勇者様育てます!
弱い勇者様と強い僧侶の私
勇者 女性禁制 戦士女性禁制 魔法使いか僧侶のみ
私は勇者様になりたかったエルザ16歳になった。私は男性顔負けの戦闘スキルを持っていた。もし私が女でなければと周りも嘆いた。
そう、この世界の現実は厳しく男性優遇の世界だ。勿論勇者様になれるのは男性。ならばせめて戦士と思うがこちらも女性はなれない。私は一生懸命勇者をやらせてくれないか?と只管探した。だけどやっぱりどこも受け入れてくれず私はパーティを組む事すらあぶれてしまっていた……
だけど1人余っていると伝えられ苦肉の策で僧侶になり勇者様と旅に出る事にした。だけど勇者様の周りには誰もパーティを組みたがらない。 それは彼が勇者史上もっとも最弱と言われた勇者様だったからなのだ。
「か、可愛い。こんな可愛い僧侶が誰とも組まれたがらなかったこの俺と…… おっと! 勇者のヨハンだ。これからよろしく頼む」
「あ、あぅ…… これが勇者様?」
「え?」
「い、いえ、なんでもありません!」
勇者様候補は数あれどその中で彼はとても弱く風が吹けば飛んでいきそうなくらい軟弱だった。
私が勇者様になる道は絶たれた。だけどこの勇者様と一緒に魔王を倒して女の私でも勇者様みたいになれるんだってみんなに認めさせてやる。
私は勇者様の実力を見る為に王国の付近の比較的弱そうなモンスター達がいるテリトリーに勇者様を誘った。
勇者様は辺りのモンスターの気配を探っているようだ、もう囲まれてるんだけどなぁ……
彼に聞いてみるとすると得意げに警戒していると案の定言ってきた。もう臨戦態勢でしょうにここは。と思っていると早速モンスターが現れる。
勇者様はスライムね? あれなら見る必要もなく終わるはず。私は囲んでいるモンスターを排除する!
まぁここら辺はやっぱりこの程度のモンスターよねぇ。
一瞬でエルザは囲んでいるモンスターを全滅させた、いくら弱いモンスターと言えエルザの戦闘力は凄まじい。
さてと、勇者様はと…… あれ?スライムとまだ戦っている? しかも何故か壮絶な戦いになっている。これは夢なのですか?勇者様…… 
そして死闘に決着が着きなんとか勇者様が勝った。どや?っととてつもない戦いを勝利したかのような笑顔を私に向けてきた。嘘でしょ?
勇者様の彼はスライムですら倒すのに苦労する弱さ。 私は見るに見かねて勇者様を鍛える事にした。
他の勇者様候補が先に魔王を倒してしまうその前に! だけど古今東西魔王を倒したという勇者様は現れていない。だけど私なら!という強い意志のもと決意は固い。
私は勇者様と戦士だけが使える肉体を強化する特殊能力は得意なのだけれど魔法の才はないので僧侶確定、僧侶のやる事は主に回復専門、攻撃は二の次で派手な魔法も使わなくて済む、私はギリギリ風の魔法は使えるけど剣で戦った方が強い。
「勇者様、剣をクルクル回して威圧するのはただのハッタリです! 実戦では役に立ちません!」
「ええ? だって出来たらかっこいいし……」
「かっこいいだけでは敵は倒せません、鍛える事というのは地味な事なのです!」
「なんで僧侶のエルザが俺にそんな事を言うの?職業違うよね?」
この調子で勇者様は形から入る主義なのか実力とは関係ない所を鍛えてばかり。先が思いやられるけどこの勇者様を立派な勇者様に育ててあげるんだ! この世界の理を私が変えてやるんだ、だから勇者様、私と一緒に魔王を倒そう。
「先ずは体力をつけましょう? 私と一緒にあのヴィオラの丘の頂まで走りませんか?」
「え〜? 走るより剣の修行がしたいよ、それにさっきからなんで勇者の俺に僧侶のエルザが口を出すんだ?」
うう…… ダメかもしれないこの勇者様。私は最初から決心を折られてたまるかと思い勇者様に提案した。
「では私に勝てたら勇者様の言う事をなんでも聞くというのはどうです?」
「なんでも?」
「はい! なんでもです」
勇者様は少し考えていたがなんだか怪しい笑みを浮かべていいだろうと私の申し出を引き受けた。なんだかいろいろ雲行きが怪しくなってきて私は目眩がしてきた。
「じゃあ俺本気出しちゃおうかな」
「本気?」
勇者様は位置について私の合図で駆け出した。 何これ? とんでもないスピードなんだけど? 私は勇者様の予想外のスピードに驚愕したが勇者様も驚愕している。
恐らく僧侶である私がそのスピードについてこれる事に驚いているのだろう。
私はもともと勇者様になりたかったのだからこれくらいは余裕なのだけれどこの勇者様がこんなに速く走れるのは有り得ないと思い勇者様の足下を見ると……
よく強大なモンスターから逃げ出せるエスケープブーツを勇者様はいつの間にか履いていた。 なんか見た目を変えてるけど私にはわかる。案外こういう小細工するのは得意なのかもしれない。
「エ、エルザって僧侶の割には脚が速すぎない?」
「勇者様こそ、そのエスケープブーツはいつの間に?」
「は、ははは!勝てばよかろうなのだ」
勇者様は悪役みたいなセリフを吐きジェットブーツの出力を更に上げ私を引き離す、この勇者様の情熱をもっと別なベクトルに向ければもう少しマシになっていたかもしれないのに……
私も仕方なくもう少しスピードを上げる。私は勇者様たる者エスケープブーツより速く走れるようにならなくてはと思い走力の修行も怠らない。だから勇者様の脚の速さがエスケープブーツだという事にも気付いたのだ。勇者様は勝ち誇ったようにこちらを向いてニヤニヤしている、そうはいきません!
私は少し軸足に力を入れて込め地面を蹴る。そして一気に加速する。私が蹴った反動で私が蹴った後地面は割れ勇者様を一瞬で追い抜き丘までもう少しという所で私の目は捉えてしまった。少し左手側の草原にモンスターと襲われている人達…… ダメ!見過ごせない!
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俺の名は勇者ヨハン15歳。遂に念願の勇者になれた俺。なのに俺には勇者の才能というものがなかったのかもしれない。俺の村では若者が俺1人でこんなクソ田舎で燻っていてたまるか!俺はビッグになってやるという意気込みで勇者になってやった。どの村でも勇者候補は居て村や町では各代表として選出出来る事になっている。そして王国エクレカントにて登録して晴れて勇者だ。
強大なモンスター波いるこの世界では討伐できる者は数少ない中やってくれるというならば国も大喜びで俺みたいなのでも自殺志願者扱いみたいな感じで選ばれてしまう。
そして俺は旅する仲間を集める為に仲間を募るがモンスターを倒そうと集まってきた実力者達は俺の実力を見事に見抜き誰もパーティを組んでくれる事なくそして勇者史上最弱とまで嬉しくない噂が広まってしまった。
そしてもうダメかと諦めかけていた時俺とパーティを組んでくれるというエルザという子が現れた。
まるでエルザは天使のような見た目麗しい美少女で肩にかかる程度の綺麗な金髪でヴィーナスという言葉がぴったりな感じの整った目鼻顔立ち。しかも胸もある。
「あ、あぅ……これが勇者様?」
エルザがボソッと小さく呟いた言葉を俺は聞き逃さなかった、散々聞いてきたからな。ところが不思議と俺の中にその言葉に対する苛立ちは湧いてこなかった。
なんて可愛い声なんだ!見た目も完璧だしこれ最高!なんて思っていた。まさに外道。というよりそもそも俺とパーティを組んでくれるのかと思ったが彼女はよろしくお願いしますと俺の仲間になってくれた。あれ?もしかしてこの子俺に惚れたんじゃね?
俺はもう勇者として魔王討伐よりエルザ攻略の為に彼女と一緒に旅に出る事にした。王国を出て取り敢えず勇者様の実力が見たいと言われ比較的弱めなモンスターが生息しているヴィオラの丘付近をうろつく事になった。
「勇者様、何をしてるんですか?」
「ふふ、モンスターの気配を感じているのさ」
「え? 気配も何も周りは敵だらけですよ、大したことない敵ですが……」
「な、なぬっ!? わかっている、わかっていたさ。エルザの緊張を少しほぐしてやろうと思ってさ」
エルザはほえーっとした顔でそんな俺を見てくるがこれはチャンス! 
早速モンスターが飛び出してきた、よし来いや!と思ったが、なんだスライムか。一刀両断だぜ!
俺は超高速なつもりの突きを放った。しかしスライムは華麗に回避して俺に体当たりを仕掛ける。やるじゃねぇか……
チラッとエルザを見るとエルザは全てモンスターを倒していた。はやっ!
エルザは驚嘆したような顔で俺とスライムの激しい死闘を見ている。ふふ、俺に夢中だぜエルザの奴。
お前自分が弱いの忘れてないか? そんなツッコミは今のヨハンには届かない。
そしてヨハンはあろう事か持っていた剣をスライムに弾かれ殴る蹴るの泥仕合いに発展してしまった。
なんとか暴れるスライムを捕まえ弾かれて地面に突き刺さっていた剣にスライムを押さえたまま刃に通して一刀両断する。どうだ!やってやったぜ!と言わんばかりにエルザに勝利の微笑みを送る。
「す、凄い死闘でしたね……勇者様。私あんなの初めて見ました」
何ぃ〜? 初めてって良い響きだね!
ヨハンは死闘の後で頭が回ってないのかエルザの言っている事か理解できてない。ヨハンはクルクルと剣を回して鞘に収めようとするが失敗して自分の足に突き刺さる。
「い、いぎゃーーーッ!」
「ゆ、勇者様ッ!」
エルザが慌てて駆け寄り屈んで足に回復魔法をかける。ふあ〜、なんか良い匂いする。それに僧侶の衣装の胸元の隙間から胸の谷間が…… なんて鼻の下を伸ばして見ているとエルザたんがこちらを向き終わりましたと伝えるのでサッと真顔に戻す。
もうダメだこの勇者…………
その日は丘付近で野営を建て休息する事にした。モンスターの居るど真ん中で寝るなんてエルザの奴何考えてんだ。
しかしエルザは殺気を常に放ちモンスターを近付けないようにしていたのはヨハンの実力では知る由もない。
次の日ヨハンにエルザはこう告げた。
「勇者様! こらから私と嫌でも2人きりなんですから私と一緒に特訓しましょう!」
2人きりで特訓……そんな甘い言葉だけを抽出してヨハンはいただけない事を考えていた。
可愛いエルザと2人きりで特訓……夜の?なんて考えているので重症である。だが思いはすぐに打ち砕かれる事となる。
「私が勇者様を1番の勇者様になるよう鍛えます!だから……一緒に頑張りましょう!」
え? そっちかよ…… もうそんなこたぁいいのにな。エルザたんとイチャイチャしたいのに。だけどエルザたんにかっこいいところ見せてやるかとまた剣回しを始めるとエルザたんはそんな事より体力からですという事で丘の上まで競争する事になってしまった。
というかエルザたんは何故僧侶なのに勇者の俺の修行なんかに口出すんだ? 専門外だろ?
などと思いつつエルザたんは思いがけない提案をしてきた。
ふふふ、なんとエルザたんに勝てばなんでも言う事をこ聞いてくれるという……
なんでも…… ゲヘヘヘヘッ。
もはやこの男は本当に勇者なのだろうか? 
こんな事もあろうかと! エスケープブーツは常に俺は持っているのさ!てか既に履いているのだ。誤魔化す為にに見た目は多少弄ったけが。
ヨハンは逃げる事にかけては抜かりがないのだ。流石勇者(笑)
そして位置についてのスタートの合図でヨハンの実力とは思えない脚の速さに驚いている。
あはは、俺凄いやろ? 惚れたやろ?
自分の力ではなく道具頼りなのにヨハンはまるで自分の実力のように自分で勘違いをしているこの始末……
ははははッ!圧勝だぜ!と思い振り返るとすぐ後ろにエルザたんが迫っていた。
うそーん!? なんでエルザたんこんな脚速いの?
「エ、エルザって僧侶の割には脚が速すぎない?」
「勇者様こそ、そのエスケープブーツはいつの間に?」
「は、ははは!勝てばよかろうなのだ」
俺はブーツの出力を最大まで上げエルザたんを引き離す。これで追いつけまい。あー、エルザたんに何をしてもらおうかな?とゲスな考えをしていると突如猛烈な風が横切った。
なん……だと!?
よく見るとエルザたん!? ぐぬぬ、そこまで俺の言いなりになるのが嫌なのか……
嫌というよりエルザは勇者がそんな事考えてるとは思えないんですが……
丘の上に到着するともうヨハンはエルザを言いなりにできないとすっかりやる気をなくしていた。
あー、どうせもう着いてんだろうなと丘の天辺に上がろうとすると丘の天辺が盛り上がる。なんだ? エルザたん俺にドッキリ仕掛ける気か?
そんな訳はなく丘の天辺から現れたのはこんな所にいる事自体稀で滅多に出会えないドラゴンだった。
「ひ、ひぇ〜、お助けを!!まさかエルザたんも!?」
ドラゴンにやられたんじゃ…… じゃあもうエルザたんいないからこんな旅する意味なくないか? ていうか俺ここで死ぬんじゃね!? あ! ブーツ!と思ったが出力最大まで上げてここまで来たので内蔵魔力は尽きていた。
あ、これ死んだな……
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