元暗殺者の神様だけど、なんか質問ある?
神使(しんし)
気付けば、地面は目の前だった。衝撃への備えは間に合わない。俺の平衡感覚の回復は落下速度に負けたのだ。
「死んだな」
俺は冷静に判断した。頭から回転しての落下だ。重力加速度により、おそらく体重の10倍ほどの力が、俺の頭の一点に集中して叩き込まれる事になる。これで頭蓋骨が砕けない人間などいない。
だが、気分は悪くない。あんな怪物に一矢報いてやったんだ。ざまあみろって思うと、自然に口元が緩んだ。
それにしても、まだ地面にキスしなくて済んでいるのはなぜなのか?
「ほっとお、よっとお」
「ん?」
固い地面に頭突きしているはずの俺の頭は、なにやら柔らかいものに包まれていた。俺はぱちっと目を開いた。
「リンクル?」
「はあい、リンクルだよお」
「お前、何をしているんだ?」
「何って、グレッド抱えて飛んでるよお」
「俺を助けたという事か?」
「そうなるねえ。いやあ、地面ギリギリ、スライディングキャッチしちゃったよお。リンクルちゃん、超ファインプレー!」
柔らかいものは、リンクルの胸だった。俺は頭をリンクルに抱き抱えられて飛んでいる。こんなに貧しい胸でも、それなりに弾力性はあるらしい。俺は妙なところに感心していた。
「そうか。礼を言わなければな」
「ええ? 言いたくないなら言わなくてもいいんだよお? あたし、やりたいようにやっただけだしい」
「? 俺を助けたくなったのか?」
「そうだよお」
「それは? 神の」
「うううん、そういう命令は受けてないからあ」
「では、なぜ?」
「きゃははははは。人ってえ、そうやってなんでも知りたがるものだよねえ。それより、どうするう?」
「ん? ……ああ、やはり、な」
リンクルが指差した下には、苦痛に暴れるロックバイターがいた。やつめ、忌々しげに俺達を見上げている。まだまだ元気いっぱいのようだ。降りれば、間違い無く襲ってくるだろう。
「どうするも何も、俺にはどうこうしようが無いやつだ。このまま逃げられればそれに越した事はない」
「ふうん? 力は? 使わないのお?」
リンクルは不思議そうだ。
「あいつを殺す為に、関係ない生き物を大量に巻き添えにしろと?」
「真下に撃つなら、人は巻き込まないと思うよお?」
「馬鹿馬鹿しい。殺す必要も無い歩兵を殺すのに、わざわざミサイルを撃つやつなんかいないだろ。そういうのは、ただの殺戮者か、あるいは快楽殺人者。俺は暗殺者であって、それには誇りすら持っているからな。無駄な殺しなどしない」
「へえー、ふうーん、そおーなんだあー」
「なんだよ? 何をにやにやしていやがる?」
「べえーっつにいー」
「お、おい。こら、なんでロックバイターに向かって降下していくんだお前!?」
リンクルは翼をすぼめて急降下を開始した。俺とリンクルの服が風に煽られ、バタバタと鳴っている。
「ほいっとお」
「マジかお前……」
リンクルはロックバイターの正面に着地すると、俺をすとんと地に下ろした。なんのつもりなんだコイツ! どうしても俺に死んで欲しいと、そういう事か!?
「いやあ、あたしい、グレッドの事お、気に入っちゃったみたいでえ」
「はあ?」
リンクルは俺とロックバイターの間にずいっと進み出て、わけの分からない事を言い出した。
「これから仕えるご主人様……神使様にはあ、あたしの力も知っておいて欲しいなあってえ、そう思ってるんだよお」
リンクルは俺へと振り返ると、屈託の無い笑顔を見せた。それは今までの人を小馬鹿にした笑いとは明らかに違う、素直な笑顔だった。
「神使……?」
つーか、なんだよそれ?
リンクルは天使で、俺は神使?
俺とこいつ、一体どういう関係なんだ?
「死んだな」
俺は冷静に判断した。頭から回転しての落下だ。重力加速度により、おそらく体重の10倍ほどの力が、俺の頭の一点に集中して叩き込まれる事になる。これで頭蓋骨が砕けない人間などいない。
だが、気分は悪くない。あんな怪物に一矢報いてやったんだ。ざまあみろって思うと、自然に口元が緩んだ。
それにしても、まだ地面にキスしなくて済んでいるのはなぜなのか?
「ほっとお、よっとお」
「ん?」
固い地面に頭突きしているはずの俺の頭は、なにやら柔らかいものに包まれていた。俺はぱちっと目を開いた。
「リンクル?」
「はあい、リンクルだよお」
「お前、何をしているんだ?」
「何って、グレッド抱えて飛んでるよお」
「俺を助けたという事か?」
「そうなるねえ。いやあ、地面ギリギリ、スライディングキャッチしちゃったよお。リンクルちゃん、超ファインプレー!」
柔らかいものは、リンクルの胸だった。俺は頭をリンクルに抱き抱えられて飛んでいる。こんなに貧しい胸でも、それなりに弾力性はあるらしい。俺は妙なところに感心していた。
「そうか。礼を言わなければな」
「ええ? 言いたくないなら言わなくてもいいんだよお? あたし、やりたいようにやっただけだしい」
「? 俺を助けたくなったのか?」
「そうだよお」
「それは? 神の」
「うううん、そういう命令は受けてないからあ」
「では、なぜ?」
「きゃははははは。人ってえ、そうやってなんでも知りたがるものだよねえ。それより、どうするう?」
「ん? ……ああ、やはり、な」
リンクルが指差した下には、苦痛に暴れるロックバイターがいた。やつめ、忌々しげに俺達を見上げている。まだまだ元気いっぱいのようだ。降りれば、間違い無く襲ってくるだろう。
「どうするも何も、俺にはどうこうしようが無いやつだ。このまま逃げられればそれに越した事はない」
「ふうん? 力は? 使わないのお?」
リンクルは不思議そうだ。
「あいつを殺す為に、関係ない生き物を大量に巻き添えにしろと?」
「真下に撃つなら、人は巻き込まないと思うよお?」
「馬鹿馬鹿しい。殺す必要も無い歩兵を殺すのに、わざわざミサイルを撃つやつなんかいないだろ。そういうのは、ただの殺戮者か、あるいは快楽殺人者。俺は暗殺者であって、それには誇りすら持っているからな。無駄な殺しなどしない」
「へえー、ふうーん、そおーなんだあー」
「なんだよ? 何をにやにやしていやがる?」
「べえーっつにいー」
「お、おい。こら、なんでロックバイターに向かって降下していくんだお前!?」
リンクルは翼をすぼめて急降下を開始した。俺とリンクルの服が風に煽られ、バタバタと鳴っている。
「ほいっとお」
「マジかお前……」
リンクルはロックバイターの正面に着地すると、俺をすとんと地に下ろした。なんのつもりなんだコイツ! どうしても俺に死んで欲しいと、そういう事か!?
「いやあ、あたしい、グレッドの事お、気に入っちゃったみたいでえ」
「はあ?」
リンクルは俺とロックバイターの間にずいっと進み出て、わけの分からない事を言い出した。
「これから仕えるご主人様……神使様にはあ、あたしの力も知っておいて欲しいなあってえ、そう思ってるんだよお」
リンクルは俺へと振り返ると、屈託の無い笑顔を見せた。それは今までの人を小馬鹿にした笑いとは明らかに違う、素直な笑顔だった。
「神使……?」
つーか、なんだよそれ?
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