行列!異世界の動物園~魔王が園長です。
第八話 アスファルト帝国にて
――――――東大陸、人間界セメント
魔界よりも圧倒的な人口を誇り、それを一つの強大な国が統一している。
名は、アスファルト帝国。
二年前までは、魔界トドメントと激しい戦争を行っていた。
アスファルト帝国は、元々東大陸統一も数の暴力で成し遂げた。
だからこそ、圧倒的な兵量を誇る我が国こそが勝つと甘く見ていた。
結果は惨敗。相手の一人一人の能力がこちらの兵の十倍はあり、中には一騎当千ではなく、一騎当万の輩も何人もいたのだから勝てるはずもなかった。
質より量は通用しなかったのである。
だがそれでも帝国が戦争を続けたのには理由がある。
人間界は人の多さもあり、大きく文化が進化した。
魔導車や魔導列車、魔導船、そして飛空挺などを生み出したのも帝国なのだ。
それはすごい事なのだが、急激に進化した事によって人間界の資源はあと10年持つか怪しいところまできていた。
そこで資源の宝庫である魔界トドメントを侵略し始めたのだ。
西大陸、東大陸はそれぞれ百年に一度だけ勇者召喚をでき、帝国は、強力な勇者を召喚した。
だが結果は大負け。これ以上戦争をする力がなかった帝国は頭を切り替えた。
平和条約を結び、仲良くなった振りをして、経済戦争を仕掛けようと。
魔人族は闘う力はあっても、文化水準で言えば、人間界よりも一、二世代遅れている。
ならば甘い汁を飲ませるように人間界の文化に染め、魔界の経済状況を大赤字にし、担保として魔界を少しずつ侵略するのが、アスファルト帝国皇帝バルドラ·アスファルトと帝国宰相ケルム·ブルートスの作戦だった。
その作戦は成功し、魔界を侵略できるまで少しの所まで来ていた。
だが、ここにきて魔王が動物園を開園して借金返済を目指している情報が偵察から入った。
帝国城の王室にて、皇帝バルドラと宰相ケルムは大いに笑った。
人間界が動物園で人気を博しているから自分達も動物園を開くとかバカなのかと。
部下から動物園の開園を邪魔しますか?と提言があったが、皇帝と宰相は笑いながら、
「どうせ失敗するのだ。これでまた借金でもしてくれたらこちらとしてはありがたいのだ。ほっとけ」と部下に命じた。
もしこの時、部下の提言通りに邪魔をしていたら未来は違うものになっていたかもしれない。
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