俺の店の屋根裏がいろんな異世界ダンジョンの安全地帯らしいから、握り飯を差し入れてる
彼女らが拒む来訪者
冒険者達が昼寝から目が覚める。
一名を除き、全員が心地よい目覚めを実感している。
その様子は、見てても気持ちいいものだが、その一名は目が覚めた瞬間から涙目になっている。
コルトの姿を確認するとすぐ駆け寄って抱きしめようとしていた。
言わずと知れたシュースだった。
それを俺は高みの見物。
別に見世物を見ている気分になっているわけじゃない。
異世界人同士のことは、異世界人同士で解決すべきこと。
しかしコルトは、大いに俺の助けになってくれてる。
だがあのセントール族の女の子はコルトの害にはならんから放置でいいか。
……道具作りの進行の妨げにはなってはいるがな。
ま、夜の握り飯タイムの準備を邪魔しなければいいさ。
コルトが来る前は、全部一人でやってたんだ。
……あれ?
おかしくないか?
「コウジさーん、助けてー」
祖父ちゃんが死んだあと、祖母ちゃんが一人でやってたんだよな。
握り飯の個数、俺より百個も多く作ってた……って誰かが言ってた。
普通の年寄りだぜ?
俺の世界の人間、しかも老人。
そんな体力……あったのか?
「コウジさーん、助けてってばー」
「コルト様、絶対に嫌な思いはさせませんからっ」
まぁ道具使って洗米すりゃ、楽ってば楽だろうけどよ……。
具はまだあったかなー。
「コウジさ~ぁん……」
「心配いりませんからっ! 私がお守りしますからっ!」
外野が騒がしい気がする。
うん、気のせいだ。
「ほ、ほら、今コウジさんがおにぎり作ってるところだから手伝わないと……」
「キュウセイシュ様にそんなことはさせられませんっ! 私がお手伝いしますから、どうかその方に引き合わせていただけないでしょうか?」
聞こえてるぞ、お前ら。
でも遠いからそっちに顔を向ける余裕もなし。
握り飯タイムまでまだ一時間はある。
が、油断はしていられない。
と、何やら屋根裏部屋の方でゴタゴタと何やら音がする。
足音であることは間違いないんだが、妙な感じがする。
一度に大勢来ることはまずない。
一度に大勢退室することはある。
数人のパーティメンバーが一人ずつやってくるとそんなことがある。
この部屋で集合して、全員が体調万全になったところで、一斉に退室したりな。
そんなときに一度に大勢やって来るが、必ずしも同じパーティメンバーが来るとは限らない。
いろんな異世界に繋がってるらしいからな。
何人かが足音立てて移動している音だ。俺からは壁が死角になっててよく分からん。
が、そんなに広い部屋じゃない。
俺の目にその連中の姿が入る。
シュースと同じ姿だから、セントール……人馬族。これは男。
ワニが人間の姿になったような……男だな。
背中に蝙蝠っぽい羽がついてるが尻尾が長い……なんか不吉な姿の……女だよな。
筋肉質でやたら背が高い女。
蝙蝠が人間の姿をした……これは男か。
互いに体を支え合い、与太付きながらプレハブの方にやってきた。
まぁそれだけ重傷ってことなんだろうな。
足音がでかいのは、重心を前に出す足にかけるから。
五人か。
ま、こちらは握り飯を握るだけだ。
休みたきゃ空いてる場所に好き勝手に座るなり寝るなりしてりゃある程度は回復するだろ。
「コ……コルト……。やっぱりコルトなんだ……な」
「コルトちゃん……。はぁ……はぁ……ようやく会え……た……」
耳に入ったその声に反応しちまった。
上目遣いでコルトの方を見る。
うわぁ……。
思いっきり嫌悪感出してる。
が、その前に立ちはだかるシュース。
コルト曰く自分を捨て石にした仲間、か。
シュースもそいつらに敵意むき出し。
兵士二人が来た時はいきなり武器を振りかざしてた。
この五人、どこからどう見てもそんな真似はしそうにないほどダメージを受けてる。
まさかこいつらも、コルトに会うためにそんな大怪我受けたんじゃないだろうな?
だとしたらえらい執念ってことだ。
それにしても……。
コルトだけが異様に殺気立ってる……というか、鬼気迫る……というか……。
前に立つシュースを後ろにかばった。
いつもなら「ふえぇ」などと喚くところだろうに。
そんなことを言ってる場合じゃないってことか。
一名を除き、全員が心地よい目覚めを実感している。
その様子は、見てても気持ちいいものだが、その一名は目が覚めた瞬間から涙目になっている。
コルトの姿を確認するとすぐ駆け寄って抱きしめようとしていた。
言わずと知れたシュースだった。
それを俺は高みの見物。
別に見世物を見ている気分になっているわけじゃない。
異世界人同士のことは、異世界人同士で解決すべきこと。
しかしコルトは、大いに俺の助けになってくれてる。
だがあのセントール族の女の子はコルトの害にはならんから放置でいいか。
……道具作りの進行の妨げにはなってはいるがな。
ま、夜の握り飯タイムの準備を邪魔しなければいいさ。
コルトが来る前は、全部一人でやってたんだ。
……あれ?
おかしくないか?
「コウジさーん、助けてー」
祖父ちゃんが死んだあと、祖母ちゃんが一人でやってたんだよな。
握り飯の個数、俺より百個も多く作ってた……って誰かが言ってた。
普通の年寄りだぜ?
俺の世界の人間、しかも老人。
そんな体力……あったのか?
「コウジさーん、助けてってばー」
「コルト様、絶対に嫌な思いはさせませんからっ」
まぁ道具使って洗米すりゃ、楽ってば楽だろうけどよ……。
具はまだあったかなー。
「コウジさ~ぁん……」
「心配いりませんからっ! 私がお守りしますからっ!」
外野が騒がしい気がする。
うん、気のせいだ。
「ほ、ほら、今コウジさんがおにぎり作ってるところだから手伝わないと……」
「キュウセイシュ様にそんなことはさせられませんっ! 私がお手伝いしますから、どうかその方に引き合わせていただけないでしょうか?」
聞こえてるぞ、お前ら。
でも遠いからそっちに顔を向ける余裕もなし。
握り飯タイムまでまだ一時間はある。
が、油断はしていられない。
と、何やら屋根裏部屋の方でゴタゴタと何やら音がする。
足音であることは間違いないんだが、妙な感じがする。
一度に大勢来ることはまずない。
一度に大勢退室することはある。
数人のパーティメンバーが一人ずつやってくるとそんなことがある。
この部屋で集合して、全員が体調万全になったところで、一斉に退室したりな。
そんなときに一度に大勢やって来るが、必ずしも同じパーティメンバーが来るとは限らない。
いろんな異世界に繋がってるらしいからな。
何人かが足音立てて移動している音だ。俺からは壁が死角になっててよく分からん。
が、そんなに広い部屋じゃない。
俺の目にその連中の姿が入る。
シュースと同じ姿だから、セントール……人馬族。これは男。
ワニが人間の姿になったような……男だな。
背中に蝙蝠っぽい羽がついてるが尻尾が長い……なんか不吉な姿の……女だよな。
筋肉質でやたら背が高い女。
蝙蝠が人間の姿をした……これは男か。
互いに体を支え合い、与太付きながらプレハブの方にやってきた。
まぁそれだけ重傷ってことなんだろうな。
足音がでかいのは、重心を前に出す足にかけるから。
五人か。
ま、こちらは握り飯を握るだけだ。
休みたきゃ空いてる場所に好き勝手に座るなり寝るなりしてりゃある程度は回復するだろ。
「コ……コルト……。やっぱりコルトなんだ……な」
「コルトちゃん……。はぁ……はぁ……ようやく会え……た……」
耳に入ったその声に反応しちまった。
上目遣いでコルトの方を見る。
うわぁ……。
思いっきり嫌悪感出してる。
が、その前に立ちはだかるシュース。
コルト曰く自分を捨て石にした仲間、か。
シュースもそいつらに敵意むき出し。
兵士二人が来た時はいきなり武器を振りかざしてた。
この五人、どこからどう見てもそんな真似はしそうにないほどダメージを受けてる。
まさかこいつらも、コルトに会うためにそんな大怪我受けたんじゃないだろうな?
だとしたらえらい執念ってことだ。
それにしても……。
コルトだけが異様に殺気立ってる……というか、鬼気迫る……というか……。
前に立つシュースを後ろにかばった。
いつもなら「ふえぇ」などと喚くところだろうに。
そんなことを言ってる場合じゃないってことか。
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