行列!異世界の動物園~魔王が園長です。
第七話 開園準備
魔界の動物園もホーンラビットのふれあい広場、バトルモウの乳絞り体験など実行出来そうな程には冬太以外の人にも慣れた(ただし魔王を除く)。
キャストもホーンラビット、バトルモウ、コカトリス、シュガータートル、マンイーター以外にも森の王者グリフォンや聖なる馬ペガサス、翼竜ワイバーン、そして弱者代表のスライムまで増えた。
いずれの動物も冬太と触れあった瞬間に従順になった。
魔獣達の住処もできるだけ自然のままに再現したのでストレスも感じていなさそうだった。
これならすぐにでも動物園が開けると喜ぶ魔王だったが、冬太からストップがかかる。
「まだお土産店とフードコートができてないじゃないですか」
「フードコートにお土産店?」
「お昼時や休憩がてらに食事処として利用するのがフードコートで、動物園でしか手に入らないお土産を売る店です」
「そんなの人間界の動物園にはなかったぞ。ただ狭い檻の中に入れられた動物を見るためだけの場所だった」
「なら尚更フードコートとお土産店はやるべきです。絶対に成功させる自信があるので作って下さい」
「お主がそこまで言うならわかった。だが肝心の商品に考えがあって言ってるんだよな?」
「ええ、フードコートのメニューは、コカトリスの卵を使ったオムライス、バトルモウの牛乳を使ったクリームシチュー、あとは尻尾を自切できてまたすぐに生えてくるっていうワイバーンの尻尾を使ってテイルステーキを提供しようと思っています」
ワイバーンは日本のトカゲの様に尻尾を自分の意思で切り離すことができるらしく、その際痛みもないらしく、切った尻尾を料理に使っていいかと冬太が頼むと喜んで、ワイバーンは尻尾を自切した。
「お土産はどうするのだ?」
「お土産はホーンラビットの角が貴重と聴いたので、その角でアクセサリーにしたり、そのまま売ったりしようかなと考えてます」
「角ってお前、ホーンラビットの角を引っこ抜くつもりか!?」
「ホーンラビットちゃんが可哀想です~」
「ホーンラビットの角はある程度伸びたら抜けるんですよ。だからホーンラビットの巣穴に角が結構落ちてますよ」
「なにっ!?それが本当ならホーンラビットの角は粉末状にして飲むと風邪薬になるし、その美しい白さからアクセサリーとしても加工するのも人気なのだ。」
ホーンラビットの角が抜けるのを知らないのも無理はない。
角が抜け落ちる前に巣穴に持っていき、歯を研ぐのに噛るので、角はホーンラビットを倒してからしか手に入らないと思われてきた。だが動物達の住処を見回りしてる冬太はこの習性を発見した。
「あと作るのは各動物達のぬいぐるみを売り場に置きます」
「はい、私ぬいぐるみ作るの得意ですよ~」
「じゃあぬいぐるみ作りはエスナさんに任せます」
「そして食物加工品のバター、チーズをバトルモウの牛乳でつくって、目玉商品になるプリンもお土産店に置きます」
「プ、プリン?」
「はい、バトルモウの牛乳、コカトリスの卵、シュガータートルの砂糖で作る事のできるスイーツです」
「そ、それは美味しいのか?」
「はい、とても」
「よし、すぐにフードコートとお土産店の建設にとりかかれ!冬太は今のところ言った料理を調理スタッフ達に教えてくれ!」
「わかりました!」
「私もぬいぐるみ作りを頑張ります~」
皆やる気をみなぎらせて、自分の作業に向かう。
「…………魔王様はなんで僕ら調理班についてくるんですか?」
「そのプリンというとても美味しいスイーツが食べたくてな」
「魔王様は動物園の宣伝を魔界トドメントと人間界セメントに宣伝、流布する仕事があるでしょ?動物園開園まで1ヶ月なんですから頼みますよ、園長」
「うむ、私は園長だもんな。園長だから責任持って仕事するぞ!」
園長と言われて嬉しそうに仕事に向かう魔王園長。
園長を決める当初魔界の重鎮達は、動物の知識、扱い共に優れた冬太を園長にと声を挙げたが、魔王がどうしても園長がやりたいと駄々をこね、魔王が園長、冬太が副園長、エスナが園長補佐に落ち着いた。(だが肝心の園長にだけ魔獣達はなついていない)
各々にやるべき事を着々と進めとうとう動物園が開園する。
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