行列!異世界の動物園~魔王が園長です。

ノベルバユーザー303849

第六話 シュガータートルとマンイーター



 連れて帰ったコカトリスの住居は自由に走り回れる程の広さと、天井を高くし止まり木などもつけた。
 餌は、雑穀、麦、りんご、カボチャ、魚粉を細かく混ぜた配合食を与えてる。
 普通の鶏の餌で大丈夫かと思った冬太だったが、喜んで食べているのを見て安心する。 


さて今回捕まえるのは、ある甘味に必要な調味料―――砂糖を甲羅に分泌できるシュガータートル(なぜシュガータートルの甲羅に砂糖ができるかというと、シュガータートルの好物が果物や甘い植物なのだが、糖分を分解できる機能を持っていないため、甲羅から糖をだしているのだ。)。
 普通に砂糖を買えればいいのだが、農作物の育ちにくい魔界では、先日手に入れた、牛乳、卵と一緒で砂糖も手に入らない。
 手に入れるには人間界から輸入するしかないが、非常に高い輸入額がかかるため断念。
 しかし、魔界にも砂糖を手にする手段があるのだ。
 それがシュガータートル。
 だが手に入れるのは非常に難しい。


 魔王国から南西にあるゴルバ湿原。
 そのゴルバ湿原にシュガータートルはいるのだが、そこには、全長五メートルにもなる大ワニ――――マンイーターが存在する。それも数え切れない程。
 その中を進んでシュガータートルを手に入れるのは、困難な筈……だった。
 いつものように捕獲地近くまでは魔導車(人間の国が発明した魔力を動力にした車)で移動し、さっそく湿原に入るとうじゃうじゃマンイーターがいる。
 しかし、冬太が入っても噛みつくどころか撫でてほしそうに近づいてくる。
 魔王やエスナも慣れたもので凶暴な魔獣が冬太になつこうが、驚きもしない。またいつものやつねって表情だ。


 マンイーターを撫でながらシュガータートルを探す。
 すると大きな水源を挟んだ向かい側に発見。
 そちら側に行くには、一度大きく迂回しないといけない。
 しかし、マンイーター達が冬太の気持ちを汲み取ったのか
 シュガータートル達のいる向かい岸に向かってマンイーターが一列になって橋を作る。


「ありがとう、あっちに渡らしてくれるんだね」


「「「ぐわっ!!」」」


「「えぇぇぇえーっ!?」」


 魔王とエスナもさすがに驚いている。無理もない。あの獰猛なマンイーターが人の為に自分の上を渡らせるなど考えられないのだ。


「お前は本当にただの動物好きか!?」


「ええそうですけど?」


 マンイーターの上を行きながら、飄々と言う。
 結局、このあとシュガータートルとも仲良くなれ、シュガータートル十頭とマンイーター十頭が動物園に来てくれることになった。
 こうして砂糖、卵、牛乳を手に入れた冬太はあの美味しいスイーツを作る事にした。
 これがこの魔界の動物園の目玉商品になるのを冬太以外まだ知らない。


 

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