電話

6月初め、何事もなく穏やかに日が過ぎてく。ただ一つ、いちさんがりゅうとゲームするようになった事だ。
いつの間にかかなり懐いてるようだった。
私もいちもしてるゲームをやりたがってたのでりゅうにもアカウントを作り、ボイスチャットでゲームしたら会話の傍らいちさんは宿題の問題やら勉強教えてるようだった。
いちさんとりゅうの話し声は壁越しによく聞え、たまに笑い声が聞こえたのだった。
さながら飴と鞭使い分ける家庭教師のようだ。

そんな楽しそうな2人はさておき私は普段通りに家事してるとなる携帯、見れば
佐藤さん、幼なじみでしか見てない私には珍しく佐藤さんからの電話にビックリしたのだった。
「なあ、また今度バイク後ろ乗せてくれないか？」すごい酔っぱらい酒やけした声に私は驚いた。酒を普段飲まない人だったから……
「どうしたのさ？」そう聞くと佐藤は泣きながら言った。
「タイムライン見たよ……やっぱすげぇ男にモテるんだなお前、年取らないように見えるし……俺はお前が怖い。」
「何が言いたいの？何が怖いのさ」
「俺は…お前を手放す気ないから。」
「え？」
「幼なじみでもなんでもいい。俺はお前から離れないからな？」
「どうしたの？急に」
「ずっと好きだったんだ。大学出て必死で仕事して慣れてお前をと思ってたらお前は既に既婚、離婚すらしてる。そして今どうだよ、赤城さんにゲーム内の兄貴分だっけ？おまえ、好きなのかよ」
「え、どうしたのよ」
「俺は……俺は……お前が欲しい。」
プツッと通話が消えた。
泣いてるかのような今に消えそうな声で、
私は困惑したのだった。

佐藤さんどうしたのよいきなり……
気持ちがぐったりと急にしたためソファーに倒れ込む。静かな家の中で
りゅうの笑い声といちの笑い声が響いてる。
余計大きく聞こえた。

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