元暗殺者の神様だけど、なんか質問ある?
死しても敗北とはならず
「そんなちゃっちい棒で、あのロックバイターと戦う気なのお? 頭悪い?」
「うるせえ」
リンクルはけらけらと笑っている。仕方がねえだろ。こんなもんしか使えそうな物が無いんだ。素手よりはマシ。
「さあ、来いよ……ただでは喰われてやらねえぜ」
俺はロックバイターの赤い瞳を真っ直ぐ睨んだ。気魄で負ければ戦う前に死が確定する。だが、死は敗北じゃあない。負けを認めた時が敗北なんだ。死んでも敗北だけは認めねえ!
「ぐるるるるる」
ロックバイターが唸りを上げた。と、六本の脚が不思議な動きをし始めた。六本の脚を、互い違いに上下させ、体を左右に揺すっている。なんだ? 何をするつもりだ?
「あ。ヤバいよお、グレッド」
それを見たリンクルが俺の肩をちょいちょいと突付いた。
「何がだ? ヤバいのはさっきからずっとだろう」
集中を乱されるのが癇に障る。返答はつっけんどんにならざるを得ない。まあ、こいつに気を使う必要など無いが。
「なにっ?」
「ほらあ」
リンクルからヤバい理由を説明してもらう手間は省けた。ロックバイターめ。
体を、回転させ始めてやがる!
「なるほどな」
俺は理解した。やつめ、大口を開けたまま回転する事で、自らを掘削ドリルと化したのだ!
「その棒、ますます役に立たなさそうになったねえ。きゃははははは」
「ああ、そうだな。はははははは」
笑うしか無いな。体高2メートル、体長は5メートルはあろうかという牙を剥いた巨獣が、回転しながら襲ってくるわけだ。これに小枝1本でどう対抗しようと言うのか。我ながら客観的に見て滑稽だ。
俺の視線から何かを感じ取ったのか。どうやらやつを本気にさせちまったみたいだ。
「だがな」
「んー? なあにい?」
「俺は諦めが悪いんだ」
「……!!」
にやりと笑ってそう言う俺に、リンクルが目を見開いた。ふん、そんな顔も出来るのか。散々人を舐めくさっていたお前に、そんな顔をさせられただけでもロックバイターと戦う価値はある。
「……はっ! 来たよお!」
うおおおおんと迫る咆哮で我に返ったリンクルが叫んだ。
「っし!」
俺は腰を落としてロックバイターに対した。やつは回転している。俺のウエイトから成るモーメントでは、どう考えてもあいつのそれは止められん。左腕をくれてやる代わりに、この棒を耳から脳へ突き立ててやるつもりでいたが、それは絶対不可能となっている。
では!
「ば! 馬鹿なのお!」
リンクルがまた叫んだ。
「うるせえ!」
俺はロックバイターの口を目掛けて棒を最速で突き出した。なんてでけえ口だ。この棒を無防備な喉の奥に刺すためには、俺の体の半分以上が口の中だ! こいつは勇気のいる作業だぜ!
「ギャウオオオオーーーン!」
棒は喉の奥に届いた。そして刺さった。回転している分、棒はさらに深く突き刺さった。
「やっ、」
た、と言おうとしたが、棒が喉の奥に突き立った痛みで闇雲に頭を振ったロックバイターに、俺は宙高く吹き飛ばされた。
「グレッドお!」
空に浮いてたはずのリンクルの声が下から聞こえる。空と地面が目まぐるしく入れ替わる。俺の体はかなり激しく回転しているみたいだ。俺の三半規管は体勢を見失った。
受け身を、取らなければ。このまま錐揉み落下すれば、間違い無く落命する!
「うるせえ」
リンクルはけらけらと笑っている。仕方がねえだろ。こんなもんしか使えそうな物が無いんだ。素手よりはマシ。
「さあ、来いよ……ただでは喰われてやらねえぜ」
俺はロックバイターの赤い瞳を真っ直ぐ睨んだ。気魄で負ければ戦う前に死が確定する。だが、死は敗北じゃあない。負けを認めた時が敗北なんだ。死んでも敗北だけは認めねえ!
「ぐるるるるる」
ロックバイターが唸りを上げた。と、六本の脚が不思議な動きをし始めた。六本の脚を、互い違いに上下させ、体を左右に揺すっている。なんだ? 何をするつもりだ?
「あ。ヤバいよお、グレッド」
それを見たリンクルが俺の肩をちょいちょいと突付いた。
「何がだ? ヤバいのはさっきからずっとだろう」
集中を乱されるのが癇に障る。返答はつっけんどんにならざるを得ない。まあ、こいつに気を使う必要など無いが。
「なにっ?」
「ほらあ」
リンクルからヤバい理由を説明してもらう手間は省けた。ロックバイターめ。
体を、回転させ始めてやがる!
「なるほどな」
俺は理解した。やつめ、大口を開けたまま回転する事で、自らを掘削ドリルと化したのだ!
「その棒、ますます役に立たなさそうになったねえ。きゃははははは」
「ああ、そうだな。はははははは」
笑うしか無いな。体高2メートル、体長は5メートルはあろうかという牙を剥いた巨獣が、回転しながら襲ってくるわけだ。これに小枝1本でどう対抗しようと言うのか。我ながら客観的に見て滑稽だ。
俺の視線から何かを感じ取ったのか。どうやらやつを本気にさせちまったみたいだ。
「だがな」
「んー? なあにい?」
「俺は諦めが悪いんだ」
「……!!」
にやりと笑ってそう言う俺に、リンクルが目を見開いた。ふん、そんな顔も出来るのか。散々人を舐めくさっていたお前に、そんな顔をさせられただけでもロックバイターと戦う価値はある。
「……はっ! 来たよお!」
うおおおおんと迫る咆哮で我に返ったリンクルが叫んだ。
「っし!」
俺は腰を落としてロックバイターに対した。やつは回転している。俺のウエイトから成るモーメントでは、どう考えてもあいつのそれは止められん。左腕をくれてやる代わりに、この棒を耳から脳へ突き立ててやるつもりでいたが、それは絶対不可能となっている。
では!
「ば! 馬鹿なのお!」
リンクルがまた叫んだ。
「うるせえ!」
俺はロックバイターの口を目掛けて棒を最速で突き出した。なんてでけえ口だ。この棒を無防備な喉の奥に刺すためには、俺の体の半分以上が口の中だ! こいつは勇気のいる作業だぜ!
「ギャウオオオオーーーン!」
棒は喉の奥に届いた。そして刺さった。回転している分、棒はさらに深く突き刺さった。
「やっ、」
た、と言おうとしたが、棒が喉の奥に突き立った痛みで闇雲に頭を振ったロックバイターに、俺は宙高く吹き飛ばされた。
「グレッドお!」
空に浮いてたはずのリンクルの声が下から聞こえる。空と地面が目まぐるしく入れ替わる。俺の体はかなり激しく回転しているみたいだ。俺の三半規管は体勢を見失った。
受け身を、取らなければ。このまま錐揉み落下すれば、間違い無く落命する!
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