俺の店の屋根裏がいろんな異世界ダンジョンの安全地帯らしいから、握り飯を差し入れてる
男戦士の手記:コルトちゃん、導眠力半端ねぇな
異世界でも太陽というものはあるんだな。
コウジの話によれば、太陽によってはぐくまれる命の数は膨大と言えるのだとか。
それは俺の世界でも同じこと。
サニーも、昨日ここに来たばかりの時と比べてかなり落ち着いた。
俺は端から当てにしていたが、だからと言って体調は完全に復活したとは言えない。
やはりすぐにここを退室するのは早すぎるようだ。
「……ザイル……おはよう……」
「お、おう。起きたか。どうだ? 具合は」
ザイルってのは俺の名前だ。
「ん……気持ちは落ち着いたけど……体がまだ重い感じがするし……」
だろうな。
俺もそうだった。
「お腹が……」
「あぁ、俺もだ」
腹の虫が鳴っている。
それに反応したわけではないだろうが、何の縁か、まあ近くにいたというだけの縁だったんだろうが、寝付くまで世話をしてやったあの五人ももぞもぞし、次々と目が覚める。
「うぅ……。う……、朝……か?」
「うー……。う、うっ! て、敵はっ」
「ここは……どこ……だ……」
起きるということは、生きてるということでもある。
「……く……。うぅ……まだ……体が……」
不調が続いてる奴もいる。
「む……。朝、か……。あぁ、昨日は……世話になったな」
「あ、いや……。君は大丈夫そうだな」
俺達二人にすぐ話しかけてきた奴は、握り飯を一口しか齧らず、そのまま眠った奴だった。
「君らはここは初めてか? 俺の連れも初めてなんだが、俺は何度かここに来ている。そろそろ朝飯の時間かな」
「え?! 朝ご飯、出るの? ここ!」
「あ、いや、まともな食事は出ない。非常食というか……。って言うかサニー、君には今まで何度も説明してるだろう?」
この五人に説明しようとしたら、いきなり食いついてきたのがサニーという……。
何か、俺の連れかどうか疑わしいように見られるからあまり食いつくな。しかも、よりにもよって飯の話にだ。
この五人は、ここの噂は耳にしていたようだが、まさか噂の出元とは思ってなかったようだった。
俺は大体のことを彼らに説明した。
「そ、そうなのか……。米? とやらを握った食べ物か」
ここに来る者の多くは、コウジは輪廻転生を司る者か神と思ってたんだよな。
俺もそう思ってたが、コウジが住む世界の人らしいということが分かり、そこで初めて俺の住む世界以外にも世界があると知った。
いわゆる異世界って奴だな。
で、握り飯の食材に似た物が他の世界にあり、全く同じ物がある世界もあるらしい。
そして米とやらがない世界もあるんだと。
この五人が住んでいる世界には、同じ食材がないらしい。
思わぬところで異文化交流。
いくら何度もここに来ていると言っても、こればかりは来るたびに新鮮な気持ちになる。
「具合がまだ悪いなら、昨日面倒を見たよしみだ。握り飯持ってきてやるよ。サニー、手伝え」
「わ、私の分もキープしてくれよ」
……そうだな。
俺が何度もここに来たからって、俺の連れまで同じ経験をしてきたわけじゃない。
あの五人と同じく、ここに初めて来た者の一人だ。
コウジから握り飯を、サニーと一緒にまず五人分受け取り彼らに渡す。
そして今度は列に加わり、自分の分を受け取る。
もちろんサニーも一緒だ。
「すまん。のどに詰まるとまずいだろうから水も持ってくる」
「昨日はどっちも受け取り損ねたもんな」
サニー、今ここでそれを言ったら、この五人に嫌味を言ってるように聞こえるぞ。
「いや、俺は全部食いきった。美味かったな。お前らは?」
「私も。こういう時は用心しながら食べる。この仕事で生きていく上での知恵の一つだから平気だよ」
「俺もだ」
「私も。じっくり味わいながら、ね」
それは何より。
ん?
四人とサニーに気付かれず、俺の足を突く者がいる。
目覚めと同時に俺に話しかけてきた奴だ。
「俺は、いい。あんたにやるよ」
具合が悪いのか、極端に声を小さくして俺に告げてきた。
「……そうか。有り難う」
腹を空かせてるサニーに分けようと思ったが、誰にも気づかれずにそう言ったこの男の気遣いを考えると、そのまま受け取る方がいいだろう。
この部屋にいる冒険者達のほとんどが握り飯を食い終わったのを見計らって、コルトちゃんが歌を聞かせてくれた。
食べてすぐに体を動かすのはあまり体に良くない。
食べ終わってすぐに体を休めるのは、意外と体のストレスを取り除けるようだ。
気が付いたら一時間半経過していた。
朝目覚めたばかりなのに、またも快適な睡眠をとることができた。
……コルトちゃん、実はとんでもない能力の持ち主だったんだな。
コウジの話によれば、太陽によってはぐくまれる命の数は膨大と言えるのだとか。
それは俺の世界でも同じこと。
サニーも、昨日ここに来たばかりの時と比べてかなり落ち着いた。
俺は端から当てにしていたが、だからと言って体調は完全に復活したとは言えない。
やはりすぐにここを退室するのは早すぎるようだ。
「……ザイル……おはよう……」
「お、おう。起きたか。どうだ? 具合は」
ザイルってのは俺の名前だ。
「ん……気持ちは落ち着いたけど……体がまだ重い感じがするし……」
だろうな。
俺もそうだった。
「お腹が……」
「あぁ、俺もだ」
腹の虫が鳴っている。
それに反応したわけではないだろうが、何の縁か、まあ近くにいたというだけの縁だったんだろうが、寝付くまで世話をしてやったあの五人ももぞもぞし、次々と目が覚める。
「うぅ……。う……、朝……か?」
「うー……。う、うっ! て、敵はっ」
「ここは……どこ……だ……」
起きるということは、生きてるということでもある。
「……く……。うぅ……まだ……体が……」
不調が続いてる奴もいる。
「む……。朝、か……。あぁ、昨日は……世話になったな」
「あ、いや……。君は大丈夫そうだな」
俺達二人にすぐ話しかけてきた奴は、握り飯を一口しか齧らず、そのまま眠った奴だった。
「君らはここは初めてか? 俺の連れも初めてなんだが、俺は何度かここに来ている。そろそろ朝飯の時間かな」
「え?! 朝ご飯、出るの? ここ!」
「あ、いや、まともな食事は出ない。非常食というか……。って言うかサニー、君には今まで何度も説明してるだろう?」
この五人に説明しようとしたら、いきなり食いついてきたのがサニーという……。
何か、俺の連れかどうか疑わしいように見られるからあまり食いつくな。しかも、よりにもよって飯の話にだ。
この五人は、ここの噂は耳にしていたようだが、まさか噂の出元とは思ってなかったようだった。
俺は大体のことを彼らに説明した。
「そ、そうなのか……。米? とやらを握った食べ物か」
ここに来る者の多くは、コウジは輪廻転生を司る者か神と思ってたんだよな。
俺もそう思ってたが、コウジが住む世界の人らしいということが分かり、そこで初めて俺の住む世界以外にも世界があると知った。
いわゆる異世界って奴だな。
で、握り飯の食材に似た物が他の世界にあり、全く同じ物がある世界もあるらしい。
そして米とやらがない世界もあるんだと。
この五人が住んでいる世界には、同じ食材がないらしい。
思わぬところで異文化交流。
いくら何度もここに来ていると言っても、こればかりは来るたびに新鮮な気持ちになる。
「具合がまだ悪いなら、昨日面倒を見たよしみだ。握り飯持ってきてやるよ。サニー、手伝え」
「わ、私の分もキープしてくれよ」
……そうだな。
俺が何度もここに来たからって、俺の連れまで同じ経験をしてきたわけじゃない。
あの五人と同じく、ここに初めて来た者の一人だ。
コウジから握り飯を、サニーと一緒にまず五人分受け取り彼らに渡す。
そして今度は列に加わり、自分の分を受け取る。
もちろんサニーも一緒だ。
「すまん。のどに詰まるとまずいだろうから水も持ってくる」
「昨日はどっちも受け取り損ねたもんな」
サニー、今ここでそれを言ったら、この五人に嫌味を言ってるように聞こえるぞ。
「いや、俺は全部食いきった。美味かったな。お前らは?」
「私も。こういう時は用心しながら食べる。この仕事で生きていく上での知恵の一つだから平気だよ」
「俺もだ」
「私も。じっくり味わいながら、ね」
それは何より。
ん?
四人とサニーに気付かれず、俺の足を突く者がいる。
目覚めと同時に俺に話しかけてきた奴だ。
「俺は、いい。あんたにやるよ」
具合が悪いのか、極端に声を小さくして俺に告げてきた。
「……そうか。有り難う」
腹を空かせてるサニーに分けようと思ったが、誰にも気づかれずにそう言ったこの男の気遣いを考えると、そのまま受け取る方がいいだろう。
この部屋にいる冒険者達のほとんどが握り飯を食い終わったのを見計らって、コルトちゃんが歌を聞かせてくれた。
食べてすぐに体を動かすのはあまり体に良くない。
食べ終わってすぐに体を休めるのは、意外と体のストレスを取り除けるようだ。
気が付いたら一時間半経過していた。
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