじゃない、しばらくは続くであろう植物園への来客に備えて気を引き締める。
もう新しいお客さんを乗せた船がやって来た。
「よし、頑張るぞ!!」
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