ViNUfR

えれべすと

暖かな空間

「あらお父さん、おかえりなさい。」
ドアが開くと同時に、奥から声が聞こえてきた。
「おら、早く入れ」
「お邪魔します」
入った瞬間、体全身が温かい空気に包まれた。
酷い寒さから解放され、家特有の温かさを少しの間堪能していると、奥からダッダッダッと走り寄ってくる音が聞こえた。
「父さんおかえりー!」
見た目7歳ぐらいの、可愛らしい少女が走ってきた。
「おお、ただいま」
奥の扉から奥さんもやってきた。
二人ともハロルドと同じく、毛で覆われており、肌の表面が見えなかった。少女は白い毛だが髪は茶色をしている。奥さんの方は毛も髪も茶色をしている。
「おかえりなさい、あら、そちらの人は…」
「ああ、こいつは…えー…」
そう言えば、名前を教えていなかった。
「ええと、東郷伊織(とうごういおり)っていいます。」
「ええ、よろしくね。」
ハロルドの奥さんも優しそうな人だったので、少し安心した。
「それで…、東郷さんはルドのお客さん、って事でいいのかしら?」
お客さんではなく、そのまま外に出しておくと死ぬから仕方なく招待された感じだけど気にしないでおこう。
「ああ、その通りだ。こいつを1晩泊めてくれないか?」
「ルドのお客さんなら大歓迎よ!さ、入って入って」
ハロルドの母はすんなりと部屋へ入れてくれた。足の冷たさからも解放され、ひとまず安心した。
ルドの嫁さんは、僕の手を引くようにリビングに案内した。
部屋には火のついた大きなかまどなどがあった。
時計を見ると、時間は7時を回っていた。



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