勇者パーティーの回復魔法師、転生しても回復魔法を極める! 〜只の勤勉で心配性な聖職者ですけど?〜
第47話、ゴル地帯の面々
◆ ◆ ◆
クソったれが、怒りで魔力回路が疼きやがる。
自室のテーブルに座するワシは、酒瓶に直接口を付け一気に火酒を喉へ流し込んでいく。
ワシは昔、レコ王国に仕えていた。しかし任務中に過剰防衛でよりにもよって貴族を殺してしまった。
貴族を殺める事は極刑だと言う事はガキでも知っている事実。よって死刑を言い渡される前に逃亡をしたワシは、ゴル地帯を縄張りにしている盗賊団に入り、ここで死に物狂いで盗賊頭まで上り詰めたと言うのに——
『ガンランランランッ』
部屋にベルの音がけたたましく鳴る。これは獲物がワシの領地に侵入して来た合図だ。
するとワシに忠誠を誓っている若者たち、ガスターズの一員たちが部屋に飛び込んで来た。
ガスターズはゴル地帯でワシが拐ってきた子供たちに、ワシの為に戦って死ねば異世界転生が出来ると信じ込ませた集団である。
しかしそんなガスターズの大隊長が先月ワシを裏切り、追手をかけるも女と食料を持っての逃走を許してしまった。よって何にしても誰も信用出来ぬワシは、自ら先陣をきらねば気が済まぬ状態になっていた。
「親父、大規模キャラバンがもう少しで渓谷を通過するらしいぜ! 」
「ヒャッハッー、久々の大物だぜ! 」
大規模なキャラバンか。常にワシらを誘い出す囮の可能性があるわけだが、ワシの縄張りで舐められるわけにはいかないから、例え囮だとわかっていたとしても芋を引くわけにはいかない。
状況説明を受けたワシは、狩りの宣言をする。
「祭りだ、親衛隊パッカラ二十名、斬り込みハイハウンド隊二十名、パッカラ部隊五十名、荷馬車十名、サンダースピア隊二十名、そしてザッケーロ新大隊長と将軍、あと先生にも出動要請をかけろ」
「了解です親父! 」
「祭りだ、ヒャッハッー! 」
◆ ◆ ◆
ヒャッハッー、俺っちの名はアンジェロだ。
各部署の伝令係を任されている。大隊長が裏切っちまってから親父が苛ついている。
しかしこれはチャンスだ。ここで功績を挙げれば親父に気に入られる。そしたら一番の前線の特攻隊、斬り込みハイハウンド隊に入れて貰える。
功績を上げる前の無駄死にじゃダメだ、異世界転生出来ない。
異世界転生したら、先に異世界転生した奴らと後から来る奴らとで面白おかしく生きてやるんだ。
同じく伝令係のジョーとブルーノに指示を出して、俺っちも将軍こと、赤竜将軍のところへ駆けていく。
「ヒャッハッー、将軍、親父から招集がかかってます! 」
部屋に突入すると、赤竜将軍はじゃらりと金品を愛でているところであった。
赤竜将軍は金品を愛でるのを邪魔するのを特に嫌うため、逆鱗に触れないよういつも以上に直立不動で受け答えをするように注意しないとだな。
「アンジェロ、俺様のゆるりらタイムを邪魔するからには緊急なんだろうな? 」
「はい、領地への侵入者です! 」
「ほう、久しいな。して、暴れてもいいんだろうな? 」
「大暴れしていいそうです! 」
「そうか、……積荷共々消し炭にしてやるとするか」
赤竜将軍はその名が示すよう赤竜に跨がり強奪行為をするわけなのだが、赤竜が吐くドラゴンブレスにより積荷が丸焦げになる事が多く同業者から嫌われ雇い主を転々としている所を親父にスカウトされている。
しかし親父も今回はどたまにきている最中。積荷も欲しいだろうけどそれ以上に皆殺しをしたいだろうから、将軍にも召集をかけていると思う。
ヒャッハッー、侵入者はメッタメタだぜー。
次は皆から先生と呼ばれる、ミフネと呼ばれる老剣士の所へ向かう。
流れの用心棒、ミフネ。
その名は大陸中で知らぬ者はいないとされる、伝説級の剣士。ミフネが操る斬鉱剣に斬れぬ物はなしと言われているが、そんな凄腕の剣士が俺たちのような盗賊家業を手伝うわけがないので、兄弟たちの中にはこの老体は偽者、親父は騙されているんじゃないのかと言う噂が出ている。
「先生、入ります」
「入れ」
声をかけずに扉を開いたアーノルドが先生から斬られると言う事件があったため、それ以降必ず声をかけてからこの扉を開く事になっている。
入室すると白髪混じりでバラバラに伸び放題である頭髪の先生は、正座をした状態で片刃のつるぎ、刀と言われる刀剣を小さな棒の先に付いた白い綿のような物で軽くポンポンと叩いている最中であった。
「して、いかようか? 」
「親父からの召集です! 」
「ふふっ、つまらぬ物を斬らせるなよ」
そう言うと先生は、俯き顔面に陰を差すと眼光鋭く残忍な笑みを見せた。
クソったれが、怒りで魔力回路が疼きやがる。
自室のテーブルに座するワシは、酒瓶に直接口を付け一気に火酒を喉へ流し込んでいく。
ワシは昔、レコ王国に仕えていた。しかし任務中に過剰防衛でよりにもよって貴族を殺してしまった。
貴族を殺める事は極刑だと言う事はガキでも知っている事実。よって死刑を言い渡される前に逃亡をしたワシは、ゴル地帯を縄張りにしている盗賊団に入り、ここで死に物狂いで盗賊頭まで上り詰めたと言うのに——
『ガンランランランッ』
部屋にベルの音がけたたましく鳴る。これは獲物がワシの領地に侵入して来た合図だ。
するとワシに忠誠を誓っている若者たち、ガスターズの一員たちが部屋に飛び込んで来た。
ガスターズはゴル地帯でワシが拐ってきた子供たちに、ワシの為に戦って死ねば異世界転生が出来ると信じ込ませた集団である。
しかしそんなガスターズの大隊長が先月ワシを裏切り、追手をかけるも女と食料を持っての逃走を許してしまった。よって何にしても誰も信用出来ぬワシは、自ら先陣をきらねば気が済まぬ状態になっていた。
「親父、大規模キャラバンがもう少しで渓谷を通過するらしいぜ! 」
「ヒャッハッー、久々の大物だぜ! 」
大規模なキャラバンか。常にワシらを誘い出す囮の可能性があるわけだが、ワシの縄張りで舐められるわけにはいかないから、例え囮だとわかっていたとしても芋を引くわけにはいかない。
状況説明を受けたワシは、狩りの宣言をする。
「祭りだ、親衛隊パッカラ二十名、斬り込みハイハウンド隊二十名、パッカラ部隊五十名、荷馬車十名、サンダースピア隊二十名、そしてザッケーロ新大隊長と将軍、あと先生にも出動要請をかけろ」
「了解です親父! 」
「祭りだ、ヒャッハッー! 」
◆ ◆ ◆
ヒャッハッー、俺っちの名はアンジェロだ。
各部署の伝令係を任されている。大隊長が裏切っちまってから親父が苛ついている。
しかしこれはチャンスだ。ここで功績を挙げれば親父に気に入られる。そしたら一番の前線の特攻隊、斬り込みハイハウンド隊に入れて貰える。
功績を上げる前の無駄死にじゃダメだ、異世界転生出来ない。
異世界転生したら、先に異世界転生した奴らと後から来る奴らとで面白おかしく生きてやるんだ。
同じく伝令係のジョーとブルーノに指示を出して、俺っちも将軍こと、赤竜将軍のところへ駆けていく。
「ヒャッハッー、将軍、親父から招集がかかってます! 」
部屋に突入すると、赤竜将軍はじゃらりと金品を愛でているところであった。
赤竜将軍は金品を愛でるのを邪魔するのを特に嫌うため、逆鱗に触れないよういつも以上に直立不動で受け答えをするように注意しないとだな。
「アンジェロ、俺様のゆるりらタイムを邪魔するからには緊急なんだろうな? 」
「はい、領地への侵入者です! 」
「ほう、久しいな。して、暴れてもいいんだろうな? 」
「大暴れしていいそうです! 」
「そうか、……積荷共々消し炭にしてやるとするか」
赤竜将軍はその名が示すよう赤竜に跨がり強奪行為をするわけなのだが、赤竜が吐くドラゴンブレスにより積荷が丸焦げになる事が多く同業者から嫌われ雇い主を転々としている所を親父にスカウトされている。
しかし親父も今回はどたまにきている最中。積荷も欲しいだろうけどそれ以上に皆殺しをしたいだろうから、将軍にも召集をかけていると思う。
ヒャッハッー、侵入者はメッタメタだぜー。
次は皆から先生と呼ばれる、ミフネと呼ばれる老剣士の所へ向かう。
流れの用心棒、ミフネ。
その名は大陸中で知らぬ者はいないとされる、伝説級の剣士。ミフネが操る斬鉱剣に斬れぬ物はなしと言われているが、そんな凄腕の剣士が俺たちのような盗賊家業を手伝うわけがないので、兄弟たちの中にはこの老体は偽者、親父は騙されているんじゃないのかと言う噂が出ている。
「先生、入ります」
「入れ」
声をかけずに扉を開いたアーノルドが先生から斬られると言う事件があったため、それ以降必ず声をかけてからこの扉を開く事になっている。
入室すると白髪混じりでバラバラに伸び放題である頭髪の先生は、正座をした状態で片刃のつるぎ、刀と言われる刀剣を小さな棒の先に付いた白い綿のような物で軽くポンポンと叩いている最中であった。
「して、いかようか? 」
「親父からの召集です! 」
「ふふっ、つまらぬ物を斬らせるなよ」
そう言うと先生は、俯き顔面に陰を差すと眼光鋭く残忍な笑みを見せた。
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